大きくなったアヌビアス・ナナは短く切って育てましょう!

淡水のアクアリウムで最も有名な水草の一つが「アヌビアス・ナナ」です。

アクアリウムを始めたばかりの初心者の方からベテランの方まで、多くの方がお世話になる水草ですね。耐陰性の水草のため、室内の日光量の少ない場所や、人口のLEDライトでも枯れることなく成長してくれることが最大の長所だと思います。

葉の色も濃く鮮やかな緑色をしているので、金魚の水槽から他の水草との混植まで、様々なレイアウト水槽に取り入れることが出来る万能な水草でもあります。

また、成長速度が遅く、手が掛からないというのも人気の理由だと思います。

しかし、数カ月放置しておくと、いつの間にか大きく成長しているため、切り戻しの作業が必要になってきます。

この記事では、実際に大きく成長したアヌビアス・ナナを例にとり、適正な長さに短く切る作業の方法について詳細を御紹介していきたいと思います。作業時間も15分程度で出来るので、レイアウトに変更を加えたい方にもお勧めです。


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アヌビアス・ナナを切り戻すタイミング

アヌビアス・ナナの切り戻しのタイミングですが、以下の様な場合がほとんどだと思います。

いずれかに該当したら、思い切って切り戻してみましょう。水槽内の水草レイアウトが少し変化するので、水景に変化が見られて楽しいですよ。

水槽の中で存在感が大きくなってしまった時

アヌビアス・ナナは成長速度が遅いのですが、水槽の中で半年以上育てていると、意外と大きくなります。

下の写真は、今回の記事で切り戻しを紹介するアヌビアス・ナナですが、赤い矢印の部分が2019年12月の時点での茎の長さです。そして、青色の矢印の部分が今年の8月までに伸びた量になります。8カ月の間に約15cm程度は伸びています。

約15cm伸びるということは、30cm水槽では水槽の幅の半分くらい伸びることになるので、気づかないうちに水槽の中で大きくなり、予想外に存在を主張してしまうことになります。

また、アヌビアス・ナナが大きくなり過ぎると、少し大きな魚を飼育している場合には、泳ぎの邪魔になってしまうことも多々あります。切り戻してあげて泳ぐスペースを確保してあげることも大切だと思います。

上のアイキャッチ画像は私の30cm水槽ですが、金魚が泳ぎづらそうにしているので今回切り戻すことにしました。

アヌビアス・ナナの成長速度については、下の別記事で詳しく紹介していますので、もしよろしければそちらも見ていってください。

黒髭苔などの藻に浸食され過ぎた時

アヌビアス・ナナの成長速度が遅いという点は、レイアウトが変化しにくいというメリットでもあるのですが、成長が遅いと藻が成長しやすいというデメリットにも繋がります。

下の写真にあるように、左側にある葉は古い葉で、右側にある葉が新しい葉になるのですが、左側の古い葉には黒髭苔がたくさん成長していることがわかります。

アヌビアス・ナナは濃い鮮やかな緑色が綺麗な水草なのですが、黒髭苔が成長してしまった姿はとても残念な姿になります。上の写真はまだ黒髭苔が生え始めの状態ですが、これが大きく成長すると水槽の中の美観が一気に落ちます。

一度黒髭苔が育ち始めると、増殖を停めることが難しいので、黒髭苔がかなり成長してしまった葉は切り落とすことも一つの手だと思います。

自分の好みのレイアウトにしたい時

アヌビアス・ナナは上で記載の通り、半年くらいすると意外に成長して水槽の中での存在感が増します。

そのため、アヌビアス・ナナをメインの水草にしている場合を除き、ワンポイントアクセントで使用されている場合などは、切り戻してあげて適正な長さにすることがお勧めです。

アヌビアスには様々な種類があり、小さな株の状態で育つものもありますが、切り戻す作業自体は変わらないので、この記事を御参考に実施してみて下さい。

アヌビアス・ナナの成長過程について

大きく成長したアヌビアス・ナナを切る前に、アヌビアス・ナナの成長過程についても御紹介しておきたいと思います。

アヌビアス・ナナは茎の部分から新しい葉を展開させながら、茎が下の図に示すように成長方向へ向かって伸びていきます。

そして、その新しく成長した茎の部分から新しい根が成長して株自体が大きく育つという成長過程を持っています。

アヌビアス・ナナは、サトイモ科の植物に属する水草であり、一般的な園芸用の草花とは少し違う成長をする点は覚えておいても損は無いかと思います。


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伸びすぎたアヌビアス・ナナはどこで切ればいいの?

大きく成長したアヌビアス・ナナを切る際に、注意しなければならないポイントを記載しておきます。

重要なのは、必ず根が成長している茎の部分で切るということです。

下の図で解説しますが、このアヌビアス・ナナをAの部分で切ったとします。すると、Aの部分より右側の部分 (今後利用したい部分) には根が残らないことになります。つまり、切り落とした後に栄養を吸い上げる部分が無くなってしまうことになります。

そうなると、最悪の場合には枯れ落ちてしまう可能性もあるため、必ずBの位置で切って、利用する側の部分に根が残るようにしてください。

もし切りたい位置に根が生えていない場合には、約1か月くらい放置しておくと新しい根が生えてくることもあるので、様子を見ながら切り落とすタイミングを決めるようにしてください。

実際にアヌビアス・ナナの切り戻しを行った例

それでは、ここからは実際に伸びすぎたアヌビアス・ナナを切って、再度水槽のレイアウトに使うというところを紹介したいと思います。

まずは活着している石から取り外します

今回処理を行うアヌビアス・ナナは、下の写真の様に、石に糸で活着していたものになります。

石に活着させて半年くらい経つと、根が石にしっかりと巻き付くようになるので、取り外すときには根を切り過ぎないように注意しましょう。

年間を通じて水温が変わらないような水槽で育てている水草は、一年中が育成期になるので、根はなるべく切らないようにします。

徐々に根を石から外した後のアヌビアス・ナナが次の写真ですが、かなり根が張っていて健全に育っていた様子が読み取れます。

切断する部分を確認します

活着していた石からアヌビアス・ナナを外したら、次は切る位置を決まます。

上で紹介したように、切った後に根が残っていることが重要になります。今回も根が残る位置で切ろうと思いますが、今回のアヌビアス・ナナは根がしっかりと伸びていた株なので、どこで切っても大丈夫な状態です。

そのため、下の写真の赤点線の位置で切って、右側の小さな方を水槽へ利用することにします。

もちろん、切る位置は御自身の好みに合わせて切れば良いと思います。

アヌビアス・ナナを導入する水槽のレイアウトに合わせて、適切な大きさに切ってあげるようにしてください。失敗しても数か月で同じような大きさになるので、あまり失敗を恐れずに切ってしまって大丈夫です!

実際に切断します!

切る位置が決まったら、実際にアヌビアス・ナナの茎を切りましょう!

できれば、切るのに使うハサミはライターなどで焙って消毒したり、アルコールなどで消毒しておくようにしましょう。私はライターで焙っていますが、細菌の混入の防止と言う観点で行っています。

実際に下の写真の様にアヌビアス・ナナを切断しました。右側の小さな株の方を再び石に活着して使っていきます。

根が長く伸びていますが、長い部分は少しだけ切ってしまっても問題無いです。石に活着させるときに邪魔になれば、適切に切って活着させます。

実際に石に再び活着させて水槽に入れた様子が下の写真です。

活着には糸を使いますが、私は釣り糸を使っています。アクアリウムショップで販売されている活着専用の糸もありますが、少し高価なので、私は使い終わった釣り糸を再利用して使っています。

アヌビアス・ナナが1/2以下の大きさになり、水槽内がかなりスッキリしました。また、黒髭苔が付いていた部分が無くなったので、とても綺麗な見栄えになりました。

切り落として余った部分も成長しますので使いましょう!

上で切ったアヌビアス・ナナですが、黒髭苔が付いている古い方の株も再利用することができます。

アヌビアス・ナナは、切り落とされた側の古い株も葉の付け根から新しい成長点が出てきて再び成長が始まります。

下の写真は、上の説明で切り落とした残りの半分の方ですが、黄色の矢印で示す部分に、葉の付け根から新たな小さい葉が伸びてきていることがわかります。この部分が新しい成長点になり、再び成長が始まることになります。

アヌビアス・ナナを増やしていきたい方は、今回紹介したように株を二つに分けるような事を繰り返していくと、時間はかかりますが株を増やしていくことが可能です。


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この記事の終わりに

この記事では、長く伸びて成長したアヌビアス・ナナを切断し、サイズを小さくするという作業を御紹介させていただきました。

アヌビアス・ナナは成長速度が遅いので、水槽の中で放置されることが多い水草なのですが、半年以上計画するとサイズが大きくなり水槽の中で存在感が増してきます。

また、小さな水槽では魚が泳ぐスペースが無くなる原因にもなってしまうので、定期的に切ってあげることが必要になります。

アヌビアス・ナナは比較的強い植物で、茎を切られても根が残っていれば成長が止まるようなことはありません。

皆様の水槽の中でも、伸びすぎて大きくなったアヌビアス・ナナがあれば、是非一度切り戻すという作業をしてみてはいかがでしょうか!?