大きく育ったアヌビアス・ナナの株分け方法を詳しく解説

水草のアヌビアス・ナナは淡水のアクアリウムの中で、最も有名で愛され続けている水草の一つです。

耐陰性があるため、強い光が無くても成長をしてくれる点や、成長も遅いため水槽の中でのメンテナンス頻度も少ないという点が愛されるポイントかと思います。

アヌビアス・ナナは成長が遅いと言えど、半年以上たつと大きく育ち、水槽の中で存在感が大きくなることもあります。

大きく育ったアヌビアス・ナナは適宜株分けを行って数を増やすことができますので、好きなサイズにカットして好みの水槽レイアウトを作ることも可能です。

株分けが可能とはいえ、株分けの際には一応確認しておくべきポイントがあります。この記事では、アヌビアス・ナナの株分けで大切なポイントや詳細を紹介していきたいと思います。


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アヌビアス・ナナを株分けできるタイミング

アヌビアス・ナナの成長過程を紹介

まず、アヌビアス・ナナを株分けするにあたって、アヌビアス・ナナの成長過程についても知っておくべきかと思いますので、あらためてアヌビアス・ナナの成長について紹介しておきます。

アヌビアス・ナナはサトイモ科の植物で、つるが伸びるように、茎を伸ばしながら新しい葉を展開していく植物です。

下の図に示すように、成長点の位置から一番新しいが伸びてきますが、その成長点がさらに右方向に成長を進め、再び新しい葉を展開します。

このように、茎を成長方向へ伸ばしながら成長が進んでいくのがアヌビアス・ナナの特徴となります。

アヌビアス・ナナを株分けするメリット

次にアヌビアス・ナナを株分けするメリットです。

一つ目は、株分けすることでアヌビアス・ナナの株を増やすことが出来ます。

アクアリウムショップでアヌビアス・ナナを1株購入した場合、株分けが出来る状態になれば2株に増え、更にその2株が株分けできれば4株に増殖します。

そのため、アヌビアス・ナナを1度購入すると、その後は株分けで増やし続けることが出来るというメリットがあります。

また、2つ目のメリットは葉の混雑を解消することが出来る点です。成長して葉の数が増えてくると、葉が混みあうため水流が通りにくくなります。水流が全く無ければ黒髭苔が発生しやすくなりますので、アヌビアス・ナナが苔に浸食される危険性も減ります。

さらに、葉が混み合った場合には、下の方にある葉には水槽用ライトの光が当たらないものが出てきてしまいますので、光合成の観点でも損をすることになります。

アヌビアス・ナナは、株に付いている古い葉の方が苔が発生しやすいくなります。これは、古い葉は成長が止まっているため、葉が伸びず苔の成長を阻害することができないためです。そのため、コケが発生してしまった古い葉を切り落として、コケの発生していない綺麗な新しい葉だけにするという点でも株分けのメリットがあります。

したがって、適宜株分けすることは健康的なアヌビアス・ナナを育てるのに必須の作業とも言えるのです。

アヌビアス・ナナを株分けできるタイミング

次に、アヌビアス・ナナを株分けできるタイミングについて説明します。

株分けするためには、アヌビアス・ナナの茎が2本に分かれている必要があります。

下の図に示すように、もともとあった茎の途中の部分から、新たに発生した茎があります。この新たに発生した茎は、アヌビアス・ナナの成長の過程で、もともとあった茎の葉の付け根から新たな成長点が発生し、新しい茎を発生させたものになります。

アヌビアス・ナナの成長過程の図

このように、茎が複数本に分かれているような株については、新たに発生した茎を切り落として、2つの株に株分けすることができます。

また、株分けを行う季節については、年間を通じて一定の水温で管理されている場合は、年中株分けが可能です。

さらに、株分けについては、新たに発生した茎が無い場合でも、元々あった茎を2本に切断するという方法でも可能です。その切断方法や切断後のアヌビアス・ナナの成長については、以下の別の記事で紹介しています。

株分けが出来る条件は新しい茎に根が発生していること

上でアヌビアス・ナナの株分けをするタイミングについて説明しましたが、より確実に株分けを成功させるためには、実はもう一つの条件があります。

それは、株分けする株に根が発生しているということです。

アヌビアス・ナナの根の発生状況の絵

上の図に例を示します。例えば、赤字のAの点線位置で株分けをすることを考えた場合、新たに発生した茎にも根が発生している状況です。このように、根が付いている茎であれば、株分けを行っても株分け後のアヌビアス・ナナが養分を根から吸収できますので、株分け後も調子を崩すことなく成長を続けることができます。

しかし、新たに発生した茎に根が無い場合には、株分け後に養分を上手く吸収できないので、成長に支障が出たりする可能性があります。

そのため、株分けの際には、株分けする茎に根があることを必ず確認して株分けを実施するようにして下さいね。


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実際に株分けする作業を写真入りで紹介

それでは、ここからは実際に大きく成長してしまったアヌビアス・ナナの株分け作業を実演していきたいと思います。

今回株分けをするのは、下の写真のアヌビアス・ナナです。アクアリウムショップで購入してから約半年経ち、かなり大きく成長した株になります。

水槽の中でかなり存在感が大きくなって邪魔になってきましたし、古い葉に黒髭苔が目立ち始めているので、株分けしてサイズを小さくすることにしました。

本記事で株分けするアヌビアス・ナナの写真

手順①: 株分けするポイントを確認する

最初に、このアヌビアス・ナナは石に活着させていたものになるので、石から剥がします。根はなるべく残した方が最後に根の長さを調整しやすいですが、多少切れてしまっても枯れることは無いです。

このアヌビアス・ナナは、下の写真の様に、元々あった茎に対して、2本の新しい茎が発生した状態になっており、かなり葉が混みあっている状況です。

この新たに発生した茎2本を、元々あった茎から切断して株分けをしていくこととします。写真を撮りやすいように手で株を広げていますが、葉がかなり込み合ってしまっており、水槽内でもあまり良い生育状態とは言えない株でした。

手順②: 株分け後に根が残ることを確認する

次に確認するのは、上でも説明しましたが、株分けする茎に根が発生しているか?という点です。

写真の通り、新たに発生した茎にも根がかなり発生している状態なので、株分けしても全く問題が無い状態と言えます。

新たに発生した茎に、根がどのくらい発生していたら良いのか?という点に関しては定量的な指標は無いのですが、私は5本くらい根が発生していることを一つの判断ポイントにしています。

手順③: 実際にハサミで切断する

根が発生していることを確認出来たら、実際にハサミで切断します。

アヌビアス・ナナへの細菌の進入を防ぐため、ハサミについてはあらかじめ殺菌しておくことをお勧めします。ハサミをライターで焙るなどでも良いかと。

切断後の写真を下に載せておきます。元々あった茎が最も成長していますが、その隣に2本の子株を株分けすることができました。

このタイミングで、根の長さも調整しましょう。根がかなり伸びている部分があれば、下で紹介する活着させるときに邪魔になってしまいます。私はこの時に、根の長さを5cmくらい残すようにして古くなった根などは全て切断します。

また、黒髭苔が発生してしまっている葉は、思い切って切り落としてしまっても良いかと思います。黒髭苔が発生した葉は、今後水槽に再び導入しても黒髭苔の発生ポイントになるので、そのような葉は無い方が水槽内の美観的にもお勧めです。

手順④: 使いたい子株を選び石や流木に活着する

さて、株分けが終わり、根や葉の整理も終わったら、実際に石や流木へ活着する作業へ入ります。

この活着については、ご自身の好きな方法で行えばよいかと思います。糸で活着する場合もありますし、ボンドの様なもので活着する場合もあるかと思います。

私は費用をかけたくないので、使い終わった釣り糸を使って、流木や石に巻き付けて活着させています。

今回は上で株分けしたものを利用して、下の写真の様に石と流木に活着させて利用することとしました。もともとの株姿に比べてかなり小さくなりましたので、水槽内でも存在感を主張しすぎることはないと思います。

株分け後のアヌビアス・ナナは光を求めて葉を広げる

株分けを行ったアヌビアス・ナナですが、2ヵ月、3カ月と成長させていくと、再び大きな株に成長していきます。

その際に少し特徴的な育ち方をするので、その点を御紹介しておきたいと思います。

アヌビアス・ナナは御存じの通り弱い光の中でも育つことができる耐陰性のある水草になります。

しかし、耐陰性と言う性質があっても、日光が嫌いなわけではありません。あくまでも弱い光でも育つ能力があるだけです。

アヌビアス・ナナが、実は光を欲している様子が分かる写真を次に載せておきます。

このアヌビアス・ナナは、株分けから約5カ月くらいが経過した株になります。

特徴的なことは、上から見ると葉と葉が全く重なっていないということです。

つまり、それぞれの葉にしっかりと光を浴びさせるために、葉の位置を少しずらしながら成長していくのです。

葉の枚数が多くなっても、全ての葉にしっかりと光が当たるように成長していくのは、アヌビアス・ナナが「光が好き」という性質を持つことの現れなのだと思います。

この特徴のため、株分けをした後の小さなアヌビアス・ナナの株は、成長と共に横に幅を持って成長していきます。

株分け後に狭い場所に押し込めておくと、このような状態にはならないかもしれませんが、ある程度広い場所で自由な成長をさせると、上の写真の様に葉を広げた状態で育つようになります。


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この記事の終わりに

この記事では、淡水アクアリウムの水草の中でも最も有名で人気のあるアヌビアス・ナナについて、株分けの作業を紹介させていただきました。

株分けの大切なポイントとしては、新たな茎が伸びていることを確認し、さらにその新しい茎に根が発生していることを確認するという点になります。

その点が確認出来れば、アヌビアス・ナナをハサミで切断して、小さな株にして利用しましょう。

上手く株分けが出来れば、アヌビアス・ナナを新しく購入する必要もありませんので、コスパ的にもお勧めの手法になります。

皆さんも、育ちすぎたアヌビアス・ナナがある場合には、思い切って株分けしてみてはいかがでしょうか!?

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