春の淡路島で「乗っ込みチヌ (黒鯛) 」を狙う -翼港-

フカセ釣りを楽しんでおられる釣り師の皆様にとっては、春の時期は1年間を通じて待ちに待った季節となります。

そうです!「乗っ込み」の時期の到来です。

「乗っ込み」とは、魚達が産卵期に入ることを意味しますが、フカセ釣りの世界では特に「黒鯛 (チヌ) 」や「真鯛」の乗っ込みが有名です。

冬が終わり早春に入ると、チヌは産卵を迎えるために餌を荒食いするようになります。

そのため、乗っ込みの季節は他の季節よりもチヌが釣れる確率が上がり、1日に10枚を超える釣果も狙いやすいという夢の様な時期になります。

地域による差はありますが、乗っ込みチヌの最盛期は概ね3月~5月初旬となります。

(早い地域では2月後半には乗っ込みが始まるところもあると聞きます。)

この記事では、淡路島にある翼港での「乗っ込みチヌを狙ったフカセ釣り」を紹介します。

筆者が使用している仕掛けや釣り方についても、出来る限り詳細に記載しますので、これから翼港でチヌを狙ってみようと思っている方に、少しでも参考になれば幸いです。

【注意】本記事に記載の内容は筆者の経験を基にしたものになります。また、釣果情報を載せていますが、釣果は海の状況や天候によって左右される点に御留意ください。


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淡路島の翼港について

翼港は淡路島の北に位置する、淡路夢舞台の施設の一つとなります。

下のGoogle Mapで地図を示します。

神戸からは阪神高速と明石海峡大橋を利用して約45分、大阪市内からも1時間30分くらいですので、日帰りでも十分楽しめる釣り場となっています。

釣り料金は大人が一人600円 (中学生以下は無料) で、駐車場も1日で600円となります。

(2023年の値上げラッシュで、釣り料金と駐車料金が100円ずつ値上げされました。)

トイレ・ゴミ箱・水洗い場が完備されていますし、1日釣りができるので、個人的には600円の釣り料金は安いと思いますね。

その他の周辺情報などは、下のグレ釣りの記事に記しています。

翼港でチヌを狙う基本的なフカセ釣りの仕掛けと餌について

さて、本題である翼港での乗っ込みチヌの釣り方に入っていきたいと思います。

まず最初に、翼港でチヌを狙う際の仕掛けです。

チヌは「ぶっこみ釣り」や「ずぼ釣り」でも狙うことが出来ますが、翼港では「フカセ釣り」が基本となります。

私自身は何度も翼港を訪れていますが、御家族連れがやっている「ぶっこみ釣り」でチヌが釣れた姿を一度も見ていません。サイズの小さなチヌでさえも釣れていないので、やはり「フカセ釣り」が良いかと思います。

そのフカセ釣りですが、仕掛けは「半遊動の重い仕掛け」が基本となります。

下でも記しますが、翼港は潮流が速いので、軽い仕掛けはチヌ釣りに適しません。

また、乗っ込み時期は基本的にはチヌは底にいるので、ゆっくりと仕掛けを入れるよりも底に早く挿し餌を届けられる方が時間効率が良いです。

具体的には、浮力3B~5Bのウキ (場合によっては浮力1号) で、タナを決めた半遊動がお勧めです。

私が頻繁に使用しているのは、キザクラの黒魂Aceシリーズです。大きなウキですが、どっしりと安定していて、翼港でのチヌ釣りに最適なウキの一つです。

楽天市場 黒魂シリーズ

「ウキ下をどのくらいに設定すべきか?」については、底を狙うことが出来ていれば問題は無いかと思います。

翼港の水深は、沖向きで6m以上、内向きで4m程度はあります。

差し餌を底を這わせるようにさせたいので、私は「水深+1.0m」くらいのウキ下設定を使用しています。

翼港の水深は下の記事を参考にしてみて下さい。

また、使用する餌ですが、私の経験上ですが「生オキアミ」が強いです。

乗っ込みの時期に限らず、年間を通じて生オキアミが強いです。

ただ、練り餌やコーンでも釣っている方もいらっしゃるので、状況に応じて選択していけば縛られる必要は無いかと思います。


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撒き餌は比重の大きなものを用意 -筆者の配合も紹介-

続いて撒き餌です。

翼港での撒き餌は、チヌ用のなるべく比重の大きなものを使用するようにします。

潮流が速い翼港では、比重が軽いと撒き餌が底に届く前にどこかに拡散して流されてしまいます。

また、翼港は隣の釣り人との距離も近いので、限られたスペースで釣りをせざるを得ません。

そのため、早く確実に底に撒き餌を届かせることが重要なポイントとなります。

以下は、私が使用している撒き餌の配合です。

・オキアミブロック 3kg (差し餌もオキアミブロックから取ったものを使用)

・ヌカをバッカンの1/2の量

・マルキュー チヌパワー激重 1 袋

楽天市場 チヌパワー激重

この配合で、概ね1日の釣りが楽しめています。

最近はチヌパワー激重を使用していますが、以前は「チヌベスト」も使用していた時期がありました。

チヌベストでも同じように釣果が得られているので、確実に底に届く集魚剤・配合であれば問題はないと思います。

楽天市場 チヌベスト

翼港のどのポイントがお勧めなの?

翼港は南北に延びる人工島で、船着き場以外の場所で釣りを楽しむことができます。

乗っ込みチヌを狙う場合、基本的にどこのポイントでも狙うことが出来ると思います。

(私自身、沖向きでも内向きでも乗っ込みチヌを釣っています。)

もちろん、その日の状況に応じて釣れ易いポイントがあるのは事実だと思います。

しかし、翼港は人気の釣りスポットのため、希望の場所に入れない事の方が多いです。

そのため、大切なことは、自分の釣り座の周りに撒き餌を撒いてチヌを集めることです。

海底付近に撒き餌を届けてチヌを集め、そこに差し餌を確実に送り込む。

この基本が出来なければ、どこの釣り場でもチヌは釣れませんので…。


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2023年4月中旬の釣行・釣果の紹介

それでは、実際の釣行の一例を紹介したいと思います。

本記事では2023年4月中旬の釣行を紹介します。

釣り座と仕掛けの設定

・日時:2023年4月9日 (日曜日) 07:30 ~ 14:30

・天候:晴れ

・気温:約15℃

・海水温:約15℃

・潮:大潮

当日は7時30分ごろに翼港に到着しましたが、青物の人気のポイントだけあって沖向きにはルアーマン達がズラリと並び、重たいルアーが投げられている状況です。

ファミリーフィッシングの方も多く、空いていた南側の先端付近を釣り座としました。

下の画像の「②-1」と記載された付近です。

釣りを始めた時点では満潮で潮位が最も高い状態。

浮力5Bの半遊動仕掛けで、ウキ下を6.5mに設定して釣りスタート!

約10m沖に撒き餌を撒いて、ポイントを作りながらの魚を集めていきました。

釣り開始から1時間はほとんど餌も取られることなく、フグが1匹釣れただけでした。

潮位が下がり始めるタイミングで海に変化が…

その後、潮が下がり始めるタイミングになると、餌が取られる回数が増えました。

それまでは餌がそのまま残ってくることがほとんどだったのに、毎投餌が無くなってきます。

何となくですが、魚達の時合に入ったような感じがありました。

その後、ウキがゆっくりと海に沈んでいくようなアタリ…

「どうせフグだろう」と思いながら合わせると、重みが全く違う手ごたえ!

引きはそこまで強くは無かったですが、丸々と太った重量感あるチヌでした。サイズは42cm!

乗っ込みチヌと言える、お腹がパンパンの個体です。

潮位が下降中はチヌの時合に突入

1匹目が釣れた後ですが、大潮なので潮位がどんどん下がっていきます。

(潮位が下がるにつれて、少しだけウキ下を調整しています。)

その潮が動く中、突然、チヌの捕食活動にスイッチが入りました。

満潮から1時間後の下げ潮の中、1時間半の間 (10:30~12:00) に3枚のチヌが立て続けにヒットします。

下の写真が2枚目のチヌで38.5cm。

次の写真が3枚目のチヌで、本日最大の43cm。

最後の写真が4枚目のチヌで36cmでした。(このチヌは、とても綺麗な個体でした。)

朝の到着時には、ほとんどアタリが無く、どうなることかと思いましたが、無事に4枚のチヌを釣り上げることが出来ました。

この日は、潮位の変化と共にチヌにスイッチが入った様に思えたので、海に助けられた釣果だったと思います。

【参考情報】ウキ下の設定に関する小話

私の釣り座の近くで1人の方がフカセ釣りをされていましたが、残念ながらチヌが釣れていませんでした。

私の釣果を見てその方が話しかけてきてくださったのですが、その方はウキ下を5m程度の固定で釣られていました。

私はウキ下が6.5m前後でしたので、この1.5mの差が釣果を分けたのではないかと思います。

撒き餌はチヌ用の比重の重いものを使われていましたし、差し餌は同じ生オキアミでしたので、ウキ下が釣果の差の主要因であると考えらえます。

ウキ下の設定って本当に重要なのだと、あらためて考えさせられた釣行でした。

【追記】2024年3月の釣行記録

この記事を公開したのが2023年5月6日になりますが、その10か月後の2024年3月16日に再び翼港へ乗っ込みチヌを狙いに行ってきました。

無事に釣果も出ましたので、記事をUpdateしたいと思います。

釣り座と仕掛けの設定

・日時:2024年3月16日 (土曜日) 06:30 ~ 11:00

・天候:晴れ

・気温:約16℃

・海水温:約13℃

・潮:小潮

関西の阪神間では乗っ込みチヌが始まる時期はおおむね3月初旬~中旬になります。

そのため、今回の釣行は乗っ込みチヌの始まりを狙っての釣行となりました。

釣り座は上に乗せた地図の「③-2」に近いところになります。

昨年は淡路島側で釣りましたが、今年は沖向きが空いていたので沖向きを取りました。

昨年と同様に浮力5Bの半遊動仕掛けで、ウキ下を約10mに設定して釣りスタート!

ウキ下が約10mとなると、ハリスが底を這うような状態になります。

足元から約5m沖に撒き餌を撒いて、ポイントを作りながらの魚を集めていきました。

朝一番はコブダイに悩まされる時間帯に…

朝6時半から釣りをスタートしたのですが、第一投からウキが海中に引きずりこまれました。

即座に合わせて態勢を整えたのですが、とてつもない引きに圧倒されて、そのままハリを切られていきました。

そうです…「コブダイ」です。

明石海峡の周辺は、1月の寒い時期からコブダイのシーズンに入り、防波堤の足元でも多くのコブダイが回遊してきます。

下でも記載しているのですが、翼港はコブダイが非常に多いのです…。

この日は開始から2時間で3匹のコブダイにハリスを切られ、モチベーションが下がるスタートになりました。

開始3時間でやっとチヌの反応が!

釣りを開始してから約3時間経過した時、少し仕掛けに変更を行いました。

それまでは、底を這わせるような仕掛けや、底トントンの仕掛けで攻めていたのですが、底から1ヒロの位置を狙うようにしました。

すると、仕掛けを変更した次の1投!

ウキが静かに沈んでいくアタリが…

少し慎重に合わせると、コブダイとは違うチヌの引きが!

慌てながらも無事にランディングが終わりました。

計測すると、下の写真の通り38㎝のチヌ。

サイズはまぁまぁですが、体高が非常に高く、丸々と太っているコンディションが非常に良いチヌでした。

終了間際にようやく2枚目が!

1枚目のチヌが釣れた後は、海からの生命反応が非常に薄くなりました。

フグやガシラなどの外道も全く釣れない状況に。

11時がタイムリミットでしたので、「もう今日は終わりかなぁ…」と考えた10時半過ぎ…。

再び刺し餌が底を這うような設定にしていたのですが、ウキが勢いよく海中に引きずり込まれるアタリ!

油断していたので合わせが微妙になりましたが、無事にフッキングしてファイト開始!

非常に重量感がある!

00号の竿で引きを十分に楽しみながら無事にタモ入れ完了。

下の写真の44cmのGood Conditionのチヌを釣り上げることができました。

このチヌも体高が素晴らしい!スタイル抜群のチヌですね!

こうして2024年の翼港での乗っ込みチヌ釣行は、無事に納竿となりました。

乗っ込みの時期の翼港は「コブダイ」も多くなる…

さて、翼港での乗っ込みチヌの情報を御紹介してきましたが、翼港に生息する「赤い怪物」のお話もしておきたいと思います。

「赤い怪物」=「コブダイ」です。

水族館でも展示されていることがあるコブダイですが、その名の通り額に大きな瘤を持った魚です。

大きくなると80cmを越えるまでに成長します。

翼港には、そのコブダイがたくさん生息しています。

フカセ釣りをしていると、コブダイもヒットすることが多々あるのですが、チヌ以上にパワーのある魚なので、チヌ狙いの仕掛け (ハリス1.2号~1.75号) では太刀打ちできません。

50cm程度までのコブダイであれば何とかなりますが、それ以上になると突進力が半端ないので、あっという間に道糸を出されて根に潜られてしまいます。

70cmクラスになると、ヒットした瞬間にラインブレークされることがほとんどです。

上で紹介した2023年4月9日の釣行でも、6回もコブダイにラインブレークされました … 。

何とか50cmのコブダイを1匹釣り上げましたが、7回のヒットで6回もラインブレークです。

コブダイはチヌとは明確にパワーが違うので、心の準備はしておきましょう!

翼港の釣行時の注意点

最後になりますが、翼港への釣行時の注意点を3つ挙げておきます。

① 潮が速いので釣りにならないことも…

1つ目は、潮流の速さです。

翼港は人気の釣りスポットのため、隣の釣り客との間隔も必然的に近くなります。

その状況で潮の流れが速いので、仕掛けを投げ入れて放置してしまうと、あっという間に隣の釣り客の仕掛けとお祭りになってしまいます。

翼港のベテランの方であればその点を気にして下さるのですが、初心者の方々や翼港に慣れていない方は本当に注意が必要です。

沖向きでフカセ釣りをしている時、私の両隣のルアーマンの糸が絡んでいたこともありました。

そのルアーマン同士の距離は約25m程度だったのですが、その距離でも簡単に流されるくらいの潮流があります。

② 釣り客が多いので狙ったポイントに入れないことも…

2つ目は混雑に関する点です。

翼港は上で何度も記載していますが、淡路島の大人気の釣り場です。

魚影が濃い事や青物の回遊も多いので、遠方からも多くの釣り人が訪れます。

朝のオープン前には、翼港の前に開門待ちの列が出来ているそうです。

そのため、朝一番に行かないと、良い釣り座が確保できません。

特に3連休や大型連休ともなれば、朝7時の時点で釣り場が無くなるくらいです。

③ トンビには注意しましょう

3つ目は翼港周辺の生息するトンビです。

淡路島には、多くのトンビが生息しています。

そして、翼港の上空にも円を描きながら飛んでいるトンビが多く見られます。

そのトンビの中には、食べ物を目掛けて飛んでくる個体もいるそうです。

釣り人が捨てた小魚なども標的になるそうで…

お弁当を食べる際などは、上空にトンビが飛んでいないことを確認してからにしましょう!

この記事の終わりに

本記事では、淡路島・翼港での「乗っ込みチヌ」を狙ったフカセ釣りを紹介させていただきました。

神戸や大阪からもアクセスが良く、様々な魚の魚影も濃い事で有名な翼港ですが、春にはチヌの数釣りが楽しめます。

仕掛けの組み方や撒き餌の基本を守れば、フカセ釣り初心者の方でもチヌを釣ることが出来ると思いますので、翼港のチヌ釣りにチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

綺麗な海のチヌは、お刺身や煮付けなど、様々な料理を楽しむことができるのも嬉しいポイントです。

(淡路島のチヌは、大阪湾奥のチヌとは明らかに臭いが異なります。)

今回の釣行 (2023年4月9日) で釣れた4匹のチヌは、お刺身・カルパッチョ・しゃぶしゃぶの3種類で美味しくいただきました。

それでは!