金魚やメダカは夏に屋外飼育しても大丈夫? -高水温対策が必須-

日本の夏、年々最高気温が上がり、日中に屋外に出ることが命の危機になるような時代になりました。

最高気温が40℃近くまで上がると、体温よりも高い気温となるため、熱中症のリスクが一気に上がります。夏のテレビのニュースでは、熱中症の患者さんの数が連日報道されるくらい、日本の夏は暑くて危険になりました。

その夏の危険な暑さは、人間だけをリスクに晒しているわけではありません。

屋外で飼育されている金魚やメダカの容器・水槽にとっても危険な暑さになってきます。

気温が40℃近くになる状況で、直射日光も当たるような水槽・容器は、魚の命を危険に晒しているようなものです。

この記事では、夏の高熱の中に水槽を置いた場合、どのような弊害が起こるのか?実際の実験例を交えながら考えていきたいと思います。

最近は品種改良されたメダカの屋外飼育もブームになっていますが、屋外飼育されている皆さんは、夏の暑熱対策は考えられていますか?

夏本番になる前に、対策方法を考えていきましょう!


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夏の屋外に置かれた水槽の水温変化を実測

まず最初に見ていただきたいのが、私が2020年8月に実験を行った結果です。

お盆休みの8月16日、熱帯夜が続いた暑い時期でしたが、朝の8時から夕方の16時までの間、家の前に6Lの水が入った容器を置いておきました。朝から昼過ぎまで直射日光が当たり、午後には明るい日陰になる場所となります。

容器は一般にホームセンターで販売されているメダカや金魚を飼育するたらいの様な容器 (色は茶色) です (既に捨ててしまった容器のため写真が無くてすいません…) 。

そして、気温とその容器の中の水温を約1時間ごとに測定しました。

その結果が次のグラフになります。赤色のグラフが気温、青色のグラフが水温になります。

2020年8月16日の日中の最高気温は私の家の前で36℃に到達しました。

そして、その気温上昇を追いかけるように、容器の中の水温も上昇していき、最高で約33℃まで水温が上昇しています。

ちなみにですが、魚が耐えられる水温の境界が34℃程度と言われていますので、この時の水温は金魚やメダカにとっては命の危険信号が点灯している状態と言えます。

容器の色が黒だったりソイルを敷いていると更に危険

上記の例は、茶色の比較的光を吸収しやすい容器での例ですが、黒色の容器を使用されている場合には、より水温が上がりやすいと言えます。

皆様ご存じの通り、黒と言う色は光を吸収して熱を持ちますので、茶色の容器よりも水温が上がっていきます。

もし、今回の実験を黒い容器で行っていたら、水温は33℃を越えていったかもしれません。

また、金魚やメダカの屋外飼育容器の中には、多くの方がアクアリウム用のソイルを敷いているかと思います。

金魚やメダカの屋外飼育では、ブクブクなどのフィルターを使用せずに飼育されている方が多く、生物濾過の担い手としてソイルを底に敷いていることが一般的です。(ソイルにバクテリアを定着させて生物濾過を行う方法)

そのアクアリウムソイルは、多くの場合に色が黒色やこげ茶色をしています。

そのため、屋外飼育容器の中にあるだけで、太陽光を吸収して熱を持つような状況になります。

もちろん、グリーンウォーター化した飼育水や日陰があればソイルによる太陽光の吸収は軽減されるかと思います。

しかし、総合的に考えて、屋外の金魚・メダカの飼育容器は熱を持ちやすいと言っても過言ではありません。


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水温上昇は酸素の供給にも支障が出る

水温が上昇しすぎることは、上記の通り魚の生命を危機に晒すことになるのですが、水中に含まれる酸素 (溶存酸素) の濃度にも影響します。

下のグラフは、私が以前に測定した溶存酸素と水温の関係を示すグラフになります。

グラフを見ればお分かりいただけるかと思いますが、水中の溶存酸素は水温の上昇と共に減少していきます。これは、水温が上がると水中の気体が抜けやすくなるという特性によるものとなります。

熱帯魚や金魚の飼育に最適な25℃前後の水温であれば溶存酸素の濃度は8mg\Lありますが、30℃まで水温が上がると7.5mg/Lまで溶存酸素が減ります。

そして、30℃を越えてくる場合には、さらに溶存酸素が減って7mg/L程度まで下がることが容易に推測されます。

この詳細は以下のリンクの別記事で詳細に説明しています。

25℃から30℃に水温が上昇すると、10%程度の溶存酸素の低下が起こります。

「10%程度であれば大丈夫でしょう!」と思われるかもしれませんが、人間に置き換えて考えてみると、10%の山荘濃度低下は結構辛い状態になります。

空中の酸素濃度は21%ありますが、これが1割下がって酸素濃度19%を下回ると「安全限界」と及ばれる人体に影響が出てくるレベルになります。そして、空気中の酸素濃度が更に下がって16%まで低下すると「めまい」や「吐き気」を伴う状態になります。いわゆる、高い山に登った時に現れる「高山病」と言われる様な状態です。

つまり、水温25℃での溶存酸素8.5mg/Lから、水温が30℃を越えて7.0mg/Lまで下がると、魚の健康に直接影響を当てるレベルになることが容易に想像できるわけです。

酸素濃度は生物の活動に強く関係していることがご理解いただけたかと思います。

溶存酸素は魚にとっての生命線です。

夏の炎天下の下に飼育容器を置くということは、「水温」と「溶存酸素」の2つの面で魚を危険な状態に置くことになるのです。

飼育容器に水草を導入するだけでは水温上昇の抑止効果は限定的

夏の暑い日差しを遮るために、ホテイアオイやスイレン等の水草を金魚やメダカの飼育容器に導入されている方も多いかと思います。

しかしながら、夏の屋外飼育での高水温は、水草を導入するくらいでは完全に防ぐことは不可能です。

屋外に置かれた飼育容器の中の飼育水は、基本的に外気温と同じ温度になる方向に水温変化が起こります。

熱は熱いものから低いものへ移る特性があるので、外気温が高ければ大気の熱が飼育水を温めます。

そのため、気温が40℃近くある真夏の炎天下では、日差しを遮ったとしても外気温自体が高いため水温はどんどん上がります。

また、飼育容器に日光が当たれば、容器自体を日光が温めるため水草が入っていても水温がどんどん上がります。

そのため、飼育容器の周囲の外気温自体も下げてあげる努力が必要になるのです。


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日光は金魚やメダカの健康維持に必要な要素でもある

さて、上記では夏の暑い日差しが水槽を温めてしまい、魚を危険な状態にしてしまうという観点で記載させていただきました。

しかしながら、日光自体は生物の活動に絶対に必要な要素でもあります。

例えば、人間は日光に当たることで体内にビタミンDを作ることが知られております。

魚にとっても日光は必要になります。日を浴びることで体内の免疫力を上げたり、様々な効果があります。屋内の水槽であれば、水槽用LEDライトがあるので、それが太陽の代わりになってくれますね。

そのため、屋外飼育の場合にも、完全に日射しを遮ってしまうのはちょっと良くないかと思います。

水温が上がり過ぎないように、適度な日光を当ててあげる必要はあると考えます。

夏の金魚・メダカ飼育に必要な飼育方法とは?

以上の事を踏まえて、金魚やメダカの屋外飼育で、暑い夏を乗り切るための方策を考えてみたいと思います。

基本的には、直射日光を避ける事、そして屋外飼育の容器の周辺温度を下げる事の2点が重要なポイントです。

① すだれ・遮光ネット・植物を利用すること

真夏の暑い時間帯であっても、日光を遮ることができれば、ある程度涼しさを感じますよね。

例えば、気温が40℃近い日でも、木陰に入ると少し気温が下がり、それだけで涼しさを感じることができますよね。

つまり、木陰の代わりになるようなものを導入すれば、水槽に直射日光が当たることを避け、さらに飼育容器の周囲の温度を効率良く下げることができるのです。

そのためにお勧めなのが「すだれ」「遮光ネット」「アサガオなどの植物」です。

すだれは日本古来の直射日光を遮る竹や藁で作られた日よけですが、真夏には直射日光を遮り、気温を下げるのに大活躍しますよね。すだれは、所々に隙間があるので、日光を完全に遮るのではなく、程よく日光を当ててくれるとともに周辺の気温を下げてくれます。

次に遮光ネットです。園芸用に用いられる黒いネットで代用が可能です。

園芸用の遮光ネットは、遮光率○○%と記載があり、直射日光を遮るレベルを調整することができるので、お住まいの地域の環境に合わせて適切な遮光率を用意できるという利点があります。

また、アサガオなどの夏に育成が旺盛になる「つる性植物」を飼育容器の遮光に利用するのもアリですね。アサガオは網やフェンス、トレリス等に絡ませて成長させている方も多くいらっしゃいますが、夏には遮光用の植物として最適です。

私の実家でも毎年夏にアサガオを植えて、西日が入らないように活用していました。アサガオによる遮光は、私の実体験として、相当な遮光性と気温上昇抑制効果があります。まさに「自分の家に木漏れ日を作ってくれる植物」という存在です。夏が終われば枯れ落ちるので、夏に遮光が欲しい時だけ活躍してくれます。

② 午後以降の西日を遮ること

もし、上記の「すだれ」や「遮光ネット」等を利用することができない場合、最低限必要なのが西日の当たらない場所で管理するということです。

上のグラフでもわかる通り、真夏の昼間に水温が最も上がるのは正午を過ぎた午後14時ごろです。

午前中は直射日光が当たったとしても、正午以降は日陰になるような場所があれば、そこで管理するのは一つの管理方法として考えらえます。

午後に日陰になる場所であれば、水温が34℃を越えていくようなことも少なくなるかと思います。

屋外飼育は自分で水温の確認をすることが最重要!

真夏における金魚やメダカの屋外飼育方法についていろいろと記載をさせていただきましたが、最も重要な事は「自分の飼育環境を知る」ということです。

あれこれ知識を集めるよりも、自分で水温計を手に取って真夏の飼育容器の水温を測定し、魚の飼育が出来る環境か否かを確認するということです。

沖縄から北海道まで、日本は南北に長い島国ですので、お住まいの地域で屋外飼育の管理方法は変わるはずです。

屋外で金魚やメダカを飼育するのであれば、夏には飼育環境の確認・整備を進めてあげて下さいね。

夏にやってはいけない屋外飼育の管理方法

夏に屋外で魚を飼育する上で、やってはいけない飼育方法がいくつかあります。

結構やってしまいがちなのですが、実は魚の健康状態に悪い影響を与えてしまいかねないので注意して下さい。

飼育容器に氷を入れて水温を下げる方法

「飼育容器の中の飼育水が30℃以上になってしまった!」

「これは水温を早く下げないと!」

「そうだ!氷を投入だ!」

これは、暑い夏にやってしまいがちの方法になるのですが、実はこれは魚の体に悪影響があると言わざるを得ません。

魚は変温動物で、水温が変化すれば体の体温が変化します。そのため、30℃の水温の中で生活していれば体温は30℃程度になっております。

その状態で氷を投入して水温が20℃になったとしましょう。人の目から見たら「水温が下がって一安心だ」と思えるかもしれませんが、魚にとっては急に体温が30℃から20℃に下がることになるんです。

これの様な急激な体温変化を起こすと、魚の体に一種のショックが加わり、体調を崩すことがあります。これを水温ショックと言いますが、消化不良などが代表的な症状として現れます。

魚の消化能力は特に体温に強く依存しているため、消化機能への影響が強いと言われています。特に金魚は胃袋が無いため、消化能力を腸にゆだねるのですが、その消化機能は水温に強く依存します。

そのため、飼育容器の中の水温が上昇した殻と言って、氷を入れるような事は止めておきましょう。

もし、緊急で水温を下げる必要があるのであれば、少なくとも1時間に1℃くらいの水温変化に抑えるべきです。

頻繁な水換えや飼育水の全入れ替え

水温が上がり過ぎた時、氷を入れる以外にも、飼育水を大量に入れ替えてしまうということをされる方もいらっしゃるかと思います。

しかし、飼育容器の中の飼育水を大量に入れ替えてしまうと、水温が急激に変化するだけでは無く、飼育容器の中のソイルに住み着いているバクテリアなどに悪影響が起こります。

そのため、飼育水を一度に大量に入れ替えるという方法も止めておいた方が賢明です。

もし飼育水を入れ替えるの出れば、全水量の1/3をなるべく水温の変化が起こらないように調整しながら行うようにします。

元気の無い魚への過剰な餌やりはNG

真夏の魚の屋外飼育は、どうしても水温が高くなり、溶存酸素も減るため魚が春や秋に比べて元気が無いように思える場合が多々あります。

水面に口を出してパクパクさせるような仕草が見られるのも真夏の時期が多いです。これは酸素が足りなくなってきたため、水面の酸素が多い場所で呼吸をしようとしている状態です。

「魚に元気が無いから、しっかり餌を食べて元気になってもらわないと!」

当たり前ですが、これは間違った考え方です…

体長が悪い時は食欲が低下し、さらに消化能力も下がっている場合が多いです。

そのような状況下で餌を大量に投入すると、魚の大量を悪化させるだけでは無く、残餌によって飼育水を汚すだけです。飼育水が汚れれば水替えの頻度も上がってしまいます。

この記事の終わりに

この記事では、真夏の屋外での魚の飼育で起こる危険な状態の説明と、適切な飼育方法のヒント・提案を記載させていただきました。

真夏の暑い日に飼育容器内の水温が上がると、徐々に溶存酸素量が減っていきます。そして、34℃以上の水温になれば、水温そのものが魚の生命に危機を与えます。

真夏の屋外飼育で重要な事は、飼育容器を適度に遮光してあげて、飼育容器周辺の温度も下げてあげることです。

飼育容器に植物を導入するだけでは不十分です。日光を完全に遮ってしまうと魚の健康にもよくはありません。

そのため、すだれや遮光ネットなどを活用してあげることが必要になります。また、アサガオなどの蔓性の植物を植えている方は、その下に飼育容器を置いてあげると良いです。

暑い暑い真夏がやって来るまえに、春のうちから下準備は進めておきましょう!