レイアウト水槽に植栽する水草の中で、比較的背丈が高くなり、水槽の背面に配置することに適した水草は「後景草」と呼ばれています。
有名な後景草と言えば「ロタラ」や「ルドヴィジア」等がありますが、その他にも難しい名前を持っていたり、あまり聞いたことが無い名前を持つ水草も数多く存在します。
今回紹介するオレンジ・ミリオフィラムも、そんな難しい名前を持つ水草の一つですが、とても繊細で鮮やかなオレンジ色の水中葉を展開する水草となります。
オレンジ・ミリオフィラムは、葉が糸状に広がる独特の形状を持つだけではなく、背丈も比較的高くなるため、水槽の中でとても存在感が大きな水草となります。
この記事では、オレンジ・ミリオフィラムの育成に関する情報に加え、レイアウト水槽を作成する際の情報として、オレンジ・ミリオフィラムの成長速度についても実測結果を紹介したいと思います。
今後、ミリオフィラムを水槽に植栽される方にとって、有益な情報となれば幸いです。
オレンジ・ミリオフィラムの準備と植栽・育成条件
まず最初に、今回用意したオレンジ・ミリオフィラムと水槽での育成条件についてまとめておきたいと思います。
ポット売りのオレンジ・ミリオフィラムを使用
今回の使用したオレンジ・ミリオフィラムですが、近くのアクアリウムショップで販売されていたポット売りのものになります。下に写真を載せておきます。
今回は2ポット用意しておりますが、1ポット300円~400円くらいの価格です。ネット通販なら、もっと安く手に入るかもしれません。
オレンジ・ミリオフィラムは大きく育ったものがポット売りされている場合もありますが、今回は成長速度を測定したいということもあり、お店で販売されているものの中で最も小さな株を選んできました。
ポットに植えられたままでは植栽が出来ないので、ポットからオレンジ・ミリオフィラムを取り出し、1本1本をバラバラにして植栽していきます。
植栽直後の様子が下の写真となりますが、今回は次項で説明する通り、60cm水槽の後景草として植栽しています。元々水槽内に配置してあった流木の後ろ側に植栽した状態となります。
水槽の設備及び環境の管理について
続いて、オレンジ・ミリオフィラムの育成に使用した水槽設備と環境について記載します。
あまり特色が無い一般的な水槽ですが、一応各種設備の情報を記載しておきたいと思います。
水槽サイズは60cm規格水槽で、外部フィルターにエーハイムの2213を使用しています。エアレーションは、外部フィルターの水流を利用したものです。ブクブクなどは用いていません。
LEDライトは、アクロ製のTriangle LEDとGEX製のCLEAR LEDの2灯を使用しており、1日あたり7時間程度の点灯時間となります。
二酸化炭素の添加は、ADA製のアドバンスシステム・フォレストを用いており、5秒に1滴の添加量となります。
肥料はソイルの中にテトラ製のイニシャルスティックを埋め込んでいます。
飼育している熱帯魚は小型カラシン科の魚 (カージナルテトラやコンゴテトラなど) が約20匹です。
また、オレンジ・ミリオフィラム以外の水草としては、前景草にショートヘアーグラス、中景草にクリプトコリネ、後景草にロタラを使用しています。
水温は年間を通じて25℃から26℃で管理となります。
その他に知りたい情報などがあれば、コメント欄で御質問ください。
オレンジ・ミリオフィラムの成長速度の測定方法について
次に、オレンジ・ミリオフィラムの成長速度の測定方法について記載します。
方法は単純で、植栽直後のオレンジ・ミリオフィラムの茎の長さをメジャーで測定し、数日ごとに同様に茎の長さを測定していくという方法です。
1本だけだと成長速度のデータ量が乏しいので、合計で5本のオレンジ・ミリオフィラムを選び、成長速度を測定していきました。
オレンジ・ミリオフィラムの茎は湾曲しているため、各測定データ点には最大で5mmくらいの誤差があると思います。ただ、オレンジ・ミリオフィラムの概ねの成長速度を知るには十分なデータかと思います。
また、本記事で紹介する成長速度のデータは、筆者の管理する水槽での実験結果となります。ですので、あくまでも参考データとしてお考えいただけましたら幸いです。
水上葉は鮮やかな緑色で水中葉がオレンジ色になる
オレンジ・ミリオフィラムの葉は、水上で育てた場合と水中で育てた場合で、見た目と色が大きく変わります。
今回購入したオレンジ・ミリオフィラムは、アクアリウムショップで購入した際には水上で育てられていたものでした。
下の写真を見ていただくと、左側の植栽直後の葉は緑色が強いのに対し、2週間程度が経過して水中葉が展開した時にはオレンジ色の葉が成長していることが分かります。
さらに、水中で成長した葉の方が、葉が細くなっていることもわかります。
オレンジ・ミリオフィラムは水上で育てても葉は細いのですが、水中ではさらに細い葉が展開していく特徴を持っています。
そのため、オレンジ・ミリオフィラムを水槽の中で育てると、わずかな水流でも葉が揺れるようになり、水槽の中に「動き」が生まれます。
写真で見るオレンジ・ミリオフィラムの成長
成長速度の測定結果を紹介する前に、植栽から3週間の間のオレンジ・ミリオフィラムの成長を写真で見て見たいと思います。
最初の写真は、植栽直後の様子です。
まだ、水中葉は展開しておらず、水上葉の鮮やかな緑色が映えている状態です。
次の写真は植栽から5日後の写真となります。
植栽した直後は、根の張りが良くないためか成長があまり感じられませんでした。しかし、4日から5日経つと頂点部から水中場がたくさん出てくるようになり、本格的に水槽内での成長が感じられるようになりました。
そして、3週間後の状態が次の写真となります。
葉の色は完全にオレンジ色となり、成長した分は全て水中葉の特徴が出ていることが分かるかと思います。
この頃になると、根元に近い部分から、脇芽の成長も見られるようになってきました。脇芽が成長すると更に葉の密度が上がり、こんもりとしたオレンジ・ミリオフィラムの森が出来るようになりますね!
ミリオフィラムの成長速度の測定結果
では、オレンジ・ミリオフィラムの成長速度を測定した結果を紹介します。
下のグラフが、5本のミリオフィラムの長さを、18日間測定した結果となります。
植栽した時点で、地上部の長さが約8cmから14cmのオレンジ・ミリオフィラムを選び、その長さを測定しました。
どのオレンジ・ミリオフィラムにも言えることですが、植栽から数日はあまり成長速度が上がりませんでした。
これは、上でも少し記載したのですが、根がしっかり張っておらず、成長のスイッチが入っていない状態であったものと思われます。
しかし、どのオレンジ・ミリオフィラムも植栽から1週間程度経過すると、成長にスイッチが入り、成長速度が上がっていることも見て取れます。
ただし、グラフの中で黄色の折れ線で示した1本は、1週間経っても成長にスイッチが入っていないように思えます。これは、植栽の仕方が適切では無く、上手く成長できていなかった1本だと考えられます。
5本のオレンジ・ミリオフィラムの成長速度について、平均を計算すると約0.5cm/日となっていることも分かりました。
この記事の終わりに
本記事では、水草水槽にお勧めのオレンジ・ミリオフィラムについて、その成長過程と成長速度の実測値を紹介しました。
オレンジ・ミリオフィラムは、水上では鮮やかな緑色の葉を展開しますが、水中で育てると葉の色がオレンジ色に変化します。また、水中で育てた場合の方が葉の幅が細くなり、弱い水流にも葉がなびくようになります。
水槽の中の水流でも葉に動きが出ることから、水槽の中に水草の「動き」や「揺らぎ」を導入したい方にもお勧めの水草だと思います。
また、成長速度の測定結果としては、約0.5cm/日と非常に速い成長を見せてくれました。
オレンジ・ミリオフィラムを他の水草と一緒に水槽に入れる際には、成長速度の違いも考えて植栽すると、イメージ通りの美しい水草水槽が完成すると思います。
本ブログでは、オレンジ・ミリオフィラム以外にも水草の成長過程を詳細に観察した記事が多くあります。お時間あれば、「検索」やカテゴリー「水草の知識」もご覧ください。