ミクロソリウムは、アクアリウムを長く楽しんでいる方であれば、多くの方が一度は水槽の中で育てたことのある水草です。また、これからアクアリウムを始める方にとっても、近い将来、水槽の中に導入することを検討する水草になると思います。
ミクロソリウムは耐陰性があり、弱い光の中でもすくすくと育ち、また鮮やかな緑色の葉を持つため、室内で楽しむアクアリウムにとっては強い味方になります。
また、ミクロソリウムには様々な種類があることや、熱帯魚から金魚の水槽など様々な水槽レイアウトに使えること、そして育てやすく枯れることがほとんど無いという点も人気の理由です。
しかし、ミクロソリウムを育てている多くの方が直面するのが、ミクロソリウムに発生するブツブツ病…ミクロソリウムの表面に発生する少し見た目の悪い吹き出物の様な物体です。
今回は、そのブツブツ病の対処について、私が実践している対処方法を御紹介したいと思います。
ミクロソリウムのブツブツ病の症状
まず最初に、ミクロソリウムのブツブツ病の発生する場所や、実際の症例について記載したいと思います。
ブツブツ病が発生する場所
ミクロソリウムのブツブツ病は、基本的には根以外の全ての部分に発生します。
茎となるランナーの部分や葉と茎の間の付け根の部分、そして葉本体にも発生します。また、新しい葉と古い葉にも依存することなく、発生し始めると、全ての葉に症状が見られ始めます。
最初は一部分にだけ発生している症状でも、しばらく経つと株全体に広がっていたり、隣り合うミクロソリウム同士でも伝染してしまったりします。
実際のブツブツ病の発症例
このブログ記事を作成している少し前に、ブツブツ病の除去対処をしていたので、少し良い例の写真が無いのですが…少しだけ残っている部分があるので、その写真を掲載します。
最初の写真は、茎の部分に発生しているブツブツ病です (黄色の矢印部分です) 。少しわかりにくいのですが、例えると小さな「海ぶどう」のような見た目と触り心地の物体が付着している状態です。
次の写真は、葉に発生しているブツブツ病です (黄色の矢印部分です)。ミクロソリウムの葉に発生する小さな球体は種にも見間違えてしまうことがあるのですが、これは葉の表面になりますので種ではありません。
上で紹介した2つの写真は、軽度のブツブツ病の状態です。この状態が続くと、葉全体がブツブツ病に覆われたり、ブツブツ病で茎が覆われることもあります。
ブツブツ病の原因は何?
アクアリウムショップの水草に詳しい方に伺いましたが、植物学に詳しい専門家の方でも、まだこの現象を完全に理解できていないのが現状と聞きました。
遺伝的なものがあるのか、育成過程で出来てしまう出来物なのか…
原因はわからないかもしれませんが、何とかして発生させない環境をTry and Errorで考えていくことはできるかと思います。
どのような条件で発生しやすい?
これまで多くのミクロソリウムを水槽内で栽培してきましたが、ミクロソリウムのブツブツ病は、様々な条件で発生することを経験しています。「この栽培方法だと確実に発生する!」という条件は今のところありません。
また、ミクロソリウムの株ごとにも発生しやすい株と発生しにくい株があります。同時に同じアクアリウムショップで購入した2株のミクロソリウムを同じ水槽に入れていても、片方はブツブツ病が発生して、もう片方は健康なままということもありました。
水温が20℃の金魚水槽、26℃の熱帯魚水槽でも発生しているので水温による発症率の差も無いように思えます。
ただ、私の経験で一つだけ言えるのは、ミクロソリウムが密集している状態だと隣りの株への伝染が起こりやすいということです。これは、多分確実に言えることだと思っています。
同じ水槽内で、水槽の左端と右端に植えてあったミクロソリウムがあったのですが、左端のミクロソリウムの株にはブツブツ病が発生しても、右側の株には発生しないこともありました。つまり、ミクロソリウムの株同士の距離は伝染の確率には関わっていそうです。
ブツブツ病は水洗いで除去可能
ブツブツ病は見た目がとても悪いので、ブツブツ病に感染したミクロソリウムが水槽内にあると、少し水槽の美観が悪くなります。
そのため、ブツブツ病のブツブツの部分だけは除去し、ミクロソリウムの株は残したいという方もいらっしゃるかと思います。もちろん、既にブツブツ病に感染してしまった株なので、廃棄してしまう方もいらっしゃるかと思います。
しかし、ブツブツ病のブツブツは簡単に除去することができます。
水槽から取り出して手で触れてみるとわかるのですが、ボロボロと崩れるようにブツブツ部分が取れていきます。
私はミクロソリウムの株はなるべく残しておきたい派の人間なので、使い終わった柔らかめの歯ブラシを使って優しく擦って除去しています。上で紹介したブツブツ病の発生したミクロソリウムも、歯ブラシでブツブツ部分を除去した後のものになります。
ミクロソリウムは、あまり激しく擦ってしまうと、葉が破れたり葉が切れてしまう原因になるので、あくまでも、株に傷をつけないような力の強さで作業してみてください。
ブツブツ病のブツブツを除去しても、ブツブツ病が再発する可能性もあります。しかし、再発しても定期的にブツブツを除去してあげれば、長くそのミクロソリウムを水槽内のレイアウトに使うことができますよ。
ブツブツ病の発生が抑制できた管理環境の紹介 (あくまでも参考事例)
私がミクロソリウムを育てていて、ブツブツ病が発生しにくいと感じた環境を紹介します。私の肌感覚で発生しにくいと感じた環境なので、あくまでも参考です。
ただ、植物学的には説明ができませんが、発生しにくくなると思われる理由についても少しだけ考えてみたので、以下に記載させていただきたいと思います。
ミクロソリウムの密度が低い時
私の水槽家管理しているミクロソリウムは、アクアリウムショップで小さな株のものを購入して育てているものになるのですが、水槽に導入した初期はブツブツ病が全く出ませんでした。
その株が大きくなり、ふさふさの葉をたくさん出すようになって、水槽内でも存在感が増してきた状態になった時に、突然ブツブツ病が出始めました。(上で少し紹介している水槽内の左側に植えていたミクロソリウムになります)
一つ考えられるのは、ミクロソリウムの密度が低く、ミクロソリウムの周辺の水が淀みにならないような状態と言うのはブツブツ病が発生しにくいのではないか?と思います。
水草ではありませんが、園芸用の植物も葉が密集していると、病気になりやすかったいり、害虫の温床になったりすることがあります。園芸の世界では、病害虫を防ぐために、葉の密度を減らして風通しを良くするという方法が有名ですが、水草についてもそのような対応が必要なのかもしれません。
強い水流が当たっている場所では発生しにくい?
上でミクロソリウムの葉や株の密度の話をしましたが、それに関わることで「水流」の強さも関係していそうな気がします。
以前、ミクロソリウムを入れている金魚水槽があったのですが、外部フィルターの水流が強く当たる部分と水流がほとんど無い部分の両方に、石に活着したミクロソリウムを置いていました。
その時、水流が強く当たる部分のミクロソリウムにはブツブツ病が全く発生しませんでしたが、水流の無い場所のミクロソリウムには軽度のブツブツ病が見られました。
水流が当たっている部分は、ミクロソリウムの葉が強く揺らされている状況でしたが、水流が強い環境の方がブツブツが発生しにくいのかもしれません。
まだ、実験数が少ないのであくまでも参考ですが、葉の密度や水流の強さと言った栽培環境は、ブツブツ病の発生頻度に関わるものなのかもしれません。
ブツブツ病が原因で育成不良になったミクロソリウムの実例 [2021/03/29追記]
ミクロソリウムのブツブツ病は、茎や葉にできても除去が出来るのですが、成長点にブツブツ病が出来てしまうと新しい葉が展開しなくなる状態になります。
金魚水槽にミクロソリウムを入れていたのですが、突然ブツブツ病ができ始めて、新しい葉が全く展開しなくなりました。
原因を調べてみると、新しい葉が出てくる成長点となる部分にブツブツ病が発生して、ブツブツだけが成長してしまい新しい葉が出て来ないという状況です。
下の写真が実際の状況なのですが、黄色の矢印で示している部分が成長点になるのですが、この場所にブツブツ病が出来てしまい、新しい葉が全く展開できないような状態です。
この例の様に、成長点部分にブツブツ病が出てきてしまうと、はっきり言ってかなり重症のように思えます。
ブツブツ病が出ている部分を切り落としてみたのですが、今度は次の成長点の部分にもブツブツ病が発生してしまいました。つまり負の連鎖が待ち構えていることになります。
そのため、このように成長点からブツブツ病が出てしまうと、新しい葉が展開できないため、株の調子が一気に悪くなります。最悪の場合、廃棄しなければならない可能性が高くなります。
この記事の終わりに
この記事では、ミクロソリウムに発生するブツブツ病について、発生する症状や場所、そして発生を抑制できていた水槽内環境を紹介させていただきました。
ミクロソリウムのブツブツ病は、その原因が完全に解明されていませんし、様々な環境で起こる可能性があるため、完全に防ぐことは難しい病気です。
しかし、私の経験からですが、水槽内でのミクロソリウムの密度や水流の強さ、また水温や肥料の条件などで発生しにくい環境を作れる可能性もあるのかと思います。
淡水アクアリウムのミクロソリウム栽培においてブツブツ病の抑制は一つの課題ではありますが、ブツブツ病と上手く付き合いながら、ミクロソリウムの綺麗な水槽レイアウトを作っていきたいものです。