メダカの人気が続く中、メダカの品種改良により、熱帯魚にも負けないような美しさや彩を持ったメダカが生まれてきています。
そんな美しいメダカが出てくると、アクアリストとしては、他の熱帯魚と混泳させてみたいという思いが強くなるのではないでしょうか?
単純に考えると、小型の熱帯魚であれば混泳可能だろうという考え方に行きつくのですが、実は気にしておくべきポイントもあります。
私自身、メダカと熱帯魚の混泳を何度も行っていますが、ちょっと相性の悪いような熱帯魚もいるなぁ…という経験をしています。
この記事では、メダカと熱帯魚の混泳について、ポイントとなる点を御紹介していきたいと思います。
メダカと混泳可能な熱帯魚の条件
5~6cm以上の中型魚は避けた方が良い
メダカの体長は品種にも依存しますが、平均的には成魚で4cmくらいです。
また、メダカ自体が温厚で臆病な性格の持ち主のため、混泳環境ではどちらかというと攻撃を受けやすい側の魚になります。
特に混泳相手がメダカよりも一回り以上大きくなってくると、臆病なメダカは水槽内の隅の方に追いやられたり、表に出てきにくくなってしまう場合があります。
私の経験ではグラミーのいる水槽で混泳させていた時は、その傾向が出てくるなぁ…という印象でした。(メダカをグラミーのいる水槽に、一時避難させていた時の事ですが…)
混泳させるのであれば、メダカと同じくらいの大きさの魚がベストだと思います。ただし、外国産の熱帯魚の中には、メダカと同じ大きさでもかなり攻撃的な魚もいるので事前の確認はしておくことに損は無いです。
攻撃的な魚では無いこと
これはメダカとの混泳というより、そもそも混泳が難しい熱帯魚という内容になりますね。
シグリッド系の攻撃的な魚は、たとえ体格が小さめの魚でも、高い確率でメダカを追い払うような行動をとると思われます。
例えば、一般的な熱帯魚としてはラミレジィが該当しますね。縄張り意識もある魚なので、メダカがテリトリーに入ると追い払うことがあるかと思います。エンゼルフィッシュなどの自分よりも高くのある魚にも喧嘩を仕掛けていく魚なので…。
また、私の飼育経験ですがコイ科のチェリーバルブなども相性が悪いと思われます。チェリーバルブって、結構縄張り意識が高い魚で、ネオンテトラなども追い払うような行動を取りますよ。
可能であれば低層から中層を泳ぐ魚が良い
水中におけるメダカの生活圏は、皆様御存じの通りですが、水面近くの表層になります。そのため、表層を泳ぐ魚ばかりを混泳させると表層だけ魚の密度が上がってしまうことになり、水槽内の魚の密度のバランスが悪くなります。
それを防ぐためにも、できれば混泳相手は中層から低層を泳ぐ魚が良いです。
下の見出しでは、混泳に適した相手も紹介をします。
熱帯魚と混泳させるなら水温管理が必要
海外が原産となる熱帯魚と日本固有のメダカには、体のつくりに決定的な違いがあります。メダカは日本の四季の変化に対応した体を持っていますが、熱帯魚は日本の寒い冬に耐える体を持っていません。
そのため、熱帯魚との混泳をさせる場合には、必ず熱帯魚に適した飼育環境を用意しなければなりません。
具体的には、冬にはヒーターを必ず使用し、水温は25℃前後を維持します。また、室内水槽での飼育が基本となりますので、必ずエアレーションによる酸素供給が必要になります。
メダカは室外のビオトープでフィルター無しで飼育ができますが、室内水槽では酸素供給がエアレーション頼みになるので必ずエアレーションが必要になります。
また、混泳をさせると水槽の中の生体数が多くなる傾向になりますので、必ずフィルターの設置が必要になります。外部フィルターがベストですが、少なくとも投げ込み式フィルター(ブクブク)は用意してあげて欲しいと思います。
メダカと混泳可能な熱帯魚の例
メダカと混泳可能であり、どこの熱帯魚ショップでも容易に手に入る熱帯魚を3種類紹介します。どの魚もアクアリウムショップで容易に入手可能な熱帯魚です。
ネオンテトラ(小型のカラシン科の魚)
この熱帯魚は王道中の王道ですね。
メダカと体の大きさも変わらず、メダカにはない青い体を持っているので、混泳をさせてもとても綺麗です。
私自身、熱帯魚飼育は「ネオンテトラに始まりネオンテトラに終わる」と勝手に思っていますが、それくらい基本的な飼育から混泳まで、注文の付きにくい魚で、問題が発生する可能性も低い優秀な熱帯魚です。
アフリカン・ランプアイ
目の上が水色に輝く熱帯魚ですが、実はメダカの仲間なんです。
確かに、よく見るとメダカと同じような体のつくりをしており、体の色も日本古来の鼠色のメダカに似ています。
性格がきつい魚では無いので、特に問題無く混泳できますが、生活圏が水面に近いところになるため、混泳させる「数」には注意が必要です。
コリドラス
熱帯魚の中で、最も混泳に影響が出ない魚として有名なコリドラスです。
ナマズの仲間になり、生活圏が水槽の中で低層部になるため、完全にメダカとは生活圏が異なります。
また、コリドラスは他の魚を襲うことが絶対にないので、メダカと混泳させても全く問題無いです。
混泳できそうでも止めておいた方が良い熱帯魚もいる
これは私が実際にメダカを熱帯魚と混泳させたときの話ですが、プラティとグッピーは混泳を止めた方が良いです。
まず、プラティですが、この魚は結構他の魚にちょっかいを出し、他の魚のヒレを口でつつく癖があります。
最近のメダカの中には少しヒレが長く改良された品種もいますが、そのような魚のヒレはプラティによってボロボロにされてしまう可能性があります。
また、逆の場合があります。メダカが他の魚にちょっかいを出す場合があります。
これは稀なケースなのかもしれませんが、私の水槽でメダカとグッピーと混泳をさせた時に、メダカがグッピーの長いヒレをつついていました。グッピーはその長く大きなヒレが美しく価値の出る魚なので、それをつつかれて傷ついてしまうとショックです…。グッピーはヒレが長く生活圏も被る魚なので、相性が悪かったのかもしれません。
メダカの繁殖を望むなら混泳は避けること
メダカの繁殖はとても容易で、雄雌を複数飼育していれば、高い確率で産卵してくれます。
勿論、産卵に必要な水草などを用意しておく必要はありますが、それさえ用意すれば繁殖で増えていく一方です。そのため、増えすぎることに注意が必要なくらいです。
しかし、熱帯魚と混泳させた場合、メダカの稚魚は熱帯魚にとっては餌になってしまいます。小型のネオンテトラも性格は温厚ですが、稚魚を見ると必ず襲って食べてしまいます。
そのため、メダカの繁殖を望むのであれば、熱帯魚との混泳は避けましょう。
もし、どうしても混泳させたいということであれば、稚魚を襲う可能性も低く、生活圏が異なるコリドラスがお勧めです。
この記事の最後に
この記事を書いている2020年も、メダカの人気がまだまだ続いており、新しく改良された品種が数多く発表されています。
改良品種のメダカは、熱帯魚にも負けないような美しさを誇るため、熱帯魚と一緒に混泳させたいと願う方も多いかと思います。
しかし、メダカと熱帯魚には、体のつくりや生息環境の違いがあるため、どちらかというと熱帯魚の飼育環境に合わせた水槽を用意する必要があります。
また、熱帯魚との混泳の相性についても熱帯魚側の問題だけではなく、お互いに傷つけあわないような相性を考えねばなりません。
ここで紹介した私の経験は、あくまでも参考であり、皆さんの環境下では同じことが起こらない可能性もあります。
実際に混泳をさせて相性や環境を見ながら、混泳の可否を判断してもらえればと思います。