淡水アクアリウムを楽しむ多くの方が、一度はお世話になるであろう生体が「ヤマトヌマエビ」です。
水槽内に生えたコケを食べてくれることから、コケ取り生体としてお世話になっている方も多いのではないでしょうか?
アクアリウムショップに行けば、ヤマトヌマエビを扱っていないお店は無いと言えるほどポピュラーで需要の高い生体でもあります。
そんなヤマトヌマエビですが、ヌマエビの中でも最大級の体長を持っており、大きく成長するとビーシュリンプやミナミヌマエビとは比べ物にならないくらいの大きさに成長します。
そして、大きく成長したヤマトヌマエビは、淡水水槽で最強のコケ取り生体と化し、様々なコケを食べてくれるようになります。今回の記事では、大きく成長したヤマトヌマエビのコケ取り能力等について少し詳しく紹介していきたいと思います。
飼育している大きなヤマトヌマエビ
まずは、現在コケ取り生体として水槽で飼育しているヤマトヌマエビについて紹介します。
今は60cm水槽内に大きなヤマトヌマエビを3匹導入しています。
下に写真を載せますが、どれも体調5cmに迫る超大型のヤマトヌマエビになります。
比較体長になる魚が近くにいないため、サイズ感が分かりにくいのですが、今年の夏 (2020年の夏) に水槽の大掃除を行った時に、3匹の体長を測定して、4.8cm, 5.0cm, 5.0cmであることを確認しました。ヤマトヌマエビとしては、最大級の大きさかと思います。
アクアリウムショップで販売されているヤマトヌマエビは3cm程度が一般的になり、5cmを超えるようなヤマトヌマエビはほとんど販売されていないと思います。ここまで大きく育ったヤマトヌマエビを飼育していることは、長くヤマトヌマエビを飼育して来た者の特権ですね。
下の写真は、私が持っている写真の中で唯一他の魚と一緒に写っている一枚になります。魚はLサイズの大きなレインボーフィッシュで5cm以上あるのですが、そのレインボーフィッシュとほぼ同じサイズであることがわかります。
大きく成長したヤマトヌマエビは様々なコケを食べてくれる
大きく育ったヤマトヌマエビは、この記事のタイトルの通りですが、最強のコケ取り生体になります。
様々なコケを食べてくれるため、この大きなヤマトヌマエビを飼育している60cm水槽の中では、水草にほとんどコケが発生していません。
ヤマトヌマエビは黒髭苔を食べてくれないという情報があったのですが、私の家ではヤマトヌマエビが黒髭苔を食べてくれている様子も確認出来ました。
下の写真がその時の様子ですが、流木に生えている黒髭苔があったのですが、ヤマトヌマエビがお腹を空かせていたのか…突然やって来て、黒髭苔をついばみ始めました。そして、食べた後を見てみると、確かに黒髭苔のあった場所から、黒髭苔が無くなっていたのです。
一般的にヤマトヌマエビは黒髭苔を食べないと言われていますが、私の水槽では黒髭苔を食べている様子を何度も確認できています。
もしかしたら、その個体によっても食べるものと食べないものがあるのかもしれませんが、私の水槽の大きなヤマトヌマエビは3匹とも黒髭苔を食べてくれています。
次の写真にはヤマトヌマエビが黒髭苔を食べた後の別の例を載せておきます。この写真の矢印で示す部分にも黒髭苔があったのですが、ヤマトヌマエビが最近食べて綺麗にしていきました。
ヤマトヌマエビに熱帯魚の残餌を食べさせないことが大切
ヤマトヌマエビを水槽の中でコケ取り生体として機能させるために重要なことがあります。
ヤマトヌマエビに人口飼料を与えないということです。
アクアリウムショップでの説明やアクアリウム雑誌などで「ヤマトヌマエビは熱帯魚の残餌も処理してくれるタンクメイト」という記載があるのを見かけます。
しかし、私から言わせるとヤマトヌマエビに熱帯魚の残餌処理をさせるという餌の管理は、熱帯魚の飼育方法としては間違っていると思います。熱帯魚が確実に食べきれる適切な量の餌を与えなければならないのに、ヤマトヌマエビに処理させるまで餌を与えるということは、確実に熱帯魚に対して餌の与え過ぎです。
また、ヤマトヌマエビが人口飼料の美味しさを覚えてしまったらどうでしょう?
ヤマトヌマエビは人口飼料ばかり食べてコケを食べることを止めてしまいます。
一度、人口飼料の美味しさを覚えたヤマトヌマエビは、苔の処理という観点では能力が落ちてしまうことは間違いありません。
「ヤマトヌマエビにも人口飼料を食べさせないと可哀想」と考える方もいらっしゃるかと思いますが、自然の中で生き抜いているヤマトヌマエビを想像してみて下さい。人口飼料なんてものは存在しない自然の中で、苔のみを食べて生きているんです。
水槽の中に水草・流木・石があれば、ヤマトヌマエビの餌となるコケが沢山生えてきます。それらを食べることができれば、ヤマトヌマエビが餓死するようなことはほとんどありません。
そのため、ヤマトヌマエビをコケ取り生体として導入している水槽では、熱帯魚にあたえる餌の量には気を遣い、ヤマトヌマエビが苔を食べる環境を意識してあげてください。
私自身、ヤマトヌマエビが人口飼料を食べないように、餌の量は必要最低限にして熱帯魚の飼育をしています。
大きなヤマトヌマエビを入手する方法
アクアリウムショップで大きなものを選ぶこと
ヤマトヌマエビを大きく成長させるためには、購入する時点で準備が必要です。
アクアリウムショップで購入する時には、販売されているヤマトヌマエビの中で最も大きなヤマトヌマエビから選んで購入してください。
身長160cmの人もいれば、身長200cmの人もいるように、ヤマトヌマエビにも大きく成長するものと、そこまで大きくならないヤマトヌマエビがいます。
アクアリウムショップで販売されている時点で大きく育っているものは、比較的餌をしっかり食べていて、かつ大きくなる可能性が高いものである場合が多いです。
私自身、ヤマトヌマエビを購入する時には必ず一番大きなものから順番に購入するようにアクアリウムショップの店員さんにお願いしています。
購入した後は約半年くらいは育て上げる
アクアリウムショップで購入した後は、半年以上は水槽の中でじっくりを育てていきます。
エビは脱皮を繰り返しながら成長する生物です。脱皮をすると抜け殻が水槽の底に落ちていることがありますが、成長しきると脱皮が見られなくなります。
脱皮の回数が減ってくれば、ほぼほぼ成長しきったサインでもあります。
早く大きく成長させたいからと言って、栄養価の高い人口飼料を与えるのはNGです。理由は上で記載した通りです。
大きく成長したヤマトヌマエビの注意点
大きく成長したヤマトヌマエビは、コケ取り生体としてとても能力の高いのですが、実は注意しておきたい点もあります。ここからは、その注意点についても紹介しておきたいと思います。
注意点① 少し気性が荒くなる
まず一つ目は、気性が少し荒くなることです。
大きな体になると、他のエビや小型の魚に対して力で勝るようになります。
そのため、枝場となるコケのある場所から小さな体のエビを追い出してしまうことも多々あります。
ネオンテトラやアフリカン・ランプアイのような小さな魚については、近くを通ると追い払うような仕草を見せる場合もあります。
また、大きな体の魚に対しても怖がることなく立ち向かっていく姿も見られることがあります。私の経験ですが、大きなヤマトヌマエビを金魚水槽のコケ取り生体として飼育していましたが、金魚の背中に乗っかっているヤマトヌマエビを見たこともあります。
ただ、他の魚を傷つけるようなことは無いので基本的に放任していますが、気性の荒さが気になってしまう方もいるかもしれません。
注意点② 糞の量が非常に多い
次の困りごとは「糞の多さ」です。
ヤマトヌマエビがしっかりとコケを食べてくれた証拠でもあるのですが、苔を食べたら食べた分だけ糞をします。
特に大きなヤマトヌマエビになると食べる量も多くなり、糞の大きさも大きくなるので、水槽の底にヤマトヌマエビの糞が堆積することがあります。
下の写真は、私の水槽の底の写真ですが、ヤマトヌマエビの周りに黒い粉が落ちていることが分かるかと思います。実はこれが全てヤマトヌマエビの糞です。
特に明るい色の砂利や砂を使用されている場合には、この黒い糞が目立つようになります。水替えの際に、ホースで糞を除去しても1日経つと元通りになります。
コケを取ってもらった分、糞が多いことは仕方ないのですが、大きなヤマトヌマエビとなると糞の量が多いので、水槽の美観を保つという意味では少し厄介なデメリットと言えます。
この記事の最後に
この記事では、大きく成長したヤマトヌマエビのコケ取り能力の高さについて紹介をさせていただきました。
アクアリウムショップで販売されているヤマトヌマエビは3cm程度のものが主流ですが、上手く飼育して大きく成長させると5cmを超えるようなヤマトヌマエビに成長します。
そのように大きく成長したヤマトヌマエビは、黒髭苔を食べることも確認できたので、淡水アクアリウムの最強のコケ取り生体と言っても良いかと思います。
茶ゴケ、糸状藻、黒髭苔等、あらゆるコケを食べて美しい水槽の水景を維持することに一役買ってくれます。
ヤマトヌマエビを導入する際には、なるべく大きなものを選び、脱皮を繰り返して大きく成長するように工夫してあげてみて下さい。