熱帯魚の泳ぐ水槽、色とりどりの多くの魚が泳ぐ水槽は本当に綺麗で、目を奪われるものがあります。
実際に熱帯魚の飼育を始めると、あの熱帯魚も欲しい、この熱帯魚も飼育したいという気持ちになりますよね…そのため、同じ水槽の中で異なる魚種を混泳させたり、種類は同じでも多くの魚を飼育したりする場面が多々あるかと思います。
熱帯魚を始めたばかりの方も、多分近いうちにそのような衝動に襲われて、多くの熱帯魚を飼育したくなるのだと思います。
ただ、熱帯魚を混泳させる場合には、魚同士の相性を考えたり、そもそも混泳させて良い品種の魚なのかを確かめる必要もあります。
この記事では、熱帯魚の混泳における注意点や、混泳が与える良い影響なども御紹介したいと思います。
熱帯魚を混泳させるメリット
まずは、複数の熱帯魚を混泳させる場合のメリットについて紹介しておきたいと思います。実は、熱帯魚の混泳は魚の習性に基づいて、良い影響を与えることが多くあります。まずは、その点を紹介しておきたいと思います。
小型の魚同士で群泳して安心して泳ぐ
熱帯魚の中でも、小型のカラシン科の魚は魚種が豊富で、どれもが美しく輝く体を持つため、熱帯魚を代表する人気の品種になります。
代表的なところで言えば、ネオンテトラやカージナルテトラですね。
これらの小型の魚は、生まれながらに持つ習性として、群れを成して泳ぐ魚になります。そのため、飼育する水槽の中でも、複数匹を飼育する方が魚が安心して暮らせる状態になります。
ネオンテトラやカージナルテトラは体も小さいので、60cm水槽に10匹くらい混泳させても、何の支障もありません。また、群泳している方が美しいので、是非複数を入れて鑑賞を楽しんでみて下さい。
この習性は、ネオンテトラ系の小型魚に限ったことではありません。ラスボラやプラティなどの小型の魚も同じです。同じ種類、親戚にあたる品種が同じ水槽にいると安心して水槽の前面に出てきてくれます。
仲間がいることで拒食を防ぐ
これは私が経験したことですが、仲間がいる時には餌の時間になると一緒に餌を食べに出てきていたのに、不運にも1匹だけになった時に餌を食べなくなってしまった魚がいました。
チェリーバルブという赤いコイ科の熱帯魚です。
以前、私の水槽に元々2匹が泳いでいて、一緒に水槽内を泳ぎ回っていたのですが、1匹が水槽から飛び出してお星様になってしまいました。その後、残された1匹は仲間がいなくなってしまい、水槽の中で不安が募り、拒食の様な状態になってしまいました。餌を与えても、表に出てくることがほとんど無かったです。
水槽内に外敵となるような魚はいなかったのですが、仲間がいることで一種の安心感を得ていたのだと思います。その安心感が無くなり、行動することに不安が出てきてしまったんだと思われます。
そのような魚もいるので、小型の魚を水槽に入れる際には最低でも3匹くらいは導入したほうが安心だと考えています。
混泳させるときの注意事項
熱帯魚の混泳は、小型の魚の方が上手くいきます。
そして、魚体が大きくなるにつれて混泳が難しくなるケースが多くなると言っても過言ではありません。
混泳が難しくなるケースを以下で紹介したいと思います。
攻撃的な魚か否かを確認すること
熱帯魚も良きもので、自然の中では力のあるものが生き残る「弱肉強食」の世界で生き抜いています。
特に、この弱肉強食の攻撃的な性格は体長が5cm以上になるような肉食魚で出やすい性格です。弱肉強食という四文字熟語の通り、身体が大きくなるほどにその傾向が強くなります。
そのため、混泳させる時には熱帯魚ショップの店員さんに攻撃的な魚なのか?他の魚を追い回すことが無いのか?を確認しておきましょう。
成長して大きくならないか?-体格の差-
成長して大きくなるパターンも注意が必要です。
熱帯魚の中には、生まれてすぐの時には小さいが成長すると1mくらいになるような魚もいます。例えば、アロワナなどですね。
飼育を始めて2か月くらいは小さいままで良いのですが、半年を超えてくると成長に加速が入り、あっという間に混泳させている魚よりも体格が大きくなり、小さい魚をいじめるようになることが多々あります。
この点も、ショップ店員さんに「最終的にどこまで大きくなるのか?」という点を確認しておく方が賢明です。
私はエンゼルフィッシュで痛い目に合いました…。エンゼルフィッシュは、熱帯魚ショップでは5cm位の小さなものが売られていますが、大人になると体長15cm位で、縦に伸びるヒレは20cm以上になります。
小型の魚が餌になってしまうことがある
中型から大型の魚になると、他の魚を捕食してしまうケースがあります。
例えば、ラミレジィやエンゼルフィッシュ、そしてディスカスなどのシグリッド系の魚は、ネオンテトラ程度の魚は口に入ると食べてしまいます。
また、ビーシュリンプについてはシグリッド系の魚の大好物なので1日にして捕食されてしまうと思います。
そのため、混泳させる時には肉食魚なのか?他の魚を食べるのか?という点は確認をしておくべきです。
熱帯魚を単独飼育するメリット
次に熱帯魚を単独飼育 (1匹だけで飼育すること) する場合のメリットについて紹介しておきます。
単独飼育は水槽の中に1匹しかいないので、少し寂しい感じがするのですが、それはそれで良い点もあるのです。
水槽内での魚同士の喧嘩が無くなる
喧嘩する相手がいないので、水槽内でいじめられてしまう魚や追い回されてしまうような魚がいなくなります。
つまり、一番平和な水槽内の環境が実現できるのです。
魚の種類に依っては、お互いの体を傷つけあい、ボロボロになるまで喧嘩をするものもいるので、単独飼育しないと命に関わる場合があります。
そのような魚は、必ず単独飼育するようにします。特に縄張り意識が強い魚にも注意が必要です。
美しい魚体に育て上げられる
単独飼育する場合、他の魚から被害を受けることも無いですし、水槽の中で追い回されたりすることも無いので、魚の体が傷つかず美しい状態を維持できます。
また、混泳によってストレスを感じる魚もいるのですが、そのストレスの心配もないため、魚体の発色が良くなったり、模様が鮮明に仕上がるという効果も期待できます。
一匹の魚を精魂込めて美しい魚に仕上げてみたい方は、単独飼育することを検討しても良いかと思います。
臆病な魚の単独飼育は止めておくべき
上でも少し触れたのですが、単独飼育させる魚種にも注意が必要です。
群れを作ることで安心感を得る、臆病な小型の魚は、単独飼育すると水槽の隅に隠れてしまい、そこから出て来なくなる場合が多いです。
折角、綺麗な魚を迎え入れても、ずっと物陰に隠れたままでは寂しいですよね。
それにネオンテトラを1匹飼育しても、ちょっと水槽としては寂しく物足りないことは間違いありません。
また、隠れたままでも餌を食べてくれれば良いのですが、餌を食べなくなると生命維持に危機が起こる場合もあるので注意が必要です。
様々な熱帯魚と混泳可能なコリドラス
熱帯魚の中で、比較的どんな魚とも問題なく混泳できるのがコリドラスです。
コリドラスはナマズの仲間ですが、非常に温厚な性格で、鋭い歯や強い顎を持たないため、他の魚を襲うこともありません。
また、住んでいるのが水槽の底になるため、生活域が他の魚と被ることもなく、喧嘩や縄張り争いが起こることも無いです。
さらに、コリドラスには100種以上の種類がありますが、種類の異なるコリドラスを混泳させても、問題が起こることはありません。敢えて言うなら、種を超えた繁殖をしてしまうことがあるくらいです。
単独飼育した方が良い熱帯魚の例
エンゼルフィッシュ
私は以前の記事でも紹介しましたが、エンゼルフィッシュの飼育でかなり痛い目にあいました。
エンゼルフィッシュは誰にでも比較的安心して育てられるという紹介をみて飼育をしたのですが、3匹を同一水槽に入れると毎日の様に喧嘩の繰り返しで、美しいヒレがあっという間にボロボロになっていきました。
また、エンゼルフィッシュがまだ小型だったので、比較的泳ぎの上手なアフリカン・ランプアイを混泳させていたのですが、私の見ている目の前でアフリカン・ランプアイを捕食して食べ始めたのです…。
エンゼルフィッシュは、確実に単独飼育が良いと思います。
ベタ
ベタは別名「闘魚」という名前が付いている通り、オス同士が激しく戦い合う魚です。
あの美しい姿に反して、非常に闘争意識が高い魚です。
その昔、原産国である東南アジアでは、ベタを戦わせて強いベタを持っていることが一つのステータスだった時代があるそうです。それくらい闘争心のある魚ですので、ベタのオス同士の混泳は避けましょう。
ただし、ベタはネオンテトラなどを混泳させることはできます。実際は、私の飼育しているベタの水槽にはネオンテトラを入れていますが、喧嘩することはありませんね。ベタはのオスは長いヒレを持つものは泳ぎが苦手なので、もしネオンテトラが襲われることがあっても確実に逃げ切ってしまいます。
この記事の最後に
この記事では、熱帯魚の混泳についてのメリットや、混泳することによって弊害が出る例を紹介させていただきました。
アクアリストの方であれば、1つの水槽で複数の魚を、数多く飼育したいという願望が必ずあると思います。
しかし、魚の本能や生まれながらに持つ性格を理解した状態で飼育すると、たとえ単独飼育であっても、飼育が上手くいかなくなることがあります。
経験することも大事ですが、一つの命を預かる身として、最低限必要な知識を密にけた上で、新しく迎える熱帯魚を迎え入れたいものですね。