金魚による水草の食害例と金魚に適した丈夫で美しい水草

誰もが一度は飼育した経験があるであろう金魚ですが、皆様は金魚を飼育される際にどのような水槽レイアウトで飼育をされましたか?

一番オーソドックスな金魚水槽は、水槽の底に砂利を敷き、投げ込み式フィルター (ブクブク) を入れるというものかと思います。また、日本の四季の中でも栽培可能なカボンバなどの水草を入れて経験もあるのかと思います。

近年のアクアリウムでは、珍しい水草や美しい水草を育てることもブームになっており、金魚の水槽の中でも様々な水草栽培にチャレンジする方も多いと聞きます。

しかし、金魚は雑食性が高いため、水草の食害が問題になります。

この記事では、金魚が水草を食害してしまう背景や、金魚による水草の食害の例、金魚の水槽に不適切な水草・適した水草を紹介したいと思います。

これから金魚の水槽作りを行う方に御参考になれば幸いです。


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金魚の雑食性で水草が食害される

金魚は皆さんご存じの通り、フナが突然変異で赤くなったものを品種として固定化させた魚になります。

フナはコイ科の魚になりますので、金魚もコイ科の魚に属しているわけです。

コイという名前を聞くと、どのような魚のイメージがあるでしょうか?

錦鯉などの美しい魚を想像する方もいらっしゃるかと思いますし、汚い川や水路を泳ぐ黒いコイを想像する方もいらっしゃるかと思います。小学生時代に池のコイを釣りのターゲットとして楽しんだ経験のある私としては、後者のイメージが強いです。

コイはあまり水質の綺麗でない場所でも生活ができますし、餌が豊富な場所で無くても生き抜く力も持っています。それはコイが「雑食性」を持つ魚であることに由来するものです。

例えば、ブラックバスやブルーギルは、小魚やエビなどがいない場所では食べ物が無いために生き抜くことは厳しくなります。しかし、コイは水底に住む虫や小魚を食べるだけでなく、藻や苔、水草なども食べる魚になります。

この雑食性があるからこそ、池や沼、川、そして水路などの様々な場所で生活ができるのです。

そんなコイを祖先に持つ金魚も、もちろん同じような雑食性の特徴を兼ね備えた魚になります。

金魚は成長すると数十cmの魚になるため、口の大きさも大きくなり、アクアリウムで人気の水草であればいとも簡単に葉を引きちぎって食べてしまいます。葉を食べなくても、口に何かを入れようとして葉を引きちぎることが多々あります。

これが金魚が水槽内の水草レイアウトを食害・破壊してしまう根本的な原因となります。

もちろん、自然界でも金魚は水草を食べます。ただし、自然界の水草の量は水槽内とは違って大量にあるので、多少食べられても問題はありません。水槽内では水草の数も限られていますし、水槽と言う狭い空間なので食害を受けると目立つ状態になってしまいます。

金魚による水草の食害の実例

では、実際に金魚によって食害を受けてしまっている水草の例を紹介します。

下の写真は「詫び草」に含まれる有茎草が食害にあっている例です。

赤色の矢印を4つ入れているのですが、その矢印の先にある水草には葉がほとんどありません。茎だけが残り葉が全く無くなってしまっているような状況です。

ロタラなどの有茎草になるのですが、見事に葉だけが食害され、新芽が伸びてきてもその新芽も食べられてしまうので古い茎だけが残っているような状況です。

上の写真の例では、熱帯魚の水槽に使用していた詫び草をそのまま金魚の水槽に入れて再利用した時のものです。金魚水槽に導入してからわずか2週間程度で、水草たちがこのような悲惨な状態になってしまいました。

また、この写真を撮影した後も継続して金魚による食害を受けたため、この詫び草は水草の葉がほとんど無いような状態になってしまいました。


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金魚水槽に向かない水草

では、まず最初に金魚の水槽に向いていない水草から具体的な例と、金魚水槽に向いていない理由を紹介します。

前景草の水草全般

最初は前景草として水槽内のレイアウトに用いられる水草です。

具体的には、グロッソスティグマ、ショートヘアーグラス、キューバパールグラスなどになります。

金魚は口に入るものを何でも食べようとするため、口に入るサイズの葉は食害を受けることになります。

また、金魚は水底のソイルを口に含んで吐き出すように食べ物を探すため、全景層の場合には根こそぎ水草が抜かれてしまう場合があります。

そうなると、せっかく植栽をした水槽のレイアウトが、ことごとく崩されてしまうことになります。

前景草はそこまで成長速度が速いわけではないため、育成に時間がかかります。植栽直後に金魚を水槽に入れたら確実に水草のレイアウトを崩されてしまうので、前景草がある水槽には金魚は入れないようにして下さい。

ロタラなどの葉が柔らかく小さい水草

水槽内の後景草として人気の高いロタラなども食害の対象になることが多いです。

理由は葉が小さく、かつ柔らかいため、金魚が口に含み易く簡単に葉がちぎれてしまうからです。

ロタラは水中葉がとても綺麗な植物なのですが、金魚水槽では利用が難しいと言えます。また、その他の後景草も、葉が簡単にちぎれてしまうような水草は金魚水槽には入れられないです。

金魚の食害に耐える美しい水草

金魚水槽の水草として利用できる水草の特徴としては、葉が大きく金魚の口に入らないこと、そして金魚の口の力に負けない比較的厚い葉を持っていることです。

それに当てはまる水草は多くは無いのですが、以下で一例を紹介したいと思います。

エキノドルス

1つ目は大きな葉が特徴的なエキノドルス属の水草たちです。

エキノドルスにも様々な種類がありますが、下の写真は「エキノドルス・ラジカンス」と呼ばれる水草で、とても大きな葉を持つ種類です。

これだけ大きな葉であれば、金魚が口に入れる心配はありません。しかし、葉が枯れてきて破れてしまったような場所がある場合、金魚の食害に合う可能性が高くなります。

次のエキノドルス属は「アマゾンソード」です。こちらも淡水アクアリウムでは比較的有名な水草になります。アマゾンソードの葉は細長いのですが、金魚に口に入るような大きさでは無いので食害を受けにくいです。

エキノドルスは成長速度も比較的早く、食害をされても次々と新しい葉を展開してくれます。つまり食害を受けた葉よりも、より多くの新しい葉を出してくれるような植物になります。

また、エキノドルス全般に言えることですが、葉の色がとても美しい黄緑色をしています。二酸化炭素の添加や強い光量のライトが無くても綺麗な葉が得られるのもメリットです。

ミクロソリウム

シダ植物の一つであるミクロソリウムも、金魚の水槽にはお勧めの水草です。

ミクロソリウムの葉は、上で得紹介したアマゾンソードに似ているのですが、ミクロソリウムの品種によっては比較的厚い葉を持っているものが多いです。

そのため、金魚が口に入れても葉が破れる心配が少ないことがメリットです。

また、ミクロソリウムは弱い光でも育つ耐陰性の水草であるため、一般家庭の水槽での栽培にも適しているという特徴を持っています。下の写真では、右側にある細長い葉を持つ水草がミクロソリウムです。

アヌビアス・ナナ

アヌビアス・ナナは淡水アクリウムの水草の中で最も有名な水草の一つであると思います。

サトイモ科で耐陰性があるため、弱い光の水槽でも新しい葉を成長させていくことができる、まさに淡水アクアリストの強い味方と言える水草です。

また、葉の厚みがあり、一般的な水草の2倍くらいの膜厚があります。さらに葉の大きさも金魚の口には入らない大きさであるため、食害がほとんど起こりません。

私の管理する金魚水槽の中では、金魚がアヌビアス・ナナの表面をつつくような仕草をしますが、食べたり葉を破るような事は起こっていません。


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この記事の終わりに

この記事では、金魚による水草の食害の例を挙げるとともに、金魚の水槽でも栽培が可能な水草を3種類紹介させていただきました。

アクアリウムショップで販売されている金魚や金魚すくいでゲットできる金魚は体長が3cm程度の小さな幼魚が多いです。しかし、金魚はあっという間に大きく育つので、最初は水草の食害をしなくても成長するにつ入れて食害が出てきてしまう場合もあります。

見た目はとても可愛い金魚ですが、食べる物の観点で考えると何でも食べてしまう貪欲な魚です。どんな種類の金魚を選んでもこの性格と性質は変わりません。

そのため、金魚の成長を見越して水槽レイアウトを作り、水草選びを事前に考えておく必要性があります。

この記事の内容が、金魚水槽での水草栽培および水草選びに御参考になれば幸いです。