ハイグロフィラの成長速度測定と株分けの方法を紹介

水草レイアウト水槽を立ち上げる時、水槽の前面に植栽する前景草と後ろに配置する背の高い後景草は意外と早く品種が決まります。

しかし、その中間に位置する「中景草」と呼ばれる水草は、そこまで背丈が伸びないことや成長が緩やかであるという特徴が求められるため、選ぶのに少し迷ってしまう事が多々あります。

水草も植物なので月日が経てば成長をしますし、常に一定の背丈で保たれる植物は種類が少ないかと思います。

この記事では、私がお勧めする中景草としてハイグロフィラ・ピンナティフィダを紹介し、その成長速度を実測した結果を掲載したいと思います。

ハイグロフィラ・ピンナティフィダはとても成長が遅く、背丈もそこまで伸びません。そのため、水槽のレイアウトを作る時に、成長しすぎる事を気にせずに中景草として導入できるというメリットがあります。

さて、ハイグロフィラ・ピンナティフィダの成長速度はどのくらいだったのでしょうか?

これからハイグロフィラを水槽で育ててみようと思っている方に、有益な情報となれば幸いです。


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ハイグロフィラは初心者向きの水草

ハイグロフィラはキツネノマゴ科の植物で、水草の中でも育てるのが比較的簡単な品種になります。

ハイグロフィラと一言で言っても、実はその種類が多く、ハイグロフィラ・ポリスペルマ、ハイグロフィラ・ピンナティフィダ、ウォーターウィステリア、ラージリーフハイグロ等が有名な品種となります。その他にも名前に「sp」と付いた、ハイグロフィラの仲間たちも数多く存在しています。

どのハイグロフィラも比較的弱い水槽用ライト (15W~20W) でも育ちますし、二酸化炭素の添加は不要、そして液肥や固形肥料も多く必要としません。

また、その育成は水質にも左右されることが少ないので、様々なレイアウト水槽に用いることができる万能な水草と言えます。

初心者の方が水槽レイアウトに適当に植栽しても、枯れることなくしっかりと育ってくれると思います。

私もこの記事で紹介するハイグロフィラ・ピンナティフィダを始めて育てましたが、何の不具合も無く力強く成長してくれています。特別な栽培方法も必要ありません。

成長速度を測定したハイグロフィラについて

今回の記事で成長速度を測定したハイグロフィラは、上で記載の通り「ハイグロフィラ・ピンナティフィダ」となります。

緑色の細長いギザギザの葉が特徴で、比較的成長が緩やかな品種となります。

入手方法については、水草を専門に扱っているアクアリウムショップであれば取り扱っているかもしれませんが、街のホームセンターなどでは取り扱いが無いと思います。

そのため、確実に入手する場合にはインターネット販売が確実だと思います。現物を確認して購入できないというデメリットはありますが、ネット販売であれば種類も豊富ですし、探す手間が省けます。

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成長速度の測定方法と成長前後の写真

それでは、成長速度の測定方法と実際に成長させた前後でのハイグロフィラの変化を写真で確認していきたいと思います。

成長速度の測定方法について

まず最初に成長速度の測定方法ですが、今回の記事では、ハイグロフィラの葉が伸びる成長速度と、株の高さの成長速度の2点を調査しました。

下の図にある通り、葉は葉の付け根部分から先端までの長さを測定、背丈はソイルの表面からハイグロフィラの成長点までの高さを測定しています。

ハイグロフィラの栽培条件について

ハイグロフィラ・ピンナティフィダの栽培条件ですが、60cm水槽に植栽したものを用いて測定しています。

ライトはGEX製のCLEAR LEDを使用し、フィルターはエーハイムの2213となります。ライトの点灯時間は1日10時間程度です。

魚は小型カラシンが20匹程泳いでいる状態です。

液肥は10日に1度与え、規定倍数よりもさらに2倍くらい薄めた液肥を用いています。二酸化炭素の添加はありません。

植栽直後から2カ月後の写真

では、植栽直後の様子と約2カ月経った後の写真を下に載せておきます。

ハイグロフィラは挿し木で販売されていることが多いため、最初はとても細く弱弱しい株だったです。しかし、2カ月の時が経つと、どんどん成長して葉の量、葉の長さもかなり大きなものになってきました。

ここまで成長すると水槽の中でも存在感が少し増してきます。

成長速度の測定結果

では、ここからは実際に成長速度を測定した結果をグラフで紹介していきたいと思います。

背の高さの成長速度と葉の長さの成長速度に分けて紹介していきます。

背の高さの成長速度

まず最初は背の高さの成長速度になります。

下のグラフに示すように、3つの株の成長速度を測定しました。測定期間は約2カ月となります。

グラフで見て分かる通り、3つの株が概ね同じような成長速度を有していることが分かります。この3つの株は上に載せた写真の通り、近くに植えてあるものになるので、栄養の状態やライトの当たり具合などに差が無かったことが一因では無いかと思います。

約2カ月で背の高さは約4cm程度は伸びていることになります。

そして、気になる成長速度ですが、3つの株を平均すると0.7mm/日となりました。1日当たり1mmも成長していないということになりますね!

後景草に使われる背の高い水草達は、1日に1cmくらい成長するものもあるので、それに比べるとかなりゆっくりな成長であることがわかります。

葉の長さの成長速度

次に葉の長さの成長速度になります。

葉の長さについては、私が適当に選んだ4枚について2カ月の間長さを測定した結果となります。

下のグラフに結果をまとめていますが、葉の長さについても4枚の葉は同じような成長速度を持っていることが分かります。

こちらも気になる成長速度を計算してみると、1mm/日となりました。上で紹介した背の高さの成長速度と比べると葉の方が成長速度が速いですね。

確かに、成長を見ていると葉は長く伸びていくのですが、成長点を持つ茎の頂点部分はあまり位置が変化していないように思えました。


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ハイグロフィラの株分け方法の紹介

次にハイグロフィラの株分けの方法を紹介したいと思います。

各種水草には株分けの方法がそれぞれあるのですが、ハイグロフィラの場合にはランナーと呼ばれる部分を切り落とすことで株分けが可能になります。

下の図に示すように、親株が成長してくると、ランナーと言う茎の様な部分が発生します。

私の栽培しているハイグロフィラの場合には、水槽に植栽してから約2にか月後にランナーが伸び始めました。株が充実して、子株を成長させる能力が付いてくるとランナーを伸ばすようになります。

この子株の根元の部分から新しい根が伸びて自立に向けた成長が始まります。

以下では、実際の例を写真で紹介したいと思います。

上の写真がハイグロフィラの親株と株元が写っている写真、下の写真がランナー部分を拡大した写真になります。

株元からランナーが伸び、所々から子株の葉が出てきていることが分かるかと思います。写真の中では青色の写真の部分に子株となる部分が発生していることも見て取れます。

この後、子株になる部分から根が成長したらランナーを切ることで株分けが出来るようになります。

ただし、親株からランナー部分を切り離すときには、子株の葉が生え始めた直後では無く、少なくとも数週間経過して根がしっかりと出た状態で行ってください。

ランナーには子株に栄養を送り込む役割もありますので、子株に根が無い状態で切り離してしまうと子株が成長せずに枯れてしまう事もあります。

実際にランナーに発生した子株の部分に根が張り、それを切り取ったものが次の写真になります。

このランナーの場合には、3箇所から子株が発生し、それぞれに対して白い根がしっかりと伸びていることがわかります。

このような状態になると、自立させても根から養分を吸い上げられるので、枯れることなく株分けができます。

株分けを繰り返せば、ハイグロフィラの株数をどんどん増やしていくことができます。

この記事の終わりに -ハイグロフィラは中景草にぴったり-

さて、今回紹介したハイグロフィラ・ピンナティフィダですが、成長速度をあらためて見てみると1日当たり1mmも成長をしない植物であることが分かります。

つまり、植栽してからしばらくは、それほど株姿が変わらないような水草になります。

上の写真の様に植栽直後との写真を比較すると成長の具合は分かるのですが、そうでもしない限り成長していることを感じられそうにない植物です。

ただし、その株姿は美しく、とても長く鮮やかな緑色の葉が伸びます。そのため、他のレイアウト素材や水草を過度に邪魔することなく、水槽レイアウトの中景草として取り入れることができるかと思います。

また、ハイグロフィラは特に難しい管理条件は無いため、誰でも簡単に育てられます。光合成が行えるような最低限の水槽用ライトがあれば良いかと思います。

さらに、ハイグロフィラは成長するとランナーを伸ばして株分けが容易にできる水草となります。一株購入すれば株数を増やしていくことが可能であることも嬉しいポイントですね。