【アクアリウム】隠れている魚を表に出す対策とは?

水槽で魚を飼育していると、常に物陰に隠れてしまい、なかなか表に出てこない魚がいます。

長くアクアリウムをやっていると、そんな臆病な個体に出会うことが多々あります。

泳いでいる姿を鑑賞したいので表に出てきて欲しいのですが、生存を確認することが難しい状況になることもあります。(水槽の大掃除をすると、姿の見えなかった魚の骨だけが出てきたりすることもありましたが…。)

しかし、魚が隠れたままになってしまうのには必ず理由があって、その理由を見つけられれば、その問題を解決することができるかもしれません。

私が管理している水槽では、ある事をきっかけにして魚が隠れてしまったり、逆にあることをしたら隠れていた魚が表に出てきてくれたことがありました。

この記事では、私が経験したことのある「魚が隠れてしまう原因」と「それを解決した方法」について御紹介させていただきます。

水槽の中で魚が隠れてしまうという同じ悩みを持つ皆様に、少しでも御参考になれば幸いです。

【注意】この記事の内容は、筆者の経験をもとにして作成した内容になります。同じ方法で問題が解決しないこともあるかと思いますので、あくまでも参考事例としてお考えいただけましたら幸いです。


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物陰に隠れることは魚の本能であることを理解する

魚が物陰に隠れること自体は、自分の身を守るために魚が生まれながらに持つ野生の本能であるため、魚にとっては特に健康面で緊急の問題があるというわけではありません。

特に小型のカラシン系の魚やメダカ等は、周囲に自分よりも大きな肉食魚がいるような環境で暮らしているので、水草の中に隠れることで身を守る習性があります。

そのため、考え方を変えれば、魚にとっての隠れ家をあなたの水槽に用意できていると、ポジティブに考えることもできるのです。

ただ、アクアリウムは熱帯魚を鑑賞して楽しむ一面もあるので、表に出てきてもらわないと、ちょっと悲しく残念ですよね。

隠れ家となるレイアウトを無くせば、魚は隠れることができなくなりますが、それは魚に過度なストレスを与えている状況になりかねないので、あまり推奨することはできません。

隠れることが出来る場所を確保してあげて、その上で次に紹介するような、表に出てきてくれる環境作りをすることがベストとなるのではないかと考えています。

水草で隠れる場所がたくさんある水槽

水槽の中で魚が隠れてしまう幾つかのパターンと解決策

飼育している熱帯魚が、物陰や水草の中に隠れて出てこなくなってしまうのにも、いくつかのパターンがあります。

上で記載したように、その理由はその魚それぞれに依存しており、同じ解決策で解決できるとは限りません。

しかし、私が行った対策も一つの解決策として参考になるかもしれません。

以下では、私の飼育環境下で実際に起こった熱帯魚が隠れてしまったパターンと、その対策を紹介したいと思います。

①自分の水槽に入れた瞬間に隠れた場合

私は新しく水槽に迎える魚を選ぶ時、アクアリウムショップでは水槽の前面に出てきている魚を選ぶようにしています。

しかし、アクアリウムショップでは水槽の前面を泳いでいた魚でも、自分の水槽に入れるとその姿が嘘のように、すぐに隠れてしまうパターンが何度かありました。

具体的な魚の種類としては「ラミレジィ」と「チェリーバルブ」です。

新たに水槽に入れた魚は、入れた瞬間は隠れることが多いのですが、1日も経てばほとんどの魚は水槽の前面に顔を出してくれます。

しかし、該当のラミレジィとチェリーバルブは、流木の下に隠れたまま出てきませんでした。

餌の時間だけは少しだけ表に出て餌を食べていたので、健康状態は問題なかったのですが、常に流木の下で過ごすような状態でした。

これは、新しい水槽の環境に慣れることができないパターンです。

熱帯魚ショップの水槽の環境では、見慣れた仲間がいて慣れた環境だったが、環境が変わるとそれに対応できないというパターンです。

人で例えるなら、新しい職場や新しい学校になかなか慣れることができないパターンというのが近いかと思います。

私がこの状態を打開した方法としては、水槽内のレイアウトの変更です。

常に同じ場所に隠れている状態なので、ストレスは少し与えてしまいますが、隠れ家となっている流木を水槽から取り出しました。

すると、新しい隠れ家や居場所を探していましたが、最終的に表に出てくる時間が長くなっていきました。ちょっと荒っぽい方法になってしまうのですが、レイアウトを変更するというのは、水槽内の居場所をリセットするのに有効な手段ではないかと思います。

もし水槽の中で縄張りを主張する魚がいてテリトリーを持っている場合、レイアウトを変更するという行為は、そのテリトリーをリセットする方法としても有名です。

ラミレジィの写真

②水槽内の権力争いに負けて隠れてしまう場合

これは私がエンゼルフィッシュを新たに3匹飼育した時に起きたことです。

3匹のエンゼルフィッシュを水槽に入れて数日間は、3匹が仲良く表に出てきて、餌もしっかりと食べてくれていました。

しかし、1週間後に3匹のうち1匹が流木や水草の陰に隠れて出てこなくなりました。

これは、3匹のエンゼルフィッシュに力の順位が付いた証拠でした。

私自身が初めてエンゼルフィッシュを飼育した時の話で、水槽内で権力争いが起こるということを知らなかった時のことです。

購入した熱帯魚ショップでは仲良くしていた3匹だったのですが、新しい環境になるとそれまでの力関係が完全にリセットされ、私の水槽内での権力争いが起きていました。

3匹のエンゼルフィッシュに力の序列が付き、一番弱いと判断されたエンゼルフィッシュが居場所を無くして隠れてしまったのです。

こればかりは、私も適切な解決の策が作れなかったです。水槽内で一度序列が付いた環境は、人が解決することができません。

結局、隠れてしまった1匹を別の水槽に隔離しました。隔離した1匹は、隔離先の水槽では隠れることなく、表に出てきてくれましたよ。力の強かった2匹が怖かったのだと思います。

水槽内を泳ぐエンゼルフィッシュの写真

③水槽に新しく魚を導入したら、もとからいた魚が隠れるようになった

これは、上で紹介した水槽内での魚同士の権力争いに関係しています。

新しく水槽に入れた魚の方が、もともと水槽にいた魚よりも権力が強くなってしまったパターンですね。

私の飼育環境でこの状況が起こった熱帯魚はプラティでした。

その時は、もともとプラティを2匹 (雄1匹、雌1匹) 飼育していたのですが、後から3匹 (雄1匹、雌2匹) を水槽に追加しました。

その追加した雄のプラティが、もともと飼育していた雄のプラティを攻撃し始めたのです。そして、水槽内にいる雌3匹を囲い込むように泳いだのです。

後から水槽に入れた雄のプラティが、自分の子孫を残すために、雌のプラティを全て囲い込みました。

もともと飼育していた雄のプラティは権力争いに負け、石や水草の陰に存在を潜めてしまうようになりました。

上で説明したように、権力争いが関わるパターンについては、争っている魚のどちらかを別の水槽に隔離する以外に解決の方法はないと思います。

自然界は、強きものが子孫を残す弱肉強食の世界なので、その状況を生んでしまうと、人間の手で環境を変えることができない状況になってしまいます。

私は、権力争いに負けた雄のプラティを、別の水槽に隔離して飼育することにしました。隔離先の水槽では物陰に隠れることなく、常に水面を元気に泳ぎ回るようになりました。元の水槽では相当にストレスがかかっていたんでしょうね。

④明るい時だけ隠れている (夜行性の魚を除く)

夜行性の魚やシュリンプ類は、夜になると姿を現して活動を開始するので、昼間は表に出てきにくいのは特に問題ありません。

しかし、夜行性では無いはずの魚が、昼間は隠れていて夜になると水槽前面に出てくるパターンがありました。

このパターンになったのは、私の飼育環境下ではレッド・テトラでした。

アクアリウム仲間が飼育していたレッド・テトラを4匹譲り受け、水槽に入れて飼育を開始しました。そのレッド・テトラの1匹が、昼間は物陰に身を潜め、水槽用のライトを消灯すると表に姿を現す状態になりました。

餌は食べていたので心配はしていなかったのですが、どうも水槽用ライトの光が強すぎたのかと思われます。

自然界ではLEDライトの様に明るい光源が水面直上にあることは無いので、あまりにも明るいライトに不安が募り隠れてしまったものと考えられます。

LEDライトは、鑑賞性を上げたり水草の育成を促進する便利な道具ではあるのですが、魚が安心できる明るさかというと、そうではない場合もあります。

光の強さを調節できる商品もあるので、どうしてもこの状況を解決したい方は、そのような商品を使ってみることも一つの解決策です。

⑤人が水槽の前を通ると隠れる

これは熱帯魚が水槽の前を通る人に慣れていないパターンです。

水族館の魚を思い出してください。水槽の前を人が通過しても全く動じずに、優雅に水槽内を泳いでいます。これは、毎日のように多くの人が水槽の前を通るので、人に対する警戒心が全くなくなるのです。しかし、水族館の魚もしばらく人が通らない状況が続くと、野生の本能で人を恐れるようになるみたいです。

水槽内の熱帯魚についても同じことが言えます。

人に慣れてくると、餌の時間などに魚の方から寄ってくる状況になります。

人が水槽の前を通ると隠れてしまう魚は、時間をかければだんだん人に慣れて、隠れる行為が解決していくことが多いです。

しかし、魚種によっては解決しないパターンもあります。

コリドラスやプレコなどのナマズの仲間は小心者なので、1年くらい飼育しても懐かずに逃げていきます。

ただ、驚いて人から逃げているだけなので、健康状態を心配する必要もないですし、そのまま何もしなくても良いかと考えます。

水槽にゆっくりと近づくと魚を脅かさずに済みますので、この問題が解決することもありますね!

⑥同種の魚が一匹になったら隠れて出てこなくなった

同じ種類の魚を2匹か3匹飼育していて、寿命などが原因で1匹だけが水槽に残った場合、その残った1匹が隠れて出てこなくなってしまうパターンがありました。

私の水槽では、チェリーバルブとプリステラでした。

同じ種類の仲間がいる時には、仲間同士て寄り添って表に出てきていたのに、1匹だけ取り残されてしまうと出てくる勇気が無くなってしまうのです。

特に体の小さな魚は、大きな肉食魚から身を守るために、仲間同士で集まって泳いでいることが多いです。そのため、単独の状態になってしまうと不安になり、それがストレスになって隠れてしまうのです。

このパターンで熱帯魚が隠れてしまう場合は、同じ種類の魚を水槽に追加してあげると、簡単に解決します。新たに追加された仲間につられて、表に出てきます。

上で記載したチェリーバルブとプリステラも、仲間を追加してあげたら活発に出てくるようになりました。

やはり、小型の魚を飼育する時は、複数匹飼育して安心させてあげないと駄目ですね。

また、オトシンクルスの例ですが、飼育数を増やしたことで隠れていた個体が水槽の前面に出てくるようになった例もあります。下のリンクで紹介しています。


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この記事のまとめ

今回の記事では、水槽の中で物陰に隠れて出てこない魚を表に出すための方策について、私の経験と実際に行った対応を紹介させていただきました。

魚が隠れて出て来なくなってしまうのには、何らかの理由が必ずあります。

魚が隠れたままの理由には、水槽の環境に慣れないこと、水槽内での権力争い、仲間がいなくて出て来れないこと等、様々なパターンがあります。しかし、的確に原因を突き止めることもできないため、試行錯誤してみるしかありません。

私自身、隠れている魚を様々な方法で表に出そうとしますが、今でも隠れたままの魚がいます (ロングフィン・チェリーバルブという熱帯魚です) 。その魚を飼育して半年経ちますが、餌の時しか出てきてくれません。

熱帯魚は観賞魚とも呼ばれ、その綺麗な姿を見ることが楽しみの一つです。そのため、隠れている魚には表に出てきて欲しいという希望がありますよね。

ただ、無理な対策で逆効果になる場合もありますし、ストレスを与えてしまう場合もあるかと思います。ちょっと残念ですが、隠れてしまった魚をそのまま見守ることも選択肢の一つなのかもしれません。

本記事が同じお悩みを持つ方への参考になれば幸いです。