日本の河川に住む「ドンコ」という魚を御存じですか?
見た目はオオサンショウウオのような色や模様をしており「怪魚」と言われることもある魚です。
川魚は飼育が難しいというイメージもありますが、ドンコは比較的水質の変化や水温にも強い川魚ですので、特徴や飼育方法を知れば誰でも買うことができる魚です。
この記事では、そんな日本の小さな怪魚であるドンコの紹介をしたいと思います。
川魚のドンコとは?
ドンコの見た目や特徴 (日本の小さな怪魚)
ドンコと言う魚は、あまり馴染みのない方が多いと思いますので、まずは下の写真で現物を見てもらった方が良いと思います。これは私が飼育しているドンコです。
こんな魚が日本にいるのか?という意見もあるかと思いますが、恐竜やオオサンショウウオの様な模様を持っている魚になります。
まさに「日本の小さな怪魚」という見た目です。
体長は平均的に10cmちょっとですが、大きなものでは15cmくらいまで成長していきます。しかし、飼育環境の中では15cmを越していくものは稀なのかなと思います。
日本ではカジカという魚の方が有名かと思いますが、ドンコはそのカジカの仲間になります。カジカも少し怖い見た目を持った魚ですが、ドンコはカジカよりもさらに怪魚に近い見た目を持っています。
この見た目を気に入るか否かですが、私は子供の頃から川で捕まえてきたので、好きな川魚の一つです。
日本での分布域
ドンコは川魚になりますので、基本的には河川で見られる魚ですが、所に寄っては湖などにも生息している所があるかと思います。
ドンコにも様々な種類がいますが、静岡県よりも西に分布しているのは「ドンコ」という名前の種類で、山陰地方には「イシドンコ」と呼ばれるドンコをさらに黒くしたような種類も固有種として生息しています。
日本全国に生息しているのかと思いきや、実はドンコは暖かい地方にのみ生息しており、関東・東北や北海道には自生していません。
販売していないので自分で捕まえることが必要
ドンコはその見た目が怖いという理由もあると思うのですが、熱帯魚ショップやアクアリウムショップでも取り扱いがほとんどありません。
インターネットでの販売はあるのかもしれませんが、限られた販売元しか扱っていないと思います。
そのため、基本的には自分で川に入って捕りに行くことが必要になります。
静岡県以西の地域であれば、多くの渓流に住み着いていますし、渓流に行かずとも中流域の浅瀬などにも生息しているので、捕まえること自体は難易度は低いです。
私も2020年の夏に子供と川遊びに行って、関西の山の中でたくさんのドンコを捕まえました。
ドンコの飼育に必要な水槽と環境
ドンコの飼育に必要な環境は実はそこまで大変なものではありません。誰にでも飼育が可能な川魚だと思います。
以下で、実際に私が飼育しているドンコの飼育環境を基に、水槽や水温などの管理項目を詳しく紹介したいと思います。
水槽のサイズは大きめが良い
ドンコは10cm~15cm程度の大きさに成長するので、小さな25cm水槽では環境が狭すぎます。
また、夜に水槽の中を泳ぎ回ることもあるので、水槽が小さいと飛び出してしまうこともあります。実際に私がドンコの飼育を始めた時、水深の浅い水槽で飼育していたのですが、1匹が飛び出してしまったことがあります。
そのため、理想的意は45cm以上の水槽を用意して、水深も最低でも20cmくらいは作ってあげることが必要です。
隠れる場所を用意してあげる
ドンコは自然環境の中では基本的に石の下や草の中に隠れ住んでいる魚になります。
隠れることで安心感を得て生活をしますので、水草や流木、石を使って隠れる場所を用意してあげてくださいね。
また、複数匹飼育する時には、縄張りを主張する姿も見られたので、隠れるポイントを複数用意してあげる必要があります。
隠れる場所を用意すると日中は外に出て来なくなってしまうこともありますが、それはそれで仕方ないかなと思います。
水温や水質について
ドンコは清らかな水の流れる渓流から海に近い所まで、河川の広範囲に分布していることが多いです。
生活排水や工場排水で汚れた河川には住み着きませんが、比較的綺麗な水の流れている河川であればどこにでも住み着くことができます。
そのため、水槽内の水温や水質については、熱帯魚が飼育できるような環境を整えてあげれば問題無く飼育をすることができます。ドンコ自体は強い魚ですので、多少水質が変化しても生き抜いてくれます。
ただし、水槽内のアンモニア濃度や亜硝酸濃度が上がると命を落としてしまう危険性が高まるので、かならずフィルター (外部フィルターか上部フィルター) を設置して飼育水の生物濾過が回るようにしておくことは忘れないでください。フィルターが無ければ飼育は不可能です。
水温は熱帯魚と同じ25℃くらいで管理すれば良いですが、日本の川魚なので水温が低くても生き延びます。逆に夏場の高水温の方には気を付けてあげて下さい。熱帯魚よりも低水温には強いですが、高水温には弱いと思います。
私の飼育経験上での話ですが、夏場に30℃まで水槽の水温が上がったことがありますが、それでもドンコは生きていたので30℃前後までは生き延びれる水温かと思います。しかし、高水温は良いことは無いので、なるべく25℃程度をキープできる環境があることが望ましいですね。
pHについても弱酸性を維持していれば問題ありませんが、川魚は基本的に綺麗な水を好むので、週に2回は水槽の水の半分くらいを水替えするようにしています。
小さな魚やエビとの混泳はできません
ドンコは肉食魚です。
そのため、小さなエビや小魚と混泳させると、それらが餌になってしまいます。
例えば同じ日本の淡水魚のメダカやハヤなどの稚魚を混泳させると確実に餌食になってしまいますし、アクアリウムで人気のビーシュリンプ等も餌となってしまいます。
もし、ドンコと混泳させたいのであれば、ドンコと同じくらいの体格を持っている魚にしましょう。口に入るものは食べてしまうので、口に入らないサイズの魚であれば混泳は可能です。自分より大きなサイズの魚に攻撃をするようなことは見たことが無いです。
ドンコ飼育で最も困るのは人口餌に慣れさせること
ドンコに限ったことではないのですが、河川で捕まえた川魚の飼育で最も困るのは餌やりです。
ドンコは自然界で虫や小魚を食べて生活してきているので、急に人口飼料を与えられても見向きもしません。例え冷凍赤虫の様な生餌であっても食べてくれません。
そのため、最初はどのようにして餌を与えたらよいのか?わからないかと思います。私は川で捕まえた小エビを与えたり、ミミズを入れてあげて食べさせていました。
アクアリウムショップで販売されている熱帯魚は、国内で繁殖されて人口飼料で育てられてきたものが大多数なので餌やりに苦労はしません。
この点は、アクアリウムショップで購入した魚しか育てたことが無い方にとって、一番高いハードルになるのかと思います。
慣れてくれれば人口飼料や冷凍赤虫も食べてくれるようになるので、最初は水槽と言う環境に慣れてもらうことを目標に飼育を続けていきましょう。
私が飼育している2匹のドンコも、1匹は人口飼料に少し慣れているのですが、もう1匹は飼育期間1カ月経ってもまだ人口飼料に慣れていません。そのため、生餌 (小魚やミミズ、川エビ等) を確保して与えています。
ドンコ飼育のまとめ
この記事では、日本の河川に住む小さな怪魚「ドンコ」の飼育について紹介をさせていただきました。
アクアリウムショップでもなかなか見ることができない魚のため、あまり馴染みのない日本淡水魚ですが、水質にも底までうるさい魚では無いので、水槽でも飼育する事が可能です。
夏の休日にお子さんと一緒に渓流へ遊びに行くと出会うことが出来る魚ですので、お子さんに「飼育したい」と言われることもあるかと思います。
金魚を飼育するような水槽でも飼育が可能ですので、この日本の小さな怪魚「ドンコ」を飼育してみてはいかがでしょうか!?
ただし、飼育開始直後の餌やりだけは子供だけでは解決できないと思いますので、飼育する際には大人が手伝ってあげて下さいね。