水槽用ライトの違い (光量) がコケの生える速度に与える影響

アクアリウムの美観を損ねてしまう原因の一つが、水槽のガラス面に発生する「コケ」です。

水草や流木に生えてしまうコケと同様に、水槽のガラス面に生えるコケの抑制は、アクアリストの皆様にとって、水槽管理の課題の一つであると言えるかと思います。

私自身も、アクアリウムを始めた当初から水槽のガラス面のコケに悩まされ、あの手この手を使って対処をしてきました。

現在では、ADA製のプロレイザーで定期的にガラス面を清掃しているため、ガラス面の美観を維持しておりますが、その努力を少しでも怠るとコケが大量に生えてしまいます。

コケが生えるためには、肥料と光が必要になるのですが、水槽内には「魚の排泄物」や「水草用の液体肥料」があり、光源として水槽用ライトがあるため、コケが生えやすい環境であると言えます。

そのため、コケ抑制剤を使わない限りは、多くの場合にコケの定期的な除去をしなければならないのが現実だと思われます。(水槽用ライトを使わない場合には、本記事後半で紹介するように、コケは生えにくくなります。)

では、水槽の環境を変えた場合には、コケの生え方にどのような違いが出るのでしょうか?

今回のテーマとして、水槽用ライトの数を変化させて (ライトの光の強さを変化させて) 、コケが目立ち始めるまでに要する時間を比較してみたいと思います。

水槽用ライトの増設を検討している方や、水槽内のコケの生え方に興味がある方に、少しでも御参考になれば幸いです。

【注意】本記事の内容は、筆者が管理する水槽で独自に行った実験となります。コケの生え方は、水槽環境によって大きく異なりますので、あくまでも参考事例としてお考え下さい。


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実験に用いたライトの種類を紹介

今回の実験に使用する水槽ですが、私が管理している60cm規格の水槽になります (下の写真参照) 。

水草レイアウト水槽の一つとして管理している水槽となりますが、設備や管理方法の詳細は以下の通りです。

1. フィルター:エーハイム 2213 (外部フィルター)

2. 水槽用ライト:GEX製 CLEAR LED POWER III + Aqullo製 Triangle LED

3. 二酸化炭素添加:ADA製 アドバンスシステム – フォレスト

4. 二酸化炭素添加量:4~5秒に1滴

5. 飼育生体:ミナミヌマエビ約20匹, 小型カラシン20匹, ラミレジィ3匹, ネオンドワーフレインボー1匹

6. 水温: 年間を通じて25℃で管理

7. 換水頻度:週に1度、水量の1/2を換水

8. 水槽用ライトの点灯時間:約8時間/日

9. 水草用液体肥料:使用無し

これらの中で、今回は水槽用ライトの使い方だけを変化させて、水槽ガラス面へのコケの生え方の変化を見ていきたいと思います。それ以外の条件は、出来る限り揃えて実験します。

下の写真の様に、2台の水槽用ライトを設置している水槽となります。

それ以外に知りたい情報などございましたら、コメント欄で御質問ください。

【実験方法】水槽用ライトの数を変えて水槽ガラス面にコケが生える日数を比較

続いて実験の方法です。

今回の実験では、水槽用ライトを以下の2条件で管理して、コケの生え方を観察していきます。

① GEX製 CLEAR LED POWER III だけを使用 (約8時間/日)

② GEX製 CLEAR LED POWER IIIとAqullo製 Triangle LEDの2つを使用 (2灯体制で約8時間/日)

①と②の条件で水槽を管理した場合に、水槽のガラス面にコケが目立ち始めるまでに要する日数を数えて比較します。

①の実験を行った後に水槽ガラス面のコケを綺麗に除去し、その後で②の実験を行います。

どちらの条件の方がコケが生えやすいかは容易に想像できるかと思いますが、実際にどのくらいの差が生まれるのでしょうか?


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実験結果

では、実際の実験結果を以下で紹介していきたいと思います。

① GEX製 CLEAR LED POWER IIIだけの場合

まず最初に、GEX製 CLEAR LED POWER IIIだけを使用した場合の結果です。

14日間で下の写真に示すように、コケが水槽ガラス面に目立つようになってきました。

コケの量を定量的に議論することが出来ませんが、写真を見ていただければ、かなりコケの増殖が進んでいることが分かるかと思います。

このくらいコケが生えてくると、水槽の美観がかなり悪く、水槽内の魚達が霞んで見えてしまうような状況になります。

水槽用ライトを1台しか使用していない場合でも、1日あたり8時間点灯すると約2週間でこのような状況になることがお分かりいただけたかと思います。

② GEX製 CLEAR LED POWER IIIとAqullo製 Triangle LEDの2つを使用した場合

続いて、GEX製 CLEAR LED POWER IIIとAqullo製 Triangle LEDの2つを同時に使用した場合の結果です。

下の写真に示す状況になるまでに必要な日数は9日でした。

GEX製 CLEAR LED POWER IIIだけの場合と比較して、コケの量が異なるように見えるかもしれませんが、筆者の感覚で判断したので、その点は御容赦下さい。

水槽用ライトを2台使うと、僅か9日でこの状況になるんですね。

Aqullo製のTriangle LEDは、かなり光量があるライトなので、それもこの結果に寄与したのかと思われます。

【参考例】水槽用ライトを使わないと苔が生えにくいのは事実

さて、水槽用ライトの設置数によりコケの生え方に明確な違いが出たことがわかりました。

では、「水槽用ライトを全く使用しない場合には、コケはどのくらい映えるのか?」という点が気になりませんか?

実は、筆者が管理しているコリドラスの水槽で、水槽用ライトを全く使用していない水槽があります。

それが、下の写真の水槽なのですが、実はコケが全く生えません。(下の写真は、分かりやすくするために水槽用ライトを使用した状態で撮影しました。)

立上げてから、かなりの日数が経過しているのですが、一度も水槽ガラス面のコケ取りをしたことがありません。

直射日光は当たらず、部屋の証明に照らされる程度なのですが、この環境ではガラス面にコケは全く生えません。

水槽ごとに条件は異なりますが、水槽用ライトを使わないということは、コケが生えにくい環境を実現できていると言えるのかと思います。

コケが生えるための条件の一つである「光量」が足りないということになります。


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この記事の終わりに

この記事では、水槽用ライトの光量がコケの生える速度に与える影響について、実験的に調査した結果を紹介させていただきました。

今回はGEX製 CLEAR LED POWER III と Aqullo製 Triangle LED を用いて実験しましたが、2つの水槽用ライトを8時間/日で点灯すると、僅か9日で水槽のガラス面にコケがしっかりと発生することとなりました。

また、GEX製 CLEAR LED POWER III だけの場合には、14日間でガラス面のコケが目立つ状況となりました。

そして、ライトを使用していない水槽ではコケがほとんど生えないこともわかっていることから、水槽用ライトの点灯時間や光量はコケの発生に大きな影響を与えていると断言できるのかと思います。

コケが生えると、水槽の美観が損なわれるためコケは発生してほしくないものですが、水草の育成には水槽用ライトが必須となります。

このトレードオフの関係を解消することは困難ではありますが、コケの発生速度と水草の育成を最適化した環境を立ち上げていくことも、アクアリウムの楽しみの一つなのかと思います。

本記事が、アクアリストの皆様に少しでもお役に立てれば幸いです。

それでは!