アクアリムの管理の中で、最も大変なイベントは水槽内に溜まった汚れの大掃除やレイアウトの変更に伴う清掃になるかと思います。
大掃除やレイアウト変更については、頻繁に行う人であれば数か月か半年に1度は行いますし、逆に全く掃除をしない方は1年以上放置されている方もいらっしゃるかと思います。
しかしながら、大掃除やレイアウト変更については、いつかは必ず行うイベントになるので、手順については事前に確認しておいても損は無いと思います。
そんな大掃除ですが、水槽内の汚れは飼育水ごと排水するという方法を取られる方が多いかと思いますが。しかし、飼育水を一気に捨ててしまったら、水質が大きく変化してしまいますし、バクテリアの死滅を招く可能性もあります。
この記事では、大掃除の時に水質を変化させず、魚やバクテリアへの影響を最小限に抑える方法を御紹介したいと思います。とても簡単な方法なので、是非試してみて下さい。
水槽の大掃除に用意するもの
今回紹介する清掃方法で準備するものは、次の通りです。
① バケツ (できれば5L程度の容量)
② ザル (100円ショップの料理用のザルでOKです)
③ ウール濾材
④ 水抜き用のホース
普段の水替えの時にはバケツと水抜き用ホースだけを利用されているかと思いますが、それらに加えてザルとウール濾材を用意します。
ウール濾材については、上部フィルター等のフィルター用の濾材を流用していただいてOKですし、それが一番適切かと思います。
ウール濾材による物理濾過を行いた水槽の大掃除方法
それでは、ウール濾材による物理濾材を行いながら大掃除を行う方法について、その方法とメリットなどを御紹介します。
大掃除では魚の糞を除去して飼育水は残したい…
大掃除で水槽の中から除去したいものは、魚やシュリンプの出した糞です。
特に流木や石の下などは魚の糞が溜まりやすく、一度入り込むと出て来ないため、大掃除やレイアウト変更の時に掃除しないと溜まり続ける一方です。
レイアウトを移動させて掃除をしたり、レイアウトの変更で流木や石などを水槽の外に出すと、飼育水の中に大量の糞が舞い上がることになるかと思います。
その糞を飼育水と共にホースで水槽から吸い出し、その飼育水を捨てるという方法は多くの方がやられている掃除方法かと思います。そして、大掃除の時は糞をなるべく掃除したいため、水槽の中の飼育水の大半を捨ててしまうこともあります。
しかしながら、飼育水を捨ててしまうと、減った分の水は新たにカルキ抜きを行った水道水を入れて補給することになります。
カルキ抜きをすれば生体には無害にはなりますが、急激にpHや硬度などの水質が変化することになりますので、生体や濾材の中のバクテリアについては少なからずダメージがあることになります。
折角立ち上がったバクテリアも、水替えの方法で一部が死滅してしまうこともあるので、飼育水についてはなるべく残しながら掃除をすることが望ましいことは間違いありません。
ウール濾材による物理濾過を用いた水槽内の大掃除方法
では、どのような方法を行えば、飼育水を捨てずに大掃除ができるのでしょうか?
考えれば簡単な事だとは思いますが、糞を吸い出す飼育水をバケツの上で物理的に濾過しながら吸い出し、バケツに溜まった物理濾過後の飼育水を再び水槽の中に入れるということをすればよいのです。
言葉だとわかりにくいと思いますので、下で図示しながら順番に説明します。
① ホースで吸い出します。
② ホースで巣出した水をザルの中に入れたウール濾材で物理的に濾過します。
③ 魚の糞が物理的に濾過された飼育水がバケツの中に溜まっていきます。
④ 最後に、バケツの中に溜まった物理濾過後の飼育水を水槽の中に戻します。
60cm規格の水槽であれば、この①から④の過程を3回から4回くらい繰り返してみて下さい。水槽の底に敷いた砂利やソイルの中に溜まった魚の糞も概ね綺麗に取り出すことができます。
この方法であれば、吸い出した飼育水は捨てることなく再び水槽の中に入れてあげることができます。つまり、水質が大きく変わるということを防ぐことができるのです。
ウール濾材による飼育水濾過の実際の例
この方法は、実際に私が毎回使っている方法なのですが、60cm水槽を大掃除した時の例を紹介します。
上で紹介した方法で、ウール濾材を使って飼育水を4回濾過させて水槽へ戻した時の写真になります。
ウール濾材が一気に汚れて、大量の魚の糞が除去できていることがわかります。
普段は1週間に1度か2度の換水を行い、その時に目立つ魚の糞は除去しているのですが、それでもこれだけの量が出てきます。
レイアウト素材がたくさん入っている水槽ほど、レイアウト素材の下に魚の糞が溜まっている状況になりますので、この方法を使うことで一気に水槽の中から魚の糞を除去することができます。
溜まっている魚の糞を除去することで、アンモニアや生物濾過後の硝酸の発生を抑制することができます。水槽内を清潔に保つという観点でも、定期的な大掃除、レイアウト変更時の大掃除は忘れず行いたいですね。
本方法での水槽掃除の注意点について
この方法は、飼育水を捨てることなく水槽内の魚の糞を除去できる方法ではありますが、飼育水を水槽に戻すというところが面倒なところでもあります。
飼育水を水槽に戻すとき、面倒だからと言って勢いよくバケツから水槽に入れてしまうと、飼育している魚がショックを受けてしまいます。
勢いよく水槽の中に入ってくる水に驚き、水槽のガラス面に衝突して命を落としてしまう魚もいますので、飼育水を戻すときには可能な限り静かに行ってください。
大掃除やレイアウト変更と言う普段ないイベントになるため、魚はその時点でストレスを受けていることになります。
魚に怪我をさせないためにも、気を遣いながら行うようにしてあげて下さいね。
この記事の終わりに
この記事では、水槽内の大掃除やレイアウト変更による掃除の時に、飼育水を捨てることなく水槽内から魚の糞を除去する方法を紹介させていただきました。
飼育水を大量に捨ててしまうと、水槽内の水質が一気に変わってしまうため、魚に対してストレスを与えるだけではなく、濾材の中のバクテリアの死滅を招く可能性があります。
水槽内の大掃除は排水による魚の糞の除去が主な作業となりますが、糞を吸い出した飼育水を物理的に濾過してあげることで、飼育水を捨てることなく水槽に戻すことが可能です。
この方法を使えば、魚たちに対して水質の観点ではダメージの少ない掃除ができるかと思います。是非一度お試しください。