黒鯛 (チヌ) のフカセ釣りを楽しんでいる方の多くが使用している「撒き餌」。
黒鯛を釣り座の周辺に集めたり、撒き餌と差し餌を同調させて黒鯛に口を使わせるために必須のアイテムとなりますが、一般的には市販の集魚剤の中にオキアミやアミエビを混ぜ込んだものが使われます。
もちろん、撒き餌を使わなくても黒鯛を釣ることはできると思います。しかし、撒き餌があるのと無いとでは釣果に差が出ることが明確ですので、撒き餌による集魚効果は非常に大きいと言っても過言ではありません。これは間違いない事実だと思います。
ただ、撒き餌に対する考え方は、釣り人によって異なるのも事実です。
「私はこの集魚剤しか使わない!」「集魚剤は必要最低限しか使わない!」「私は独自の配合比を持っている!」など、撒き餌に対しては人それぞれ様々な意見があります。
釣りは自然を相手にする趣味であり、潮の流れ方や水温などで最適な釣り方が24時間変化しています。昨日釣れた撒き餌が今日は通用しなくなることも当たり前のため、集魚剤の配合や使い方に関しても、常に明確な答えを出すのは不可能だと感じることが多々あります。
今回の記事では、その撒き餌に着目したテーマで、一つの検証結果を紹介したいと思います。
そのテーマは、「撒き餌 (集魚剤) の中にオキアミやアミエビを混ぜる必要があるのか!?」というものです。
フカセ釣りを楽しんでいる方の多くが、一度は疑問に思ったことがあるテーマだと思います。
さて、オキアミやアミエビを混ぜ込んでいない撒き餌でも黒鯛の釣果は出せるのでしょうか?
この記事の内容は、あくまでも筆者の経験に基づくものであり、その釣り方を強く推奨するものではありません。あくまでも一つの例として御参考になれば幸いです。
オキアミやアミエビの購入費用も馬鹿にならない
「集魚剤の中にオキアミやアミエビ入れる必要があるのか!?」という疑問は、私がフカセ釣りを始めた頃から疑問に思っていた事でした。
ただ、郷に入っては郷に従えで、フカセ釣り師の皆さんが集魚剤にオキアミを混ぜているので、私自身もずっとその配合を使ってきました。
しかし、オキアミやアミエビも決して安い餌ではないですよね!?
オキアミ1ブロック (3kg) の値段は、中国産の安価なもので600円~800円、品質の良いものを買うと1000円します。
そして、集魚剤については一袋700円~1000円くらいします。
朝から晩まで釣りをすることを考えると、集魚剤2袋にオキアミブロックを1個~1個半使うこともあるため、撒き餌だけで3000円くらいかかるケースも…。
そう考えると、凄い費用を撒き餌に投じているんだなぁ…と思いますよね!?
そのため、「撒き餌を安く済ませられるのであれば安く済ませたい!」と思うのが本音だと思います。
集魚剤の代わりに米ぬかやパン粉を使うのは有名な方法ですが、オキアミやアミエビを省いたらどうなのでしょうか?
それを確かめるため、実際にオキアミやアミエビを省いた撒き餌で黒鯛のフカセ釣りをしてみました。
用意した撒き餌は市販の集魚剤と米ぬかのみ!
今回使用する撒き餌は、下の写真の通りで、以下の2つを配合したものとなります。
① チヌベスト (白) 一袋
② 米ぬか一袋
本来であれば、さらにオキアミブロックを1つ混ぜ込むのですが、今回はそれを省きます。チヌベスト (白) と米ぬかを一袋ずつ使用し、海水で適度な硬さに混ぜ込んだ撒き餌となります。
この量の撒き餌ですと、だいたい4時間~5時間くらいの釣行に適した量になりますね。
サナギやコーンなどを混ぜ込んでも良いと思いますが、今回は安上がりな撒き餌で検討したいので、チヌベストと米ぬかの2つのアイテムだけで勝負します。
チヌベストが一袋550円、米ぬかが一袋220円となりますが、米ぬかについては精米所で無料でもらえるものを使えば費用はかかりません。米ぬかを買わなければ、550円で撒き餌が完成するということですね。
検証のために選んだ釣行場所は芦屋浜水道 (2021年10月初旬)
次に、オキアミ無しの集魚剤を検証する場所ですが…。
黒鯛が少ないところで検証をしても結果が疑わしくなるので、チヌの実績が高いポイントで検証したいと思います。
私の住む阪神間では、西宮浜や芦屋浜が黒鯛の実績が高いので、今回は芦屋浜で検証して見ることに。
ポイントは芦屋浜の浜風大橋の橋脚近くにある「キャナルパーク」となります (下のGoogle Mapを参照ください)。
駐車場からは少し歩きますが、釣り人が少なくプレッシャーが少ない場所でもあるので、ここを選びました。
釣行は2021年10月初旬の大潮の日で、満潮から干潮への下げ潮のタイミングとなります。
使用した仕掛けについて
次に使用した仕掛けですが、ウキ止めを使用した半遊動のフカセ釣り仕掛けです。
今回選んだ浜風大橋の近くは、水深が3m程度しかなく、干潮時には水底が見えるような場所でした。
そのため、半遊動でタナを変化させながら探る釣りを行ってきました。
ウキの浮力は「B」または「2B」で、一般的な円錐ウキです。
ハリスはフロロの1.75号を一ヒロ半、ガン玉は潮の流れに合わせて適宜変化させています。
針はチヌ針の3号を使用し、挿し餌は加工オキアミ (Lサイズ) です。練り餌とコーンも持参しましたが、エサ取りがいなかったので練り餌とコーンを使うことがありませんでした。
実際の釣果は!?
では、実際にオキアミやアミエビを混ぜていない撒き餌でフカセ釣りを行った結果を紹介します。
釣り開始から30分は、満潮の潮止まりのタイミングであり、アタリが全くありませんでした。
しかし、潮が干潮に向かって動き始めると、直ぐに反応が出て37cmの黒鯛をゲットです!
「何だ、オキアミやアミエビが無くても釣れるやんか!」と心の中で叫びました(笑)。
正直なところ、ボウズになることを免れて、相当嬉しかったです…。
その後ですが、アタリが2度ありましたが、針に魚が乗らず釣果が伸びない状態に。
しかし、終盤でウキが一気に引き込まれる気持ちのいいアタリがあり、35cmの黒鯛を追加することができました。お腹が大きく、丸々と太った黒鯛でした。
検証結果の考察 -実は麦とコーンに集魚効果が!?-
今回の検証結果としては、撒き餌にオキアミやアミエビを混ぜなくても黒鯛は釣れるという結果となりました。
もしかしたら運が良かっただけと言う可能性もありますが、2匹の黒鯛をゲットできたので、集魚剤だけでも集魚効果は十分にあると言えると思います。
その確固たる理由もあります。
釣りを終えた後に、その場で黒鯛を捌きました。
すると、釣れた2匹の黒鯛のお腹の中からは大量の麦とコーンが出てきたのです。
この麦とコーンは集魚剤のチヌベストの中に混ざっていたものであり、麦とコーンに集魚効果や黒鯛を足止めする効果があったと言えるのではないかと思います。
オキアミやアミエビが無いと集魚効果が薄れると思われがちですが、そもそも集魚剤の中には黒鯛を寄せてくれる材料が入っていますので、アミエビが無くてもその効果が発揮されているのだと考えることもできます。
撒き餌の中にオキアミを混ぜるか否かに関わらず、最も重要なのは黒鯛の魚影が濃いポイントに入り、適切な仕掛けを組むことなのだと思います。
この記事の終わりに
この記事では、フカセ釣りに使用する撒き餌の検証として、撒き餌にオキアミやアミエビを混ぜ込まなくても黒鯛が釣れるのかを実際に確認した結果を紹介させていただきました。
芦屋浜という黒鯛の実績が高いポイントに入り検証を行いましたが、結果としてオキアミやアミエビを混ぜ込まない撒き餌でも、黒鯛を2枚釣り上げることができました。
そして、釣り上げた黒鯛のお腹の中からは、集魚剤に含まれる麦やコーンが出て来ました。
この検証結果から、集魚剤単体でも黒鯛を集める効果があり、オキアミやアミエビが無い場合には麦やコーンが黒鯛を足止めする立役者になっているということが言えるかと思います。
もしかしたら、アミエビやオキアミを混ぜ込んでいたら3枚以上の黒鯛が釣れたのかもしれません。しかし、本当にそうなるのかは誰もわからないところです。
撒き餌に混ぜ込むものの選択は、フカセ釣りを楽しむ釣り人にとって永遠のテーマだと思います。
しかし、その配合を考えるのも釣りの一つの楽しみであり、結果が伴うと本当に嬉しい釣行になることは間違いありません。
少し思考を変えた撒き餌を準備して、フカセ釣りにチャレンジしてみるのも面白いと思いますよ!
今度はグレ (メジナ) のフカセ釣りで、オキアミやアミエビを混ぜ込まない撒き餌を試してみようかと思います。
では!