水槽に発生する小さな巻貝(サカマキガイ) -原因と対処法を紹介-

アクアリウムを楽しんでいる方であれば、一度は経験したことがあるであろう困り事があります。

水槽に入れた記憶の無い「小さな巻貝」が水槽の中で繁殖しているという現象です。

水槽を立ち上げた直後にはその小さな巻貝は見られないのですが、数か月が経過したくらい頃に、水槽内に小さな巻貝が増殖していることがあります。

サンゴの海に生息するような綺麗な貝が水槽内に2,3匹いるくらいなら許せるかもしれません。

しかし、その小さな巻貝は、お世辞にも綺麗とは言えない茶色い見た目をしており、大量に水槽内に繁殖すると非常に見栄えが悪いアクアリウムになってしまいます。

私自身も、何度も小さな巻貝の増殖に合い、その都度様々な対処をしてきました。

この記事では、その小さな巻貝の侵入経路や対策などを紹介したいと思います。

小さな巻貝の増殖の困りの方、またこれから水槽を立ち上げる方にとって有益な情報になれば幸いです。


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小さな巻貝はサカマキガイという種類

冒頭で述べた見た目の悪い小さな巻貝ですが、これは「サカマキガイ」という種類の淡水に生息する巻貝になります。

下の写真にサカマキガイを示しますが、このような茶色の小さな巻貝を水槽内で見たことがある方も多いはずです。

サカマキガイの大きさは1cmにも満たないような小さな巻貝なので、例えば60cm水槽に2, 3匹生息しているくらいであれば、見た目の問題も無く気になることもないと思います。

しかし、このサカマキガイが60cm水槽に30匹以上のレベルで繁殖してしまうと…とても見た目が悪い水槽になります。

特に、水槽のガラス面に数匹引っ付いている姿を見ただけで、アクアリウムとしての美観が相当損なわれてしまいます。

もちろん、サカマキガイが好きな方はそれで良いのかもしれませんが、私のようにサカマキガイの見た目が好みでない方は、「何とかして除去したい…」と思う方も多いはずです。

サカマキガイは水槽に映えたコケや藻を食べてくれるので、一概に「迷惑な生体」とは言えないのですが、アクアリウムは「美しさ」や「綺麗さ」を求める側面もあるため、その観点では少し迷惑な存在と言わざるを得ないかと…。

皆さんは、水槽の中のサカマキガイを見て、どう思われますか??

サカマキガイが水槽へやってくる侵入経路は?

さて、冒頭でも少し述べましたが、水槽を立ち上げた当初 (魚や水草を導入していない状態) は、サカマキガイは水槽内には存在していない生体になります。

では、サカマキガイはどこからやってくるのでしょうか?

基本的には、以下で記載する通り、水槽の管理者である皆様が外部から持ち込んでいる場合がほとんどです。

アクアリウムショップの水槽からやってくる場合

サカマキガイが水槽に侵入する原因の一つは、アクアリウムショップの水槽から持ち込んでしまう場合です。

アクアリウムですので、水槽の中で熱帯魚や日本淡水魚を飼育する方が多いと思います。また、水草水槽で水草の育成を楽しむ方も多いでしょう。

その熱帯魚や水草は、どこで入手されるでしょうか?

アクアリウムショップやインターネット販売が主かと思いますが、その時点でサカマキガイが侵入するリスクが発生しています。

アクリウムショップの水槽内をよく見てみて下さい。サカマキガイが生息している水槽を頻繁に見かけます。

アクアリウムショップの水槽では、熱帯魚ばかりに目が行ってしまうかもしれませんが、サカマキガイがいるかいないかという観点で観察することも大切です。

インターネットで生体や水草を購入する場合、販売元がどのような水槽で生体や水草を管理しているのか、目で確認出来ない場合がほとんどですよね…。もしかしたらサカマキガイが大量に繁殖した水槽で育てられたものかもしれません…。

サカマキガイの繁殖している水槽から熱帯魚を購入する場合、家に持ち帰る際にはその水槽の飼育水が使用されます。しかし、その飼育水にはサカマキガイの卵が含まれている可能性が…ありますよね?

サカマキガイの卵は「卵のう」と呼ばれる透明なゼリー状のため、小さな破片が飼育水の中に入っていても気付かない場合が多いです。

その卵のうに気付くことなく、アクアリウムショップの飼育水を自宅の水槽に入れてしまう事があると、サカマキガイの侵入を許してしまうということになります。

私自身、卵のうと言う存在を知らなかった時、卵のうが付着した水草 (ボルビティス) を購入してしまったことがありました。

「何かゼリー状のものが水草に付いているな…まぁ、いいか!」という安易な気持ちで自分の水槽に水草を入れたのですが、それから2カ月後くらいになって、サカマキガイが大量に発生したのです…。

無知な自分が引き起こしてしまったサカマキガイの混入でした。今となっては、良い教訓だと思っています。

皆さんも、アクアリウムショップで熱帯魚や水草を購入する場合には、サカマキガイの観点で注視して購入検討をしましょう!

自然の川や池からやってくる場合

もう一つのサカマキガイの侵入経路としては、自然採取の生態を飼育する場合に、自然の中から持ち込んでしまうというものです。

サカマキガイは日本の自然環境にも適合した生態を持つため、日本の自然の中でも繁殖して生息しています。

そのため、自然の中で採取した魚や水槽生物を自宅に持ち帰る際、サカマキガイそのものを水槽に入れてしまったり、卵のうを水槽に入れてしまう可能性があります。

サカマキガイは急流では無く、農業用水路などの温かく緩やかな環境を好みます。そのため、メダカや小さなハヤなどを用水路で捕まえた場合などは特に注意が必要です。

自然採取の生態を水槽に持ち込む場合にも、サカマキガイの卵のうの観点で水や水草などを確認しておきましょう!


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サカマキガイは雌雄同体のため単独で繁殖する!これが増殖の原因

サカマキガイは繁殖して数が爆発的に増えていく巻貝だと知られています。

実際に体験した方も多いと思います。

その理由は…サカマキガイが雌雄同体という特徴を持ち、それぞれの個体が繁殖活動をしてしまうからです。

雌雄同体と言う言葉は聞き慣れない言葉だと思いますが、単純に言うと、書いて字のごとく「オスとメスが無い」ということなんですね。

そのため、1匹でもサカマキガイが水槽に入ると、そのサカマキガイが卵を産んで繁殖を始めるということになります。

1匹のサカマキガイの侵入を許してしまったが故に、水槽内にサカマキガイが異常繁殖するという事態になるのはこの理由です。

最初の1匹の侵入を確実に防御することが、サカマキガイの異常発生を抑制する最大の近道だということもわかりますね。

サカマキガイを水槽から完全除去することは非常に困難

サカマキガイが水槽内で繁殖してしまった場合、サカマキガイを完全に水槽から追い出すことは困難です。

例えば、水槽内に15匹程度のサカマキガイがいたとすると、その中の1匹は確実に卵を産んで子孫を残していると言っても過言ではありません。そのため、15匹のサカマキガイ全てを水槽から追い出しても、知らぬ間に産み落とされた卵のうから再びサカマキガイの子供達が生まれてきます。

また、卵のうは飼育水中を漂いフィルターの中に入ってしまう事もあります。その場合、フィルターの中でサカマキガイが繁殖するということになります。

私自身も、外部フィルターの濾材の清掃の際に、毎回のように濾材からサカマキガイが数匹出てきます。

つまり、一度水槽の中にサカマキガイが入ると、完全に除去することはほぼ不可能だということになるのだと思っています。

サカマキガイを完全に除去するためには、水槽内のレイアウト素材やソイルを新しいものに交換し、フィルターの濾材も新しいものに交換、そして配管の清掃といったリセット活動が必要になります。


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サカマキガイを水槽に持ち込まないための工夫

サカマキガイを水槽に持ち込まないための工夫ですが、それは一つに尽きると思います。

アクアリウムショップの飼育水や川や池の水を水槽に入れないということです。

例えば、アクアリウムショップで購入した熱帯魚を自宅に持ち帰ったら、水合わせが終了した時点で、魚だけを網で掬って水槽にいれる。それだけでもサカマキガイの卵のうが混入するリスクが大幅に減ります。

水合わせをした後に、魚を飼育水ごと水槽に入れてしまうと、サカマキガイの卵のうが水槽に入るリスクを減らすことができません。

自然採取した魚を水槽に導入する場合も同じです。

少しの手間ではありますが、それだけでサカマキガイの混入を防げるのであれば、実施する価値はありますよね!

水槽内のサカマキガイを減らす方法

では、ここからは水槽に繁殖してしまったサカマキガイを減らしていく方法についてです。

ただし、知っておいて欲しいのは、一度水槽内でサカマキガイが増殖した場合、全てのサカマキガイを水槽外へ取り出すことはほぼ不可能であるということです。

「サカマキガイの数を減らす努力」や「これ以上増えないように管理すること」はできますが、「サカマキガイを完全に水槽から根絶すること」はかなり困難です。

しかし、減らす努力をしないとサカマキガイは増えていく一方であることも覚えておいてください!

発見したら地道に水槽外へ出すこと

まず一つ目は、サカマキガイを発見した時に1匹ずつ水槽から取り出すということです。

サカマキガイは大きくなると、確実に目で発見できるような大きさになります。

流木の上、石の上、水草の葉の上、水槽のガラス面など、至る所でサカマキガイを発見できるようになるので、発見したら手で掴んで水槽外へ出しましょう!

サカマキガイは放置してはいけません!

サカマキガイ1匹を放置したが故に、卵のうを産み、さらにサカマキガイが増えてしまう原因となるかもしれません。

サカマキガイは噛んだり刺したりという、人に危害を加えることはしないので、手で掴んで水槽から出してあげればOKです。

また、飼育水の交換の時に使うホースで飼育水ごと水槽外へ取り出すことも可能です。

サカマキガイの特徴として、昼間よりも夜の方が活発的に行動する習性があります。昼間でも表に出てくるサカマキガイはいますが、夜の方が表に出てくる個体数が確実に多くなります

夜間になって表に出てくきたタイミングが、水槽外へ取り出すチャンスになります!

ただ、この方法はサカマキガイと「いたちごっこ」をしている感が否めませんね。

「貝と~る」という製品を使用する方法

地道に手で捕まえることが面倒な方は、GEX社から発売されている「貝と~る」という製品を使うのもお勧めです。

非常に簡単に、かつ効率的にサカマキガイを集めることができます。

楽天市場「貝と~る」リンク

この「貝と~る」と言う製品は、サカマキガイが好きな餌をトラップの中に仕掛けて、そのトラップの中にサカマキガイを集めてしまおうという製品になります。

私自身も「貝と~る」使用しましたが、サカマキガイが繁殖してしまった水槽に入れたところ、一晩で20匹程度が捕獲できた製品です。

とてもお勧めなので、サカマキガイに困った方は一度試してみて下さい。

具体的な使用方法については、GEXさんのHPに記載されています。→ 貝と~るのHP

この記事の終わりに

この記事では、いつの間にか水槽内で増殖してしまう「サカマキガイ」について、考えうる侵入経路や数の減らし方について御紹介させていただきました。

サカマキガイは単独で繁殖活動を行うため(雌雄同体)、一度水槽に入ってしまうと、サカマキガイの増殖を防ぐことが困難となります。

そのため、最初の一匹や卵のうを水槽に入れないことが非常に重要になります。

また、もし水槽内にサカマキガイが入ってしまった場合、数を増やさないための対応が必須となります。

「貝と~る」のような便利な捕獲機もあるので、それらも併用しながら数を増やさない努力をしていきましょう!