皆さんは、普段食べている魚について、どのような項目を重要視して選んでいらっしゃいますか?
「鮮度」「産地」「魚種」 … 特にこれらのポイントに注意して購入されているのかと思います。
さらに「ブランド」も大切な要素で、青森県の大間の本マグロや徳島県の鳴門の真鯛などは、日本人なら誰もが認めるブランドで、食べたことが無い方でも「美味しい」というイメージがありますよね!
では、「遠洋物」と「近海物」と記された魚があるとして、どちらの方がイメージが良いでしょうか?
一般的には「遠洋物」と記された魚の方が「綺麗なイメージ」があると思います。
近海物というと、少し汚い河川が流れ込む湾内の魚だったり、あまり綺麗では無い海の魚も含まれるイメージを持つ人が多いと聞きます。
私が住んでいる関西でも「大阪湾の魚はちょっと…」というイメージが強く、積極的に大阪湾の魚を食べたがらない方も多いのが事実です。
しかし、実際に大阪湾の魚を食べてみると、とても美味しくいただける魚種が本当に多いです。確かにしっかりと処理をしないと少し臭いがある魚もあるのは事実かもしれませんが、しっかりと処理すれば様々な魚種がとても美味しくいただけます!
本記事では、大阪湾のキビレを例に取り、西京焼きにして食べてみたので、そのレポートを紹介します!(大阪湾のキビレを食べるのは今回が初めてです。)
私だけの感想では無く、妻と子供にも食べてもらって感想を聞きました。
【注意】キビレは釣れた場所によって味が異なると言われています。また、味覚には個人差がありますので、あくまでも筆者の感想としてお考え下さい。
大阪湾の魚のイメージについて … 個人的な見解
私自身、関西圏に住んで10年以上が経ちますが、関西にお住いの方が持つ大阪湾のイメージとしては、「綺麗では無い」と考えられている方が非常に多いです。
大阪湾は大都市である大阪から神戸に囲まれた湾なので、私自身も関西に住み始めた当初は、それほど綺麗な海では無いというイメージはありました。
その「綺麗では無い」というイメージが定着している理由は、主に以下の2つだと思います。
一つは大阪湾が「高度経済成長期」には汚れた海だったこと。そして、もう一つは大阪湾の海の色にあるのだと思います。
高度経済成長期には、大阪湾には工場排水や生活排水が垂れ流しにされて、非常に汚い状態であったのが事実です。
工場排水が垂れ流しになっている海の魚 … 想像しただけでも安全性に疑問が出ますよね。
当時の大阪湾は「死の海」と呼ばれていたのだそうです。
しかし、時は流れて工場排水に対する規制もかかり、工場排水が垂れ流しになるようなことは無くなりました。
ただ、現在の大阪湾を見ると、沖縄や南国の様な透明度の高い海ではなく、茶色く濁った海水であるのが事実です。誰が見ても決して綺麗とは思えない色をしている時もあります。
これには理由があって、大阪湾には植物プランクトンが多いため、海の色が茶色く見えるのだそうです。つまり、化学薬品や生活排水で茶色く濁っているわけでは無いんですよね。
これらのイメージだけで、大阪湾の魚は「臭い」とか「汚い」という感想がインターネット上に溢れかえっているのだと思います。
しかし、私自身、大阪湾で釣りを楽しんでいますが、大阪湾の魚が汚いとか臭いというイメージはほとんど無くなりました。基本的に釣れた魚は全て自分で調理して食べています (フグ・ボラ・オコゼ等を除いて) 。
大阪湾の水質の現状については、大阪府立大の大塚耕司教授のインタビュー記事がとても勉強になります。→ こちら
今回は西宮浜で釣った「キビレ」を西京焼きでいただく
今回は、大阪湾の「キビレ」を西京焼きでいただいたレポートをします!
大阪湾のどこで釣れたキビレなのかと言うと、西宮市の南にある西宮浜で私が釣ったものです (大きさは40cm) 。
キビレは、汽水域に住む魚であり、居付きの個体も多いことから、特に臭いがしやすいと言われることがあります (私はそうは思いませんが…) 。
そんなキビレ … しかも大阪湾奥の西宮浜で釣ったキビレを食していきます。
釣れた直後に直ぐに血抜きを行い、内臓・エラ・鱗を処理して持ち帰ったキビレとなります。
(帰る際に釣り場で処理しておくだけでも、味や風味が大きく変わります!)
家に持ち帰った時点で臭いを確認しましたが、それほど強い生臭さは感じられませんでした。
ただ、淡路島や明石の比較的透明度の高い海で釣った魚と比べると「少し臭いがあるかなぁ~」と思うくらいです。
筆者の西京焼きの作り方 (レシピ)
それでは、ここからは実際にキビレの調理です。
西京焼きのレシピは、多くの方がレシピを公開しているので、そちらを参考にしてみても良いと思います。
以下では私がいつも使っている西京焼きのレシピを参考までに記載しておきます。
① キビレを三枚におろしてぶつ切りに
まず最初に、キビレを三枚におろして、片身を三等分くらいにぶつ切りにします。
今回はカマの部分も西京焼きにしてみます (胸鰭などは切除しておきます) 。
皮は引かず、付けたままの状態にしています。皮が残っている方が、焼く時に身が崩れません。
三枚におろした時点で、白身の臭いをかいでみましたが、白身にはほとんど臭みはありませんね。
多分、鱗や皮に少し臭いがあったのだと思います。
その臭みについては、西京味噌の味噌床が消してくれるのではないかと。
② 西京味噌で味噌床を作る (少し日本酒多め)
次に味噌床を作ります。
西京味噌が無ければ、一般的な白味噌でもOKです。
40cmのキビレ1匹に対して、以下の材料と量で味噌床を作ります。
あくまでも私好みの配合なのであくまでも参考です。もし、そのまま参考にされる際には、魚の大きさに応じて量を調整してください。
・西京味噌:大さじ 4
・日本酒:大さじ 1
・みりん:大さじ 1
・砂糖:小さじ 2
味噌床ができたら、チャック付きの袋 (ZiplocでOK) にキビレと味噌床を入れて揉み、味噌床とキビレを満遍なく混ぜ込んでいきます。
③ 冷蔵庫の中で1日漬けこむ
最低でも24時間程度は冷蔵庫で味噌床に漬けておきます。
今回は30時間漬け込みました。
釣ったばかりのキビレは少し身が固い状態ですが、味噌床に漬け込むことで身が柔らかくなります。1日程度は漬け込んだ方が味が染み込んで美味しくなります。
漬け込みが終了したら味噌床を綺麗にふき取って、グリルで焼いていきましょう!
実際に大阪湾産キビレの西京焼きを食べてみました!
それでは、実際に大阪湾産キビレを西京焼きで食べてみたレポートです。
まず、キビレを焼く前に臭いを確認してみましたが、全く魚の臭みがありませんでした。
味噌床がほぼ完全に魚の生臭さを消してくれていました。
次に、焼いた後の状態が下の写真ですが (盛り付けは汚いです…) 、味や臭いはどうだったのでしょうか!?
私の意見に加えて、実際にキビレを食べた家族の感想も記載しておきます。
実際に食べてみての筆者の感想
最初に、私が食べてみての感想ですが…
驚くくらいに美味しかったです!
全く魚の臭みは無く、真鯛の西京焼きを食べているかのような香りです。キビレの方が少し身が固く、歯ごたえはありますが、目隠しで食べたら真鯛の西京焼きと言われても信じてしまいそうな感じです…。
味噌床が素晴らしい働きをして、キビレの臭みを全て取り去ってくれたためだと思います。
ただ、30時間では少し味噌床の漬かり具合が浅いようにも思えました。表面はしっかり漬かっていますが、内側は少し味が弱かったので、2日くらい漬けると丁度良いかもしれません。
これだけ美味しければ、これからもキビレが釣れたらリリースせずに持って帰って来たいと思います。
妻と子供の感想は?
次に妻と子供に食べた感想を聞いてみました。
妻「全く臭みが無くて食べやすい!」
子供「この魚、めっちゃ美味しい!」
素晴らしいコメントをいただきました。
妻は生臭さが大嫌いなので、少し臭うだけで食べてくれないのですが、今回は全く臭みが無いと言ってくれたので、本当に食べやすい料理になったのだと思います。
子供も残さず食べてくれましたし、「また食べたい」とリクエストもいただきました!
この記事の終わりに -大阪湾のキビレも美味しい-
この記事では、大阪湾奥の西宮浜で釣れたキビレを西京焼きで食べたレポートを紹介させていただきました。
大阪湾で取れた魚は「臭いが強い」と噂されていますが、キビレの様な居つきの魚であっても料理次第ではとても美味しく食べることができます。
私自身、これまでに大阪湾のチヌやスズキなども食べていますが (しゃぶしゃぶ・あらい 等) 、どれも美味しく食べれています。
皆さんも、大阪湾の魚を食べる機会があったら、敬遠することなく食べてみて下さい。
きっとイメージが変わりますよ!(決して強制はしませんが…。)
それでは!