淡水の熱帯魚アクアリウムで、誰もが一度は飼育したことがある魚が「ネオンテトラ」や「カージナルテトラ」等の小型カラシン科の魚たちだと思います。
私自身、管理している水槽の中に小型カラシンの魚がいなくなった時はなく、ほぼ常時ネオンテトラを代表とした小型カラシン科の魚を飼育しています。
青と赤の美しいネオン色が特徴的で、水槽の中で群泳させると、とても綺麗な水景を作ることができるのは、皆様ご存じの通りかと思います。
そんな大人気のネオンテトラとカージナルテトラについて、成長する速度を実測してみましたので、この記事で紹介させていただきたいと思います。
成長速度を実測したネオンテトラとカージナルテトラ
実際に成長速度を測定したのは、近くのアクアリウムショップで購入してきたネオンテトラとカージナルテトラです。
それぞれ、3匹ずつを稚魚の時に購入して飼育を開始しました。購入した時点では2cmくらいの若魚です。また、全て国内ブリードの生体で、ワイルド (自然採取) の魚ではありません。一般的にアクアリウムショップで安価で販売されている小型カラシンです。
また、成長速度を測定しながら気づいたのですが、今回の記事で成長速度を測定した魚は全てオスと言う奇跡的な状態でした。6匹購入したら1匹くらいはメスが入っているだろうと思いましたが、成魚になって雄雌の区別が分かるようになると、全てスマートな体つきで抱卵しないオスでした。
ですので、今回の記事ではネオンテトラとカージナルテトラのオスの成長速度を紹介する記事となります。
ネオンテトラとカージナルテトラの飼育環境
次に、成長速度を測定したネオンテトラとカージナルテトラを飼育していた水槽の環境についてです。
使用していた水槽は30cm水槽で、水底には砂利を薄く敷き、掃除がしやすいようにレイアウトには流木と移動可能な水草を使っています。フィルターにはGEXの壁掛けフィルターを利用しました。
水草はアヌビアス・ナナやブセファランドラなどを入れていました。どれも移動が容易になるように、流木や石に活着させて育てているものです。
水温はヒーターを使用して、年間を通じて25℃程度での管理を心掛けておりましたが、夏に関してはクーラーを使わなかったので最高で30℃近くの水温になっていました。
また、餌やりは朝と晩にDEL Fresh Foodを与えていました。量は2分程度で食べ終わる量です。熱帯魚の本には、餌の量は5分で食べ終わる量とありますが、正直なところ5分で食べ終わる量では与え過ぎです…。消化不良や肥満、そして食べすぎによる病気の併発の原因になるので、皆様も餌の与え過ぎには気を付けましょう。
また、一緒に混泳させていた魚はコリドラス・パンダが3匹です。
成長速度の測定方法について
成長速度の測定方法ですが、ネオンテトラとカージナルテトラを網ですくって実際に物差しで体調を測定します。物差しでの制度なので、0.1mmの精度はありません。
毎月1回、水槽内のレイアウトを動かして清掃をしているのですが、そのタイミングでネオンテトラとカージナルテトラを全て捕まえて体長を測定しました。
魚を網ですくうという行為は本当はあまり良くはないのですが、どのくらいの成長速度なのかを調べるために、約半年の間は毎月ネオンテトラ達に協力をしてもらいました。
また、それぞれの個体を識別することは難しいため、成長速度の測定方法についてはネオンテトラ (3匹) とカージナルテトラ (3匹) のそれぞれの平均値を記録していきました。
本当はそれぞれの個体を識別して、正確な成長速度を求めたかったのですが、そこまですることが出来なかったのが現状です…。
成長速度の実測結果を紹介
では、実際にネオンテトラとカージナルテトラの成長を実測した結果を下のグラフに示します。横軸が飼育期間、縦軸が3匹の平均体長となります。
アクアリウムショップで購入した際には、体調が約2cm程度の若魚でした。もっと小さな体長で販売されている場合もありますが、私の購入したものは2cm位でした。
飼育を開始した後、水合わせや日々の管理に特に大きな問題もなく、無事にネオンテトラとカージナルテトラも成長してくれました。
ネオンテトラに関しては、飼育後5カ月までは成長が続き、約半年後に完全に成長が止まっている結果となりました。つまり、完全な成魚になるのに、約半年かかっていることになります。
カージナルテトラについても、ほぼ同じような傾向で、約5カ月から半年くらいで成長が止まるような成長線となっていることが分かります。
また、ネオンテトラとカージナルテトラを比較すると、ネオンテトラの方が体調が大きいことが分かります。今回、初めてカージナルテトラを飼育してみたのですが、成魚となった後もネオンテトラよりも小さい個体なんですね。
今回の成長速度の測定では、国内で繁殖されたネオンテトラの成長速度を測定しましたが、自然採取のワイルド個体であれば、少し異なる成長をするのかもしれません。
野生のネオンテトラと国内ブリードされたネオンテトラの成長速度比較と言うのもできれば面白そうですね!また、機会があればやってみようかと思います。
水温の違いによる成長速度の違いについて
今回、ネオンテトラとカージナルテトラの飼育環境は上で紹介した通りです。
しかし、成長速度の話をする時に、話題を上げておかねばならないのが水温のお話です。
熱帯魚に限らず水中で暮らす魚たちの成長速度は、水温に大きく依存しています。水温が低ければ成長速度は緩やかになり、水温が上がれば成長速度は上がります。
水温が上がると、魚の成長が活発になり成長の速度が上がります。そのため、水温によって成長速度に差が出てくることは知っておいても損はないと思います。
今回の結果は25℃の水温を維持して、夏には約30℃近くまで水温が上がるような水槽での飼育となりましたので、一般的には水温が高い方の飼育環境となります。
そのため、皆様の水槽の中では、成長がもう少し遅くなることも考えられます。あくまでも参考例として本結果を見ていただけましたら幸いです。
この記事の終わりに
この記事では、熱帯魚の中でも人気の高い小型カラシン科のネオンテトラとカージナルテトラについて、成長速度を実際に測定した結果を紹介させていただきました。
熱帯魚の成長速度は、その品種によって大きく異なりますが、ネオンテトラやカージナルテトラなどは約半年程度で成魚になるという結果を得ることができました。
今後、ネオンテトラ等の飼育を考えられている方にとって、参考になるデータとなれば幸いです。