ミナミヌマエビが水槽で繁殖!その繁殖速度は?

ヤマトヌマエビと並び、水槽内でコケ取りをしてくれる人気のエビが「ミナミヌマエビ」です。

ミナミヌマエビは、ヤマトヌマエビよりも体格が小さいため、コケ取り性能はヤマトヌマエビに負けてしまいます。

しかし、体が小さいエビになるので、水槽内であまり目立つことが無く、まさに水槽のメンテナンス生体としての見た目と役割を果たしてくれるエビだと言えます。

そんなミナミヌマエビですが、水槽内で飼育しているといつの間にか繁殖しており、数が増えていることが多々あります。

私も2020年の夏からミナミヌマエビをコケ取り生体として導入したのですが、約半年間のうちに数が一気に増えました。

この記事では、ミナミヌマエビの繁殖速度について、実際に数を測定した結果を紹介したいと思います。


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ミナミヌマエビは水槽内で繁殖する

ミナミヌマエビは、近所の河川や池にも生息している日本古来のエビになります。そのため、淡水のアクアリウムで飼育していれば、繁殖が可能というのは容易に想像が付くかと思います。

同じコケ取り生体のエビであるヤマトヌマエビは、汽水域でないと繁殖しないため、一般的な淡水アクアリウムの水槽では繁殖ができません。

また、ミナミヌマエビの繁殖に適した環境は、熱帯魚を飼育する環境とほぼ同じ環境であるため、熱帯魚を飼育している水槽であれば繁殖可能な環境になっています。

年間を通じて25℃の水温、pHも弱酸性の6.5程度で管理していれば、年間を通じて産卵する機会があります。

そして、一度に多くの卵を産むため、水槽内で魚に食べられてしまわない限りは、みるみるうちに数が増えていきます。

そのため、下で紹介するように、いつの間にか増えてしまし、増えすぎて困ってしまう状況になる方もいらっしゃるかと思います。

ミナミヌマエビを飼育している水槽と環境

私がミナミヌマエビを水槽に導入したのは2020年8月でした。

兵庫県の芦屋市を流れる芦屋川に行く機会があり、そこで自然採取でミナミヌマエビを捕まえてきました。

その時に捕まえた5匹のミナミヌマエビを、60cm水槽にコケ取り生体として導入しました。

その60cm水槽は小型カラシン科の魚をメインにした水草水槽です。ネオンテトラやカージナルテトラなどを合計で30匹程飼育している状況です。

ロタラやハイグロフィラなどを植栽し、コケが増えてきたところでミナミヌマエビを導入しました。

水槽の環境整備としては、年間を通じて水温25℃、水質はpH=6.5程度で管理しています。換水頻度は週に1度、1/2の水量を好感しています。

この水槽で約半年間の間、ミナミヌマエビの数を数えて、繁殖の速度を見ていきました。

アクアリウムショップの店員さんから「ミナミヌマエビは水槽内で増えますよ」と聞いていたので、どのくらい増えるのかと思い、2カ月に一度くらい数を数えてデータを取っていました。そのデータの紹介となります。


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繁殖速度の測定方法について

続いて、ミナミヌマエビの数の測定方法です。

正直なところ、水槽内のミナミヌマエビの正確な数を数える方法がありません。

水草水槽であり、石や流木などもあるため、隠れてしまっているミナミヌマエビは数えることができないためです。

そのため、水槽の全面・側面から見て、目で確認できるミナミヌマエビの数をカウントしていくという方法を取っています。

正確な数は測定が難しいのですが「最低でもそれだけの数が水槽内にいる」と思っていただければ良いかと思います。

測定の頻度ですが、最初は2020年8月の5匹からのスタートとなり、2021年3月までの間、概ね2ヵ月に1度くらいのペースで数を数えてきました。

繁殖速度の実測結果

では、実際にミナミヌマエビの数が繁殖によって増えた実例を紹介します。

下のグラフに、対象としている60cm水槽内のミナミヌマエビの数を示します。

8月に導入してから10月までは、実はミナミヌマエビの数は増えていません。

しかし、その後の12月の測定時には10匹まで増え、3月には19匹まで増えていました。

つまり、水槽に導入した直後くらいから産卵をして、数が増えていったものと推測されます。

前述の通り、レイアウト素材や水草の物陰に隠れているミナミヌマエビがいると思うので、正確な数としてはもう少し増えるものと思われます。

わずか半年の間に、確認できる数だけでも4倍に増えているんですね…。

そのため、水槽内の至る所に産まれた稚エビ達が泳いでいる状況になりました。

これはかなりの繁殖力だと思います。

水槽の中にミナミヌマエビの天敵となるような肉食魚がいない事も要因かと思います。エンゼルフィッシュやラミレジィ等がいたら、きっと食べられてしまうでしょうから…。

思い起こしてみれば、川に魚やエビを捕まえに行った時、網でガサガサをすると凄い数のエビが採れますよね。水槽の中でも、これだけ増える速度が速いということは、天敵の少ない川であれば、相当な数が生息しているのが容易に想像できますね。

恐るべし…ミナミヌマエビの繁殖力です…。


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ミナミヌマエビが増えることのメリット・デメリット

ミナミヌマエビが水槽内に増えるメリットについては、当たり前のことですが、水槽内の藻やコケの生える量が確実に抑制できます。

これは目に見えて実感できるメリットです。

ロタラなどは、細長い緑色の藻(アオミドロ?)に浸食されやすいですが、それらが生え始めると、ミナミヌマエビが突撃していき、一晩にして食べ尽くしてくれます。

ヤマトヌマエビよりもコケ取り性能は低いとはいえ、数が多くいると処理能力は相当高いものがあります。

逆にデメリットですが、2つあります。

1つは見た目ですね…水槽内がミナミヌマエビだらけになってしまいます。

この記事を書いている2021年3月初旬の段階で、上で紹介した60cm水槽には一目で見て20匹近くのミナミヌマエビがいます。

どこを見てもエビだらけです。

そのため、熱帯魚を飼育しているのか、ミナミヌマエビを飼育しているのか…わからなくなります。

もう一つのデメリットは、糞が多い事ですね。エビは活動している間は常に何かを食べている生物です。そのため、糞の量も多いです。

1匹の糞の量は少なくとも、数が多くなると糞の量がとても多くなります。

こちらとしては、コケを取ってもらっているので文句は言えないのですが、水底を掃除すると相当な量の糞が出てきます。

水質 (pH) の維持と言う観点では、糞の量は少し気にすべきなので、こまめな清掃と換水が必要になります。

また、ミナミヌマエビによる水草の食害を心配される方もいらっしゃるかと思いますが、現時点では食害は確認されていません。それだけ、水槽内にコケや藻が生えてきており、食べ物が豊富なのだと思います。

上で紹介したように、現時点で60cm水槽に20匹程度がおりますが、コケ取りには満足している状況です。そのため、これ以上増えるようであれあば、水槽から出していくことも検討していく予定です。

外部フィルターの中で育つミナミヌマエビ

番外編となりますが、ミナミヌマエビは様々なところで孵化・成長します。

メスが卵が産んで稚エビが生まれると、一部が外部フィルターに吸い込まれて、フィルター内に取り込まれていきます。

そして、その外部フィルターの中で育ちます。

実際に、ミナミヌマエビを導入した8月以降、3カ月に一度の外部フィルター清掃を実施していますが、毎回のようにミナミヌマエビ達が10匹以上出てきます。

つまり、上で紹介したミナミヌマエビのカウント数には、本来であればフィルターの中から出てきたミナミヌマエビの数も付け足さねばなりませんね…。

後からネットで調べると、いろんな方が経験しているようで「淡水アクアリウムあるある」みたいです。

この記事の終わりに

この記事では、水槽内でのミナミヌマエビの繁殖について、実際にミナミヌマエビの数をカウントした結果を紹介させていただきました。

ミナミヌマエビは淡水域で繁殖するエビのため、水槽の中でも繁殖し、その繁殖力はかなり強いものがあります。

そのため、ミナミヌマエビを導入する際には、増えた後のことも考えたうえで導入することをお勧めします。

60cm水槽に対して、いきなりミナミヌマエビを20匹とか入れない方が良いかと思います。エビだらけになる未来が容易に想像できます。

ミナミヌマエビが増えすぎてしまった時は、別の水槽で飼育したり、肉食魚の餌に使っても良いかと思います。

最後になりますが、ミナミヌマエビは日本に住むエビなので、近くの川に放流しても大丈夫かと思われるかもしれません。しかし、自然の中のミナミヌマエビとブリードのミナミヌマエビには、住んでいる場所による遺伝的な違いがある聞きます。そのため、ミナミヌマエビが増えすぎても、近くの河川に放流しないようにしましょう。