淡水アクアリウムで水槽内の苔や藻を食べてくれることで重宝されるのが「ミナミヌマエビ」です。
ヤマトヌマエビの様に体が大きくないため、水槽内でも存在を主張することが無く、水草の食害も少ないことが特徴の淡水エビになります。
しかも、身近な川にも多く生息しているため、わざわざアクアリウムショップで購入しなくても、自分で採取することができるという利点もあります。
そんなミナミヌマエビですが、実は体の色が環境によって変化するということを御存じですか!?
私自身、気づくまで気にしたことも無かったのですが、別の種類のエビでは無いか?と思えるくらい色が変化します。
この記事では、ミナミヌマエビの色の変化について、実際の色の変化の例を交えて御紹介をしたいと思います。
ミナミヌマエビに色の違いがあることを知ったきっかけ
私自身がミナミヌマエビの色の以外に気付いたのは、アクアリウムショップで水槽の中を見ていた時のことになります。
あまり見たことが無いような茶色い色をしたエビがいたので、ショップの店員さんに「これは何という名前のエビですか?」と尋ねました。
すると、店員さんから「それはミナミヌマエビですね!ミナミヌマエビは色が少し変わるみたいなんです。」という返事が…。
ミナミヌマエビと言うと、透き通った色をイメージしていたので、完全に茶色い色をしている事に驚きを覚えたのを今でも覚えています。
その後になりますが、ミナミヌマエビを川で採取してきて、水槽の中で飼育を始めました。すると、私の水槽の中でも、環境の違いによってミナミヌマエビの色がどんどん変化していくことに気が付きました。
以下では、その色の違いについて、周辺の環境なども含めて紹介したいと思います。
ミナミヌマエビの体色や模様の特徴
日本の川や沼には、意外と多くの種類のエビがいて、ミナミヌマエビを見分けることが難しいという方も多いかと思います。
しかし、ミナミヌマエビには特徴的な模様があり、それを知っていればミナミヌマエビを見分けることは実は簡単です。
スジエビやヤマトヌマエビと混同されがちなミナミヌマエビですが、以下の点を知っていれば見分けは簡単です。
ミナミヌマエビの体の特徴ですが、頭の部分から尻尾にかけて一筋のラインが入っています。下の写真の矢印の部分を見て分かるかと思いますが、白い筋がはいっています。
このような一筋の模様が背中の部分にあることがミナミヌマエビを見分ける方法になります。
ヤマトヌマエビとの違いについては、ヤマトヌマエビはミナミヌマエビよりも身体の大きさが倍くらいあるので直ぐに見分けが付きます。
また、スジエビについては、ミナミヌマエビのように背中の部分に一筋の模様が無く、体の節に沿って縞々の模様 (スジ) があるため見分けが付きやすいです。下の写真がスジエビになります。身体の横方向にスジが入っていることがわかります。
川で採取した当時のミナミヌマエビの色
最初に、川で採取した当時のミナミヌマエビの様子を紹介したいと思います。
ミナミヌマエビは、以前の記事で紹介しましたが、2020年の夏に芦屋市を流れる芦屋川で採取してきたものになります。
採取した当初は、下の写真のように、色は半透明で少し茶色が入ったような色をしていました。まさに川に生息しているエビという感じが漂う色でした。
このミナミヌマエビを水槽のコケ取り生体としてお迎えして、飼育を始めました。そして、夏から約4か月が経過した12月に、その色が大幅に変化しました。
以下で、その色の変化具合の実例を紹介したいと思います。採取した当時の写真と見比べると、別のエビでは無いかと思うくらいの変化です。
実際に色が変化したミナミヌマエビの実例
では、以下で実際に色が変わったミナミヌマエビを紹介したいと思います。
主にソイルの上で生活しているミナミヌマエビ
まず最初に底にソイルを敷いた水槽で飼育しているミナミヌマエビですが、ソイルの色が茶色であることに由来しているのか、身体が茶色に変化していることがわかるかと思います。
このミナミヌマエビは、私が見る限りでは、かなり多くの時間をソイルの上で過ごしております。そして、ソイルをつつきながら食べ物を探して生活していることが多いです。
そのためか、身体の色が完全にソイルの色に同化している状態です。
流木の下で隠れているミナミヌマエビ
次のミナミヌマエビは、流木の陰に潜んであまり表に出て来ないミナミヌマエビになります。
このミナミヌマエビは黒を基調として、透き通るような綺麗な色をしているものになります。
このミナミヌマエビが何故黒いのか?については、正直なところ分かりませんが、いつもくらい物陰の暗い場所にいるためなのかもしれません。
ただ、黒を基調にした色は、白いラインが入るとかなり綺麗です。
ウィローモスの中で生活するミナミヌマエビ
次に、ウィローモスの中で生活しているミナミヌマエビです。
少し分かりづらいのですが、中央付近にミナミヌマエビの背中が見えていると思います。なかなか外に出て来ないので、この状態の写真になってしまいました…。
このミナミヌマエビは、大きく育ったウィローモスの中にずっといて、完全にこの場所を根城にしています。
そのため、食べているものも多分ウィローモスの新芽などになるのかと思います。
色はクリーム色を半透明にしたような色で、ウィローモスの中に入ると同じような色となっていることもお分かりいただけるかと思います。
ただ、背中の白い線だけは色が変わりにくいようで、外から見るといることが丸わかりなのですが。
オレンジ色のミナミヌマエビもいた
次に紹介するのは、オレンジ色に染まったミナミヌマエビです。
このミナミヌマエビは実はベタの水槽に入れていたものなのですが、時間が経つにつれてオレンジ色に変化をしてきました。見る方向を変えるとピンク色にも見える状態です。(体が大きなミナミヌマエビなので、ベタに襲われることはありません。)
他のブログでもミナミヌマエビがピンク色になることが紹介されていますが、ピンク色になることは体調不良のサインで、すぐお星様になってしまう可能性が高いということも紹介されていました。
しかし、我が家ではこの色になっても健康状態そのもので、写真の通り抱卵しています。
なぜこのような色になったのかを考えてみたのですが、考えらえることとしては、色揚げ効果のあるベタの餌を食べていたことくらいですね。
ベタの餌には、ベタの体の赤い色を強調するために色揚げ効果のある成分が配当されています。このミナミヌマエビが、そのベタの残餌を食べているところも確認できていますし、ベタの糞をつついていることもあります。
そのため、ミナミヌマエビの体内で赤色の色素が蓄積して、オレンジ色になったのかと思っています。
何故ミナミヌマエビの色が変わるのか?
何故、ミナミヌマエビの色が変わるのか?
同じエビなのに、茶色、黒、クリーム色、オレンジ色…
私の家の水槽の中だけでも4種類の色に変化しました。
ここからは私の意見なので、参考程度に聞いてもらえればと思うのですが、やはり食べているものに影響をされているように思えます。
上の例で言うと、茶色いミナミヌマエビはソイルをつついて、ソイルに付いている藻などを一緒に食べていました。
また、クリーム色のミナミヌマエビについては、ウィローモスの中を主な生活圏として、ウィローモスの新芽などを食べていたと思われます。ウィローモスは緑色ですが、ウィローモスの色素の中に黒色や茶色の成分が無いことで、半透明なクリーム色と言うオーソドックスなミナミヌマエビの色になっていたのだと思います。
さらに、オレンジ色のミナミヌマエビは、上記の通り、ベタの色揚げ効果のある餌を食べていたことが主要因かと思われます。
この記事のタイトルでは「ミナミヌマエビが擬態する?」という記載をしたのですが、タコやカメレオンなどの様に瞬時に周囲の環境に溶け込むような擬態では無いのだと思います。
どちらかというと、「食べているものによって身体に含まれる色素が変化する」という表現の方が正しいのかと。
この記事の終わりに
この記事では、ミナミヌマエビの体の色が、飼育環境の違いで変化することを紹介させていただきました。
擬態と言う言葉を用いると、瞬時に色を変えたり模様を変えるようなイメージがあります。しかし、ミナミヌマエビの場合にはそれとは異なり、食べているものによって体の色素が変わっていくのだと思います。
ミナミヌマエビを水槽に導入した時、色の変化に驚かれる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、その色の変化が、その水槽の中でのミナミヌマエビの色なのだと思ってあげて下さい。
エビの場合、急激な色の変化は体調に変化があるサインであり、そのままお星様になってしまうこともあります。
しかし、徐々に色が変わる場合には、決して色が変化したからと言って、必ず体調不良に関わっている事は無いのかと思います。
ミナミヌマエビの色の変化も、ミナミヌマエビの飼育の一つの楽しみかもしれません。