*本記事はあくまでも参考としてお考えいただき、実際にライトが水没した際には、自己責任で処置をお願いします。
アクアリストの皆様の中にも、水槽のメンテナンス中に水槽用ライトが水没した方がいるのではないでしょうか?
ちょっと手がぶつかって…誤って手を放してしまって…理由はいろいろだと思います。
先日、私も水槽用LEDライトを水槽の中に落として水没させてしまいました。
直ぐに救出したのですが、やはり電気系統が不具合を起こし、電源をOFFしているのにもかかわらずONの状態になるという現象に…
現在はその状態から復旧させて現在は使用できています。
この記事では、水没から復旧までのことを記しておきたいと思います。
水没したLEDライトと水没の状況
今回、水没事件に合ったのはGEX CLEAR LED Power III 60cm用です。
60cm水槽用で使っているのですが、45cm用なども販売しています。
水草育成専用ではありませんが、比較的強いLEDになるので、耐陰性のある水草を使っている場合や、ある程度の光量があればよいという方にはおススメのLEDライトです。
水没の状況としては、水槽の水替えを行おうとしてガラスの上蓋を外した時にLED固定治具に引っ掛かり、運悪く水槽の中にLEDライトがダイブ!
直ぐに拾い上げたので大丈夫だと思ったのですが、下で紹介の通り、正常な動作になりませんでした…。
水没後は電源をOFFしているのにライトが点灯…
水没後、恐る恐るライトを点灯してみたのですが、一応問題なく光ってくれて一安心しました。(より慎重に行動するなら、動作させるまえにある程度乾燥させたりすることが必要だと思います。)
しかし、電源をOFFにしてもライトが微妙に点灯している状況だったのです。
何度もON/OFFを切り替えてみましたが、下の写真に示す通り、常に赤いLEDだけが転倒したままです…。正常時と比べると光量は確実に低いのですが、赤色のLEDだけが少しだけ発光してしまっている状況でした。
スイッチボタン付近の水滴は全て拭き取ったのですが、状況は変わらなかったので、多分スイッチ内部にも水分が侵入してしまい、スイッチが常にONの状態になってしまっているものだと思います。
なぜ赤色だけ点灯状態になるのか?
GEX CLEAR LEDは赤・青・白の3色のスイッチが付いており、好みの色でライトを使うことが出来ます。
今回の水没では、スイッチ部分が水没したので全ての色のLEDがON状態になっても不自然ではないのに、赤色LEDだけが点灯している状態です。
何故でしょうか?
多分ですが、LEDが点灯するのに必要な電圧が赤色だけ低いからだと思います。
LEDはその色によって使用される材料が変わっており、赤色であれば、一般的にはアルミニウムインジウムガリウムリン (AlInGaP) などが使われます。このAlInGaPは点灯するのに必要な電圧が白や青よりも低いため、水没による漏電程度の電圧でON状態になったのだと思います。
ちなみに青色は中村修二教授のノーベル賞で有名な窒化ガリウム(GaN)、白色は青色と黄色 (GaAsP) の混色で作られたLEDが一般的ですね。どちらも赤色よりもONさせるために必要な電圧が大きいです。詳しく知りたい方は「半導体の禁制帯幅とLED」というジャンルで調べてみてください。
話は脱線してしまいますが、青色LEDの発明によって、現代社会の照明器具は本当に飛躍的に変わったと実感する機会が多いですね。
分解して水分を除去
常に電源がONの状態になるということは、水分がスイッチ部分に入り込んで、OFFしようとしてもONになってしまう状況だと思います。
したがって、スイッチ内に侵入した水分を拭きとるか、完全に乾燥させる必要があります。
GEX CLEAR LEDは、スイッチ部分にネジ止めがあるので、この部分をオープンします。
このネジを開けると、次の写真に示すような配線部分が顔を出します。
実際に開けてみると、この部分に水分が入り込んが濡れていました。
スイッチ部分の端子が3つ並んでいますが、これが青・赤・白のそれぞれのスイッチ部分です。
この部分の水分を丁寧にティッシュで拭き取りました。
これで大丈夫だろうと思ったのですが、実はまだ上で記載した状況は回復しませんでした。つまり、これ以上は分解ができないスイッチボックス内部にまで水分が入っている状況だったのです…。
浴室乾燥機にかけて乾燥
もうこれ以上は分解ができないので、浴室乾燥機の力を使いました。
ドライヤーで長時間乾かすことも手ですが、時間がかなりかかるので、浴室乾燥機がある方は浴室乾燥機が良いと思います。
また、除湿器があれば小さな部屋で除湿を回して水分を乾燥させる方法も効果的ですね。
実際に6時間ほど浴室乾燥機をかけて、上の状態は無事に修理が完了しました。
一時は諦めましたが、無事に復帰してくれてよかったです。
万が一のことに備え、しばらくは誰かが家にいる時だけライ水槽ライトをON状態にして、無人になる時には必ず消灯させておこうと思います。
2020年12月21日追記: 水没したライトのその後について
この記事を公開したのは2020年7月の事になりますが、ライトの水没から約半年経過した12月まで、特に何の問題も無くライトの使用を継続しています。
海水水槽に水没したライトは廃棄すべき
今回、水槽用ライトが水没した水槽は淡水水槽でした。
そのため、飼育水には塩分は含まれないので乾燥させるだけで、「一応」の修理と復旧は完了したと考えています。
しかし、人工海水を使用する海水水槽では、飼育水自体に多くのイオンが溶け込み、導電性の高い水になっています。そのため、漏電のレベルが淡水水槽とは違います。また、乾いたとしても導電性の粉がスイッチ部に残留していることも考えられるため、乾燥後も漏電のリスクがあります。
海水水槽に水槽用ライトが水没してしまった場合には、使用を控えて買い替えすることを強くお勧めします。
この記事の最後に
今回の記事では、水槽内に水没した水槽用ライトの故障と、その復旧・修理について記載させていただきました。
水没したライトはGEX CLEAR LEDですが、水没した場合には上記の方法で復旧が可能になる可能性があります。
ただし、その他の製品については、構造が異なりますのでそのライトの構造を理解して、適した処理をしてください。
また、海水水槽に水没したLEDライトは再使用を強くお勧めしません。
最後になりますが、この記事での水槽用ライトの復旧方法はあくまで御参考までの内容になります。実際に修理をされる場合には、電源を抜いてから分解する等、基本的な安全事項を怠ることなく、安全第一で作業をしてください。