換水時の水温変化とヒーターによる昇温速度を検証

アクアリストの皆様であれば、誰でも一度は換水時の水温変化を気にしたことがあるのではないでしょうか?

特に海外から輸入された熱帯魚を飼育している場合には、換水時に水温が下がり過ぎないように特に注意しておられるかと思います。また、水温の変化に敏感な生体を飼育している時は、水槽に注水する新しい水も水槽の水温に合わせることが望ましい場合もあります。

しかし、水槽をいくつも管理していると、換水時の水温管理が面倒臭くなり、水温を気にせずに適当に換水してしまうことも多々ありますよね…。

では、換水時に注水する水温を調整しなかった場合、水槽の飼育水の水温はどのような変化をするのでしょうか?

アクアリストの誰もが疑問に思うことかと思いますので、本記事ではその一例として換水時の水温の変化を調査してみました。


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換水時の水温変化を測定してみようと思ったきっかけ

まず最初に、今回の記事である換水後の水温の復帰について調べようと思ったきっかけについてお話しておきたいと思います。

いつも水槽の換水は会社から帰って来た後に行っているのですが、換水直後の水温の復帰 (ヒーター設定温度への水温の復帰) については、あまりその時間を考えていませんでした。

というのも、換水の際には新しく水槽に入れる水の温度を水槽の水温に合わせていたためです。

しかし、ある日、金魚水槽の水替えをした時に、新しく注水する水の水温調整を忘れてしまったことがありました。確か2020年12月初旬の事だったかと思います。

その時、注水しながら「あっ!水温調整していなかった!」と気付いたのですが、既にほぼ換水が終わった状態だったので仕方ないと思い放置しました。

12月だったので水道水の水温は15℃程度になります。15℃の水を24℃設定の水槽に注水したので、水槽内の水温が大きく変化することは容易に想像できます。

そして、少し気になったので水温計を見ながらどのくらいで水温が復帰するのかを確認していきました。

その時、「あれ?適正な消費電力のヒーターを使っているのに、意外に水温の復帰が遅い?」というのが正直な印象でした。

適正なヒーターを使っているので15分程度で水温は設定値に戻ってくるだろうと思ったのですが、1時間しても設定温度になっていませんでした。

この時の事を思い出すと、再度検証して水温の復帰にどのくらいの時間がかかるのかを調べてみたくなりました。そして、今回の実験に至りました。

水槽と換水時の水温変化を測定する方法

では、換水時の水温変化を測定する水槽と設備、そして水温変化を測定する実験方法について記載したいと思います。

水温変化を測定する水槽

換水時の水温変化を測定する水槽ですが、私のブログでも良く取り上げている金魚の45cmスリム水槽です。

45cm水槽ですが、奥行きが小さい水槽のため水量は約15Lとなります。金魚が3匹泳いでいる簡単なレイアウトの水槽となっています。

フィルターは壁掛けフィルターのSサイズとなります。

水槽用のヒーターについては、下の写真の通常はGEX製の120Wのヒーターを利用しています。「セーフカバー ヒートナビ 120」という名前の商品です。

換水時の水温変化の測定と実験方法

次に水温変化測定の実験方法ですが、上でも述べましたが今回の水槽は約15Lの水量がある水槽になります。

この水槽の半分の水量である7.5Lを換水した後に、ヒーターの設定温度である24℃にどのくらいの時間をかけて昇温できるかを測定します。

換水時に新しく入れる水は水道水をカルキ抜きしたもので、温度調整を行っていない15℃の水道水となります。

水温の測定はテトラ製のデジタル水温計 (外観はトップ画像参照下さい) で行いました 。

温調に使用するヒーターですが、比較のために2つを用意しました。一つはこの水槽で通常使用しているGEX製の120Wのもの、もう一つは60cm水槽でも使用することができるコトブキ製の220Wのヒーターです。どちらもサーモスタット内蔵で、温度設定および自動温調機能が付いている製品となります。

また、今回の実験ですが、2020年12月末に行ったものとなります。

飼育している金魚の事を考えると、水温変化でストレスを与えてしまうことは避けられませんが、2回だけ実験に付き合ってもらいました…。


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換水時の水温変化の測定結果

実際に換水後の水温変化を測定した結果が下のグラフになります。

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換水直後の水温が約20℃となっています。これは水槽の水温が24℃であり、注水する新しい水の温度が15℃程度になるので、水槽の半分の水を入れ替えた場合には、中間の20℃前後の水温になります。

そして、経過時間と共にヒーターによる温度上昇が始まり、120Wのヒーターの場合には約2時間を経て設定値の24℃に戻りました。

また、220Wのヒーターを使った場合には約1時間で水温が24℃になりました。

皆さんは、このヒーターによる水温の復帰速度を速いと思いますか?遅いと思いますか?

私は個人的に遅いという印象を受けました。以下で、少しこの結果を考察してみたいと思います。

測定を行って分かったことの考察

一般的に、45cm水槽の適正ヒーターは120W程度となります。

新しい水の注水直後の水温が20℃程度であり、そこから約2時間をかけて水温が設定温度の24℃になりました。

私自身、適正なヒーターを使っていれば、もっと早く水温が24℃に戻っても良いのではないかと思ったのが正直なところです。

しかし、魚の立場に立ってみると、24℃で管理されていた水温が換水で一気に20℃に下がり、さらに2時間後には24℃に変化するという超急激な水温変化に置かれる様な状態です。

人間で考えれば冬と夏を行き来させられるようなものかと思います。考えてみると、とても過酷な環境に思えます。

そのため、注水後に2時間で24℃に復帰するという状態は、魚にとっては水温の変化が少しでも緩やかになるので、実はポジティブに考えるべき事なのかと思いました。

もしかしたら、ヒーターを製造されているメーカーさんは、そのあたりも考えて急激に水温変化を起こさないような設計にしているのかもしれませんね。

また、今回の実験を通じて、あらためて換水時の水温調整の重要さを知りました。水温なんてヒーターが直ぐに回復してくれるから良いだろう…という考えは通用しそうにないですね。

換水の際には、水槽の水温と注水する水温を合わせておくことが重要であるということに変わりは無いです。


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この記事の終わりに

この記事では、換水時に水槽内の水温と注水する水の水温を合わせなかった場合、水槽内の水温がどのように回復するかを調査しました。

調査を行ったのが冬だったこともあり、水槽内の水温と水道水の水温が大きく、水温が大きく変化してしまうという結果となりました。

(夏については今回の結果とは逆となり、注水する水道水の水温の方が高くなってしまい、水槽内の水温が変化するということが想像されます。)

水槽に注水する水は水温調整をしたものを使用することが推奨されますが、今回の結果から、その大切さを身に染みえて体験できたと思っています。

換水時の水温調整は少し面倒な作業ですが、水槽内の急激な環境変化を防ぐためにも、面倒くさくても実施してあげて下さいね!

また、下の記事では金魚水槽にヒーターを用いるメリットについても紹介しています。金魚を飼育されているかの御参考になれば幸いです。