釣りに使う道糸には大きく分けて3種類があります。
釣り人の皆様であれば御存じかと思いますが、「ナイロンライン」「フロロライン」「PEライン」です (一般的に) 。
それぞれのラインには長所と短所があり、釣り場・釣り方・ターゲットによって使い分けている方が多いのではないかと思います。
私自身、小学生の時に釣りを始めたのですが、最初は最も安いナイロンラインを使って釣りを楽しんでいました。500mで600円くらいのナイロンラインだった覚えがあります。
しかし、ある時に親にPEラインを買ってもらって使ってみると、その細さ・強度・飛距離の虜になり、それ以来はPEラインを多用するようになりました。
初めて高価なPEラインを使ったあの時の感動は、今でも覚えています。
大人になってから始めたフカセ釣りやエビ撒き釣りでもPEラインを使っており、もうかれこれ10年くらいはナイロンラインを使ったことが無いくらい、PEラインに絶大な信頼を寄せています。
今回の記事ですが、そんなPEラインに焦点を当て、フカセ釣りにPEラインを使用するメリットやデメリットを具体的な経験例も交えながら紹介していきたいと思います。
PEラインのヘビーユーザーである私が感じていることをありのままに記載していきます。
これからフカセ釣りでPEラインを使おうと思っている方に、少しでも参考になれば幸いです。
【注意】この記事の内容は筆者の個人的な意見・考え方をまとめたものとなります。人によっては感じ方が異なるので、あくまでも一つの参考としてお考えいただけましたら幸いです。
最近のフカセ釣りは細いPEラインが人気
この記事を公開したのが2022年の秋になりますが、ここ5年くらいで細いPEラインを使ったフカセ釣りの人気に火が付いているようです。
冒頭で記載したように、私自身はフカセ釣り含めてPEラインしか使っていないため、気づかなかったのですが … Youtubeや釣具店の店員さんの話を聞くと、細いPEラインのフカセ釣りに注目が集まっているということを知りました。
とはいえ、まだまだナイロンラインを使ったフカセ釣りが主流ではあると思うのですが、細いPEラインを道糸として使ったフカセ釣りにも光が当たっていることが嬉しく思えています。
フカセ釣りにPEラインを使うことにはメリットがありますが、多くのデメリットもあります。
しかし、それらを総合的に考えてもPEラインを使ったフカセ釣りを続けていきたいと思えています。
以下では、そのメリットとデメリットを私のこれまでの経験から記載していきます。
フカセ釣りにPEラインを使うメリットは?
まずはフカセ釣りにPEラインを使うメリットからです。
私が感じている主なメリットは合計で5つありますので、以下で紹介していきます。
① 飛距離が出る
まず一つ目は「飛距離」です。
PEラインは、非常に強度が強いため、より細い号数でナイロンラインと同じ強度を得ることが出来ます。例えば、PEラインの1号は、ナイロンラインの4号クラスの強度があります。
ナイロンラインの4号ともなると、とても太いラインになるため、釣り竿のガイドとの間に大きな摩擦が生まれ、遠投時の飛距離が出にくくなります。
特に磯竿ともなれば、小さな穴のガイドが10個くらい付いてきますので、ガイドとラインの間の抵抗が飛距離に大きく影響します。
このため、フカセ釣りの場合には細いPEラインを使うことで、ナイロンラインやフロロラインに比べて明確に飛距離が伸びます。これは誰でも実感できる変化だと思いますよ!
また、飛距離が出やすいということは、より軽いウキ・より軽い仕掛けで飛距離が出せるようになりますので、フカセ釣りの幅 (使える仕掛けの種類) を広げてくれるようになりますよね!
さらに、PEラインの細い直径は、遠投時に風の影響を受けにくいという点も挙げられます。
PEラインは軽いためラインメンディングの際には不利になることもありますが、PEラインの細さは遠投時にはメリットになります。
② PEラインは伸びないため感度が良く操作しやすい
2つ目は「感度」が良いことです。
PEラインはナイロンラインの様に伸びません!
引っ張ってみるとわかるのですが、本当に硬く全く伸びない道糸となります。
そのため、魚が餌を加えた時の少しの変化がPEラインに伝わりやすく、道糸の動きを見てアタリを取るということもしやすくなります。
特に冬場の水温が低い時期は魚の活性が低いため、ウキにアタリが出ないことが多々あります。
その場合は道糸の動きでアタリを感じ取り、アワセを決めることになりますが、PEラインはこのアタリを取るのに確実に有利だと思えます。
以前のことですが、友人のリール (道糸はナイロン2号) を借りて寒の時期のグレ釣りをしたことがあります。
この時、道糸に出るアタリの違いに明確な差があったのを今でも覚えています。
PEラインの方が、ラインの動きが明確にわかりました。
③ PEラインはリールのスプールのくせが付かない
3つ目はリールのスプールのくせが付かないということです。
ナイロンラインやフロロラインは使用期間が長くなると、下の写真に示すように、リールのスプールの形 (くせ) がついてしまいます。
(ナイロンラインやフロロラインがばねの様に螺旋を描いたような形になってしまうやつです。)
このスプールのくせは、フカセ釣りにとっては大きなデメリットとなる存在になります。
重いガン玉を使った仕掛けなら良いのですが、軽い仕掛けを使うとラインのくせによって中通しウキの通りが悪くなり、仕掛けが海中に入っていかないということが起こります。
また、磯竿のガイドと干渉することにもなるため、軽い仕掛けを使った場合の飛距離にも差が出ます。
これに対してPEラインは、リールのスプールの癖がほとんどつかないため、このストレスがほとんど起こらないです。
私はPEラインのこの特徴 (メリット) を非常に重要視しております。
④ PEラインは伸びないため動きの速い魚にも有利
4つ目は、2つ目の「伸びない」という特徴に関係して、アワセが有利になるということです。
特に、動きの速い魚 (例えば尾長グレなど) は、アワセのタイミングが遅れると魚に主導権を取られ、根に潜られてしまったり、ラインブレークに繋がる恐れがあります。
PEラインの「伸びない」という特徴は、素早いアワセがダイレクトに魚まで伝わるため、主導権争いの観点では有利になると考えています。
また、魚によっては挿し餌を食べた時に違和感を感じて吐き出してしまう事があります。
しかし、そのような魚に対しても、ラインの僅かな動きでアタリをとり、素早くアワセを針まで伝えることが出来れば、価値ある一匹の釣果に繋げられる可能性が高くなります。
磯には動きの速い強い魚がたくさんいますからね…
グレ・サンノジ (ニザダイ) ・アイゴ・イスズミ … 。
下の写真は良型のアイゴです。毒針に注意が必要ですが、とても美味しいんですよぉ~。
⑤ PEラインはナイロンに比べて劣化が少ない
5つ目のメリットは、PEラインが「劣化」に強いということです。
言い換えると、PEラインは寿命が長いです。
ナイロンラインやフロロラインは、5, 6回程度釣行に行くと、指先にも感じられるような劣化 (ザラザラ感) が現れてきます。
そのため、劣化している部分を切り落としながら使っている方も多いかと思います。
これに対して、PEラインは劣化量が少なく、長期間使うことができます。
具体的には、私は新しいPEラインをリールに巻いてから、少なくとも8カ月から9カ月くらいは安心して使い続けられます。
もちろん、釣行回数にも依りますし、使用する環境によっても劣化は変わるので、一概には言えないのですが…。
ただし、PEラインは高切れをする可能性があるため、定期的なメンテナンスは必須です。
フカセ釣りにPEラインを使うデメリットは?
続いて、フカセ釣りにPEラインを使うデメリットです。
実は、メリットの数と同じくらいのデメリットを感じるんです…。
ただ、これらのデメリットがありながらも、PEラインを使い続ける価値はあると思っているので、私はPEラインをフカセ釣りに使っています!
① 穂先のライントラブルが多い -最悪の場合は磯竿の穂先が折れる-
一つ目は、磯竿の穂先のライントラブルが多い事です。
PEラインは柔らかく軽いため、磯竿の穂先に絡んでしまうことが多いです。
PEラインのフカセ釣りを始めたばかりの方は、この穂先にPEラインが絡まるトラブルに悩まされることが多いかと思います。
そして、最悪の場合、そのライントラブルで磯竿の穂先が折れてしまうことが…
磯竿の穂先にPEラインが絡まった状態でリールを撒いてしまうと、PEラインは上述の通り全く伸びないので、磯竿の穂先が極端に曲げられます … その結果、最悪の場合、磯竿の穂先が折れてしまうんです。
私も、このライントラブル原因で、今までに磯竿の穂先を2本折りました … 。
このトラブルを防ぐために、PEラインが穂先に絡んでいないことを頻繁に確認し、絡んでいる疑いがあれば、リールを無理に巻かずにライントラブルを解消することです。
下の写真は私がライントラブルで折ってしまった穂先です…。修理しました…。
② 高切れが発生することがある…
2つめは「高切れ」の可能性があることです。
高切れとは、ハリスでは無く、PEラインが途中で切れてしまう事です。
どこで切れるかは、その時のPEラインの損傷の状況にも依りますが、例えば力強くアワセを行った時に、リールの近くでPEラインが切れてしまうような事もあり得ます。
これは、基本的にはPEラインが劣化していることに起因している場合が多く、予兆なく起こるトラブルです。見た目は全く問題無さそうなのに、突然切れてしまう事が…。
上でPEラインは劣化しにくいと記載はしておりますが、全く劣化しないわけではありません。
PEラインにダメージが無いか?と言う点は、定期的に確認しておくことが高切れを防ぐうえで重要です。
私自身、長いフカセ釣りの経験の中で、この高切れを3回経験しています。
③ PEラインは伸びないため、アワセの時に魚の口が切れたりハリスが切れることも…
3つ目は、メリットでも挙げたことですが「伸びない」ということです。
これはメリットでもありデメリットでもある特性です。
アワセのタイミングになりますが、PEラインが伸びないが故に、魚の口に力が加わり過ぎて、魚の口が切れてしまう (=針が外れてしまう) 可能性があるということです。
黒鯛や真鯛は口が固いので口が切れにくいですが、グレは口が少し柔らかいため、力強くあわせると口が切れて針が外れてしまう事があります。
ナイロンラインを使っていれば、適度に伸びてくれるため、グレの口に優しいアワセになるのですが、PEラインでドラグをガチガチに閉めすぎているとハードなアワセになり過ぎることが…
これを防ぐ方法としては、ドラグは少し緩めに設定しておくことですね。
豪快なアワセをしたい方は、少し注意しておくべき点だと思います。
④ 仕掛けのトラブルが起きると復旧不可能になる
4つ目は、ライントラブルに関することです。
PEラインは、一度絡まると復旧できない可能性が高いです。
ナイロンラインの場合、ライントラブルが起きても比較的簡単に復旧できることが多いですが、PEラインは細さと柔らかさが故に、強く絡んでしまうと復旧が不可能になる場合の方が多いです。
裁縫で使う細い糸が絡んだ場合と同じで、元に戻せない状況になります。
そのため、一度ライントラブルが起こると、仕掛けを作り直さねばならないことに…。
慣れてくるとライントラブルは起きないのですが、私自身はフカセ釣りを始めた当初は、PEラインで良くライントラブルを起こしていました … 今では懐かしい記憶ですが … 。
⑤ 風が強い日はライン操作が少し難しい
PEラインは軽いことが特徴ですが、これは風が強い日にはラインの操作が少し難しくなるというデメリットに繋がります。
軽いということは、仕掛けを投入した後に、道糸のPEラインが空中に浮いている時間が長くなりますので、風にあおられてしまう時間が長くなるということです。
その結果、仕掛けを狙ったポイントに投入しても、仕掛けが道糸に引っ張られて思ったポイントに仕掛けを流せなくなることがあります。
風速4m/s以上になると、このデメリットが顕著に出始めるので、風が強い日には風裏にポイントを構えたり、風が避けられる場所を探した方が無難です。
PEラインには様々な種類・価格帯がありますが、最初は安い1号くらいで試してみて下さい
フカセ釣りで使用する細いPEラインは0.6号~1.0号くらいが主流かと思います。
この細いPEラインに慣れてしまうと、ナイロンラインには戻れないかもしれません。
確かに、上述の通り、様々なデメリットがありますが、それを上回る使いやすさ・強度があります。
まだ細いPEラインでフカセ釣りをしたことが無かったら、是非一度勇気を出してPEラインにチャレンジしてみて下さい。
PEラインはナイロンラインより価格は高くなりますが、安いものでも十分に使えます。
具体的には150mで1200円くらいの価格帯でも問題無く使えます。
いきなりDaiwaやShimanoの高級品を使う必要は無いです。
個人的におススメなのは、1号の太さで150mで1500円くらいのPEラインです。波止場での黒鯛やグレであれば、1号で十分すぎる強度があります。
2号以上のPEラインになると、竿のガイドとの摩擦が大きくなるだけでは無く、中通しウキに対する摩擦力が強くなり仕掛けの操作がしにくくなると思います。
PEラインは使い始めの時は少し感覚の違いに戸惑うかもしれませんが、1日使えば自然と慣れるものです。
この記事の終わりに
この記事では筆者の経験から、フカセ釣りに細いPEラインを使用するメリットとデメリットについて記載させていただきました。
フカセ釣りと言えばナイロンラインを使う方が多いイメージですが、近年は細いPEラインを使ったフカセ釣りも人気があります。
0.6号~1.0号の細いPEラインを使うことになるのですが、飛距離や操作性の良さがナイロンラインに比べて格段に違います (個人的な所感) 。
細いPEラインをフカセ釣りに使用する最大のデメリットは、磯竿の穂先に絡みつきやすいという点ですが、これはPEラインに慣れていくことで解消でいるデメリットかと思います。
ナイロンラインを使い続けている方からすると、PEラインに抵抗がある方も多いかもしれませんが、是非一度試してみていただきたいです。
PEラインを使い続けてPEラインでのフカセ釣りに慣れてしまうと、ナイロンラインでのフカセ釣りには戻れないかもしれませんよ!?
それでは!