夏休みに渓流に遊びに行ったり、キャンプに行った時、運が良いと自然の中でクワガタに出会うことができます。
クワガタは山間部にしか生息しない昆虫のため、都会生活ですと夏になってもほとんど出会うことができません。たまに、山から飛んできたクワガタを街中で見ることが出来ますが、かなり稀な事です。
そんな貴重なクワガタなので、お子さんが捕まえると、必ずと言って良いほど虫かごに入れてお家に持って帰る御家庭が多いのではないでしょうか?
しかし、いざ飼育するとなって、飼育方法や飼育環境がわからないという方も多いのではないかと思います。また、特にクワガタを越冬させたという経験がある方は、とても少ないかと思います。
この記事では、コクワガタやヒラタクワガタなどの越冬して次の年も活動をするクワガタのための飼育環境作りについて、誰でも出来る簡単で安価な飼育ケース作りを紹介します。
越冬するクワガタの種類
クワガタには様々な種類がいますが、冬に越冬できるクワガタと夏の終わりには命が終わってしまうクワガタがいます。
一般的に日本に広く分布しており、誰もが捕まえるチャンスがある種類で考えると、ヒラタクワガタやコクワガタ、そして子供に最も人気のオオクワガタです。
逆に、越冬せずに秋ごろには命が終わってしまうクワガタは、ノコギリクワガタやミヤマクワガタです。どちらも子供にとても人気のカッコいいクワガタなのですが、成虫はその年には命が尽きてしまいます。
越冬するか否かを見極める簡単な方法は、私が子供の頃に学んだのは、黒い色をしたクワガタは越冬して、茶色系の色をしたクワガタは越冬しないというものです。
ノコギリクワガタは濃い茶色でカブトムシと同じような色をしていますし、ミヤマクワガタに関しては黄土色をしています。それに対して、コクワガタやヒラタクワガタなどは、真っ黒と言って良いくらい黒々とした体をしています。
全てがそうでは無いかもしれませんが、日本に生息する代表的なクワガタには一般的に言えることかと思います。
クワガタの活動期と冬眠期について
クワガタの活動期は桜の咲き始める4月から秋が深まりゆく11月初旬までです。
幼虫が成虫になって土の中から出てくるのも4月の時期になります。
そして、11月に近づくと越冬するクワガタたちは、冬眠の準備を始めます。
越冬する場所は朽ちた木の中の温かい場所や、比較的ふわふわしている土の中など様々です。
今回紹介する冬眠に向けた飼育環境作りについては、出来れば8月から9月初旬までには準備をしてあげて、飼育ケースの中での生活に慣れさせてあげることが望ましいと思います。
上手く越冬できれば、来年の春に成虫が活動を始めてくれます。
飼育環境作りに必要なもの
クワガタに産卵および越冬をさせるということを考えると、木の棒が入った簡単な虫かごではいけません。
卵を産むためには卵を産むための場所を提供しなければなりませんし、越冬するためには温かい毛布の様なものを用意してあげなければいけません。
クワガタの越冬や産卵となると、とても大変な設備になるように思われる方もいらっしゃるのですが、とても簡単な方法・道具で準備が出来てしまいます。
下の写真に、必要なものを揃えてみました。このセットは、私が子供と一緒にコクワガタを産卵・越冬させるために用意したセットになります。
① 飼育ケース
越冬させるためには、マットやおがくずを用意する必要があるので、必ず飼育ケースが必要になります。
飼育ケースは大きさが様々なものが販売されていますが、安くても問題無いですので、出来れば横幅が20cm以上あるようなものの方が良いです。
飼育する数にも依りますが、オス2匹とメス2匹を飼育するするのであれば横幅25cmくらいの飼育ケースを用意したいところです。
何故大きめのケースが良いか?という点ですが、クワガタは縄張りを主張して喧嘩するような昆虫です。そのため、活動期に狭いケースの中で喧嘩ばかりさせてストレスを与え過ぎるようなことは望ましくありません。
また、大きな飼育ケースの方が温度や湿度が安定しやすいということも言えます。小さなケースだと、中に敷いているマットの量が少なくなるので、マット自体が乾きやすくなったりして冬眠中のクワガタや幼虫の飼育環境としてよろしくありません。
そのため、産卵や越冬をさせることを考えると、ちょっと大きすぎるかな?と思うようなケースでも十分かと思います。
② 下に敷くためのマット
ケースの下に敷くマットですが、これはおがくずの様な目の粗いものよりも専用のマットを敷く方が良いかと思いおます。
上の写真にあるように、私はクワガタムシ専用のマットを購入しました。価格は一般的なおがくずとそれほど変わりませんし、500円しないくらいなので専用のものを使った方が良いかと思います。
また、大きめのケースを使用することになるので、少量のものではなく、ケースに合った量のマットを用意してくださいね。下でも紹介しますが、マットは結構多く入れてあげます。理由は、卵から孵ったクワガタの幼虫にとっては、マットが餌になるからです。
③ コナラやクヌギの木
自然界のクワガタは、コナラの木やクヌギの木の倒木の中なのどに産卵をします。
そのため、産卵を狙って飼育するのであれば、自然界と同じようにコナラやクヌギの木を入れてあげましょう。
コナラやクヌギの木は、ペットショップでもとてもお安く購入できるので2本くらい入れて置けば安心です。
④ クワガタ用のゼリー
クワガタ用のゼリーは活動期の栄養・水分補給として必ず必要です。
越冬の前には、クワガタもしっかりと栄養補給して活動を終えるので、必ずクワガタやカブトムシ専用のゼリーを用意してあげましょう。
ゼリーにも種類は色々ありますが、一般的にどれでも問題無いです。私自身も近くのホームセンターで購入できる安いものを使っています。
飼育ケースを作るポイントを説明
① ケースの中にマットを敷く
まず最初に、ケースの中にマットを敷いていきます。
敷いていくときにもポイントがあります。購入したマットによっては、完全に乾いてしまっているマットもあります。
そのように乾燥しているマットは、少し湿気を含ませておくことが望ましいです。幼虫が土の中で過ごし、マットを食べて育つので、湿り気は持たせておくべきなのです。
マットを少し入れながら、上から霧吹きを使用して水分を含ませていきます。ただし、水が溜まるくらいの水は入れないでくださいね。マットが腐敗してしまうかもしれません。
マットを敷く量については、上で記載したように幼虫が食べることを考えるとケースの1/2以上の位置まで入れてあげることが望ましいです。
ペットショップ等では、マットが1cm程度しか敷かれていない虫かごでクワガタが販売されているのですが、あれは夏の間の飼育のためのセットです。越冬させる場合には、しっかりとマットの量を増やしてあげて下さい。
② コナラまたはクヌギの木を置く
ケースの1/2くらいまでマットを入れたら、次にクヌギやコナラの木を入れていきます。
置き方は皆さんのお好きなように…と言いたいところですが、木が空中に浮いてしまうようなレイアウトは好ましくないですね。何かの影響で木が崩れてクワガタが下敷きになるような事は避けたいので。
コナラやクヌギの木にも霧吹きで水分を含ませてあげて下さい。
③ さらにマットを入れて完成
コナラやクヌギを置いたら、さらに上から少しマットをかぶせてあげて、飼育環境は完成です。
下の写真が完成した飼育ケースの写真ですが、落ち葉も少し入れてあげて自然環境にちかいシチュエーションにしてあげました。
最後にクワガタ用のゼリーを置いてあげます。
今年越冬させるコクワガタ
下の写真が今年越冬をさせるコクワガタです。オスとメスを一匹ずつ入れています。
オオクワガタは人気なので越冬をさせる方が多いのですが、コクワガタを越冬させる方はあまりいないのではないかと思います。
このコクワガタは、今年の夏に子供がおじいちゃんと見つけて来た思い出のコクワガタなので、子供と一緒に頑張って越冬させようと思います。
昆虫の多くは冬には命を落としてしまいますので、飼育で越冬をさせることができる昆虫は限られています。そのため、越冬させながら昆虫を飼育するという経験は子供にとっても良い経験になるので、クワガタの飼育は教育の観点でも良い教材かと思います。
冬の間の管理方法
実際に秋が深まり、気温がどんどん低くなってくる頃になったら、特に気温と湿度を気にしながら飼育をしていくことになります。
コクワガタやヒラタクワガタは、0℃以上の気温があれば、大きな問題は無く越冬することができます。
お住いの地域にも依るのですが、北海道や東北地方では冬場が氷点下になることがあるかと思いますので、できれば玄関等で管理されるのが良いかと思います。
また、湿度については、マットが湿り気を持っていることが望ましいです。表面が乾いたからと言ってマットの深い位置まで乾いているわけでは無いのですが、表面が乾いて来たら霧吹きをしてあげるようにしていれば大丈夫だと思います。
自然の中でも冬にも雨が降って、水分は随時供給されているので、そのような状況を飼育ケースの中でも作ってあげることが大切な事です。
冬眠させる場合には、飼育ケースを暖房を使うような室内では管理しないで下さいね。温かい環境だと、いつまで経ってもクワガタが冬眠しません。また、活動をしているということは、それだけ体を使っているということなので、クワガタの寿命自体が縮まってしまう恐れもあります。自然の中の環境と同じように、しっかり冬眠させて春から活動してもらうようにしましょう!
この記事の最後に
この記事では、コクワガタやヒラタクワガタなどの越冬をするクワガタについて、産卵と越冬を見据えた飼育ケース・飼育環境の整備を紹介させていただきました。
ポイントとなるのは、比較的大きな飼育ケースでしっかりマットを敷き、冬眠に入ったら冬の間は玄関先などの低い温度で安定した場所で飼育するということです。
夏休みに捕まえた思い出のクワガタです。コクワガタやヒラタクワガタなどのでれば、皆さんも越冬させてみてはいかがでしょうか?