コウノトリは日本の歴史の中で、戦時中は食料となり戦後は環境悪化が影響して、1971年に日本の国土から姿を消しました。
日本では各地の動物園などで外国から提供してもらったコウノトリの人工繁殖に挑戦がなされてきましたが、自然の中でコウノトリが繁殖するまでには様々な苦労があったと聞きます。
その中、1999年に兵庫県の豊岡市に「コウノトリの郷公園」が開園し、豊岡市を中心にしてコウノトリを日本に復活させようとする活動が本格化しました。
2020年現在では、兵庫県豊岡市の努力で、自然に放鳥したコウノトリが数を増やし、絶滅の状態から徐々に数を増やすまでに至っています。
豊岡市のある関西では、コウノトリの放鳥や巣立ちがあるたびにテレビでも放映され、関西を代表する自然保護の大切なイベントになっています。私自身もコウノトリを見たいという願望があり、2020年9月に「コウノトリの郷公園」を訪れ、人生で初めてコウノトリを見ることができました。
この記事では、コウノトリの郷公園の御紹介をしたいと思います。
コウノトリの郷公園について
コウノトリの郷公園へのアクセス
コウノトリを見ることができる「コウノトリの郷公園」は、兵庫県の北部にある豊岡市にあります。
大阪や神戸からは北近畿豊岡自動車道を利用して約3時間です。北近畿自動車道は、現在神鍋高原までですが、豊岡まで延伸される計画があるので、今後はよりアクセスしやすくなります。
〒668-0814 豊岡市祥雲寺字二ヶ谷128
コウノトリの郷公園の利用料金
コウノトリの郷公園の利用料金は無料です。
駐車場も完備されていますが、駐車場も無料で利用させていただくことができます。
ただ、コウノトリの郷公園の管理およびコウノトリの保護活動のために、園内にある文化館では募金を募っています。100円の募金から保護活動に参加できます。もちろん、私も募金に参加させていただきました。
募金活動に参加すると、コウノトリの折り紙セットをいただくことができます。下の写真が実際に折り紙を折ったものですが、折り鶴と同じ方法で折っていくと、最後にコウノトリの折り紙が完成するものです。
飼育されているコウノトリをみることができます
コウノトリの郷公園は「自然ゾーン」「飼育ゾーン」「観察ゾーン」に分かれており、我々一般の方が入ることができるのは「観察ゾーン」のみになります。
観察ゾーンでは、コウノトリを飼育している公開ゲージを観察することができ、本物のコウノトリを間近で見ることができます。
私が訪れた時には、公開ゲージの中に10羽程のコウノトリを見ることができました。
人工飼育されているコウノトリではありますが、一度日本から絶滅してしまった鳥を間近で見ることができるのは、何か感慨深いものがありますね。
コウノトリの飼育ゲージの近くには、白鷺などの野鳥も多く飛来しています。コウノトリの郷公園の周辺が野鳥にとって住みやすい環境なんだと思います。
野生に繁殖しているコウノトリを見ることができるかな?と期待して豊岡市を訪れ、円山川沿いの湿地帯を見てみましたが、残念ながら野生繁殖したコウノトリには出会うことができませんでした。
ですので、コウノトリを確実に見たい方はコウノトリの郷公園を訪れることをお勧めします。
近隣はコウノトリの生活に適した環境
周辺にはコウノトリの餌となるものがたくさん
コウノトリの郷公園の園内には、コウノトリや野鳥が過ごしやすい環境を作るために、自然の中に作られたビオトープが作られています。
そのビオトープを中心にして、コウノトリの餌になる小魚 (メダカやドジョウなど) や虫たち (バッタ等) が多く生息しています。実際にビオトープの周囲を歩いて回ると、バッタ等の虫が大量に生息しており、私の子供達も大きなバッタを簡単に捕まえることができました。
下の写真は、ビオトープからコウノトリの飼育ゲージを写した写真になります。このような大きなビオトープがあり、ビオトープの中にはたくさんのカエルが泳いでいました。
コウノトリの郷公園周辺の地域の取り組み
コウノトリの郷公園の周辺の皆様は、コウノトリの野生復帰を支えるために、本当に多くの努力をされていることを知りました。
周辺の田畑では、コウノトリの餌となる生物を確保するために、可能な限り無農薬で作物を育てられているそうです。また、田園の中にはテレビ放映でも有名な人口巣塔 (下の写真) が用意されており、コウノトリが繁殖するために必要な環境整備に力を入れられています。
近くの水田地帯にはマルチトープという水路型のビオトープも多く設けられており、水田を生息地とする水生生物の住処となっています。マルチトープは水田の中干し時に水生生物が退避する場所としても機能しています。
また、豊岡市を流れる円山川の流域には、湿地やワンドが多くあり、コウノトリの餌となる小魚や水生生物の生息地帯にもなっています。
本当に豊岡市の街を上げて、コウノトリの保護活動をされているんだと肌で感じることができる豊岡市への訪問となりました。
里山で見られる魚たちも飼育されています
コウノトリの郷公園の園内にある文化館には、豊岡市の里山で見ることができる魚たちが水槽で展示されています。コウノトリが自然の中で捕食している魚たちでもあります。
アクアリウム好きの自分としては、コウノトリの観察と同じくらい楽しんでしまった水槽です。
適当な水槽では無く、フィルター等もかなりしっかりとした飼育環境になっており、飼育水もピカピカの透明度の高い水槽です。
日本淡水魚として知られている有名な魚の多くを見ることができます。例えば、オイカワ、ムギツク、カワムツ、ヨシノボリ、タナゴなどです。
水槽のレイアウトも日本淡水魚に合うように、まさに日本の渓流をイメージしたレイアウトになっているので、見ごたえ十分な水槽です。アクアリウムが好きな方は、絶対に楽しむことができる展示なので、コウノトリの郷公園に行かれた際には是非見に行ってくださいね。
下の写真は、日本淡水魚展示コーナーのメイン水槽です。まさに日本の渓流がイメージされた「砂利+石」というシンプルなレイアウトになっています。
コウノトリの気分になって巣の模型で写真撮影
コウノトリの郷公園の園内には、2箇所にコウノトリの巣の模型が展示されています。実際に直径2m弱の大きな巣の中に入って写真を撮ることができます。
コウノトリになった気分で、記念に一枚いかがでしょうか!?
これは人口巣塔の上にある巣の模型だと思いますが、コウノトリと言う大きな鳥になるので、本当に巣も大きいです。ハトやスズメなどの小型の鳥の巣とはスケールが違います。
この記事の最後に
コウノトリと言う名前は、昔話や物語の中で赤ちゃんの妊娠に関わる場面でしか目にしたことが無い鳥でした。それも当たり前で、私自身が生まれた時には日本の国土では絶滅してしまっていた鳥だったのですから…。
関西に住むようになってから、豊岡市でのコウノトリの保護活動を報道で目にすることが多くあり、「コウノトリの郷公園」には一度は訪れたいと思っていました。
実際に訪れると、コウノトリの郷公園だけではなく豊岡市全体でコウノトリの保護活動をされていることを肌で感じることができ、とても感慨深い感情になる場所でもありました。
豊岡市から飛び立ったコウノトリは、日本各地だけではなく中国大陸に渡ったことも確認されています。コウノトリが絶滅した日本から、今度は世界にコウノトリが羽ばたいていく状況にもなっています。
コウノトリの様な絶滅危惧種を本当に絶滅させないために一人一人が自然の大切さを意識した行動をしていきたいですね。